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ピン芸人石岡祐太と腹顔族の復活  作者: 瀬賀 王詞
4/13

4 ららかの恋人和田誠也

 松竹劇場での舞台は最悪だった。

 ららかがお腹にいるということが、芸に集中できない理由だった。

「お嬢様に、人形役をやってもらえばいいんですよ。」

 ららかのマンションに帰ると、富樫陰陽師とららか本体が待っていた。リビングにはカレーの香りが漂っていた。

「すごい部屋やね、ららかちゃん。今日の夕飯、カレーな。なんか、家庭的でええなあ。俺、あのボロアパートから引っ越すわ。すごいね、ららかちゃん、本体の方、よう動いてるわ。」

「自分の部屋ですから。だいたい、わかるんです。」

「プライベートでは、ららかちゃんの顔、見えてもええんやわ。でも、俺、上半身裸っちゅうのも、あかんしな。そや、ららかちゃん、ハサミ、貸してもらえるか?」

 裕太は、ハサミでTシャツのお腹の辺りを丸く切った。ららかの顔がお腹から覗いた。

「これでどうや? ららかちゃん。」

「やっぱり、見えるっていいですねえ。」

「そこにいるって、しんどいやろ?」

「そうでもないです。やっぱり、腹顔族の血が流れてるんですねえ、落ち着きます、ここ。」

 富樫陰陽師と本体が食卓を調えた。

「うまそうなカレーやん。いただきますう。」

 ららかの本体が裕太の隣に座り、裕太のお腹に張り付いたららかに食べさせる。

「うっ、熱いがなあ。」

 裕太がうめく。感覚がつかめないのか、ららかの口をスプーンが外し、裕太に腹周りにカレーが飛び散る。

「俺が食べさすさかい。本体さんはちょっと休んどいて。」

 裕太は器用にららかに食べさせた。

「裕太さん、上手。」とららかは言った。

「えっ? ららかちゃん、今、なんて言うた?」

「裕太さん・・・。」

「裕太さん? 初めて名前で呼んでくれたがな。うれしいなあ。」

「つい、思わず・・・。」

「ええがな、遠慮せんと、どんどん裕太さんって呼んで。」

「石岡さん、さっきの提案ですけど・・・。」

 富樫陰陽師は、カレーをゆっくり食べながら言った。

「富樫陰陽師、おったんかいな。ごめん、今のは冗談や。それより、いつまでおんの?」

「わたしは明日帰ります。」

「それがええな。ちょっと心細いけど。なんかあったら連絡するさかい。ところで、どこに帰るの?」

「当然、腹顔族の国へ、です。」

「北海道?」

「はい。同志にこのことを報告し、お二人をお迎えする準備もいたします。」

「やっぱり、行かなあかんな。腹顔族のお里に。」

 裕太はららかと目を合わせ、うなずいた。

「一緒に行ってもええけど。」と裕太は言った。

「いえ、お二人は、この生活に少し慣れてください。できれば、石岡さんの仕事が軌道に乗って、活躍していただければ・・・。お嬢様は、少しずつ芸能界から遠ざかっていただきたいと思います。」

「仕方ないわ・・・。」ららかは、それほど残念そうでない声で言った。

「ららかちゃんは、それでいいの?」

「のっぺらぼうで、舞台やドラマに出るわけにはいかないもの。」

「そんな役があればええのに。百パー、ホラーになるわな。今のは冗談や。」

「今年の十二月二十七日に復活祭を開催する予定です。」

 富樫陰陽師は席を立って、ソファに腰を下ろし、手を合わせた。

「もう食べへんの? まだ残ってるで。復活祭を十二月? なんで、その日やの?」

「ちょうど千年前、腹顔族が滅ぼされました。」

「なるほど。そんで、芸能界で活躍しろいうんは、なんで?」

「資金が必要だからです。」

「金? そやな。いることはいるわな。」

「石岡さんが、『腹王』とあれば、現代でも存在感を示す必要があります。有名芸能人になって、大金を寄付して、『腹王』として腹顔族を牽引してくだされば、一族の誇りが再燃し、士気が上がるわけです。」

「言うてること、わからんでもないけど。俺、芸人やで。『腹王』の貫禄はいまいちなあ。自信ないわ。それに、ひとつ疑問があんのやけど、俺ら、こんな状態なわけやから、あんまり目立たんほうが、ええんちゃうの? 北海道の富良野あたりで、大自然のなかで、ららかちゃんと暮らすのも、悪くないわ。」

「それでは、腹顔族が存在しないも一緒です。」

「まさか・・・。」裕太は、肉を噛まずに飲み込んだ。

「裕太さん、わたしも、ご馳走様。」

「話聞いてます? ららかちゃん。」

「聞いてますよ。裕太さん、お水、飲ませて。」

「もう、ららかちゃん、甘えてからに。それで、富樫陰陽師、なにを企んでるの?」

「国政に出ます。」

「国政? ほんまかいな。」

「目指すは、国政のトップ。」

 裕太は、芸人らしく大げさにこけて見せた。

「トップいうたら、総理大臣やんか。」

「腹顔族はマイノリティです。マジョリティの人間たちへの復讐が、腹顔族の本意ではありません。ただ、腹顔族も、人間として生きる権利を勝ち得なければなりません。世の中に腹顔族を認知させ、同じ人間として生きる、そんな社会を実現しなければならないのです。そして、できれば、マイノリティからマジョリティへと立場を逆転させたい。」

「ある意味、復讐やんか。」

「そうですね。流血なき復讐・・・。」

「国政に出るて、誰がでるの?」

「復活祭で選出されます。」

「『腹王』とか、王族は関係ないわけね。安心したわあ。俺、政治家なんか大嫌いやもん。」

「当然、候補です。石岡さんが本物の腹王であれば、間違いなく選出されます。今、全国で、わたしと同じように、陰陽師が王族の末裔を説得しているわけです。」

「何人くらい?」

「恐らく、百名程度でしょう。腹顔族だと告げても信じないか、御祈祷をして腹顔族になっても、現実を受け入れられず自殺する。わたしは、幸運だったのです。芸人さんと女優さんでしたから。ららかお嬢様が小さい頃からお仕えしたのも、功を奏しました。」

「俺、遠慮しとくわ。立候補。」

「困りますね。わたしが推薦人ですし。やることがなくなります。」

「政治家なんてがらやないで。」

「そのことは、また今度相談しましょ。」

 裕太は、冷蔵庫からビールを取り出した。

「ららかちゃん、ビールもらうで。ところで、富樫陰陽師、さっき変なこと、言うてたな。俺の、芸のことで。」

「政治家にはならなくても、芸人としては売れたいはず。」

「そりゃあ、そうや。当たり前やがな。」

「あなたが腹話術の芸人と知って、すぐにアイデアが浮かびました。あなたの腹話術は、人形から声が出てるようには聞こえません。」

「そんなこと、あらへん。ちょっと待っとき。人形、持ってくるさかい。」

 裕太はリュックから、くたびれた人形を取り出して、芸を披露した。

「裕太さん、ぜんぜんおもしろくないわ。」

「ららかちゃんまで・・・。へこむわあ、俺。」

「自分の芸がおもしろいかおもしろくないかわからないようでは、プロとは言えません。」

「おもろないことぐらいわかっとるわい。おもろいと思わな、なんもできんやないか。」

 裕太は、二本目のビールのプルトップを抜いた。

「お嬢様が、お腹にいるわけですから、人形のセリフをお嬢様が言えば、本物の腹話術になるわけです。」

「本物の腹話術? ちょっと引っかかるわあ。インチキ言われても、しゃあないやんか。」

「この際、背に腹は替えられない、と思いますけど。」

「うまいこと言うなあ、富樫陰陽師。背に腹て。ららかちゃんは、どう思います?」

「わたし、声優もしたかったので、できたらうれしいな。」

「そやな。舞台とか、テレビに出れへんもんね。よっしゃ。ふたりで共演いうのも乙なもんや。早速練習や。ええか、ららかちゃん。」

 裕太がそれまで使っていた男の人形に替わり、女系人形を使うことにした。ららかが集めた人形からお姫様人形を選び、富樫陰陽師が腹話術用に作り直した。

「お姫様か・・・。とくれば、俺、乞食みたいな感じがええな。腹話術は、大抵人形の方が生意気やねん。お姫様と召使いでもええかも。ららか姫と乞食、ららか姫と召使い、みたいな設定で、ネタ作りしてみるわ。おおきに、富樫陰陽師。」

 

 見た目は芸人ひとり。その芸人は、唇をぴくりとも動かさず、左手の人形から美しい女性の声を出す。ネタは普通でも、唇を閉じて女性の声を出すという芸だけでも賞賛に値した。芸人石岡裕太はうなぎ登り。ららかのアイデアで、裕太のブログを作り、ネタの募集をしたところ、これが大当たり。採用になったネタには賞金が出せるほど収入も増えた。飛ぶ鳥を落とすほどの昇り龍。ピン芸人日本一を決める【R1グランプリ】でも優勝。一千万円を獲得した。芸能事務所は、新見芸能プロダクションに鞍替え。腹顔族の末裔である新見周一の営業手腕で、テレビで裕太を見ない日はなかった。腹話術の芸にとどまらず、裕太のトークは大いに受けた。ららかのささやき声がお腹から聞こえる。そのまま裕太が口に出す。ららかのユーモアのセンスと、知識の高さが裕太の武器になり、クイズ番組でも活躍した。一躍時の人となった。

 一方で、仁科ららかの名前は忘れ去られていった。ららか失踪説や自殺説を報道する週刊誌もあったが、事務所は「療養中」の一点張りだった。

 ららかは何度か和田誠也と電話で話した。どうしても会って最後のお別れを言いたいとららかが言うので、裕太は本体の顔に特殊メイクを施すことにした。本物そっくりの人形を作る会社に相談して、目、鼻、口などパーツを取り寄せた。新見社長は特殊メイクの技術者をハリウッドから呼び寄せた。

「金があると、なんでもできまんな。」

 裕太は、新見社長とシャンパンを飲む日々が続いた。

「ぜひ、復活祭では立候補してくださいよ、裕太さん。わたしが、バックアップしますから。」

 新見社長は裕太の右腕となっていた。左手には、腹話術のお姫様人形。

 ららかののっぺらぼうは、見事にららかの顔へと作り替えられた。

「瞳が動くぞ。」と新見社長は高い声で言った。

「特注品やさかい。」

「すごい、本物みたい。」とららかも満足げだ。

「強いショックで、パーツがずれるさかい、気をつけなあかん。でも、これで和田誠也と一応ご対面できるで。ららかちゃん。」

「裕太さん、ごめんなさい、わがまま言って。」

「ええて、ええて。恋のケジメつけるちゅうんは大事や。それで、和田誠也には、腹顔族のこと告白するん?」

「いえ、お別れを言うだけです。」

「それがええ。俺も傍におらなあかんから、個室で会うわけにはいかんな。」

 ららかは和田誠也を東京駅に呼び出した。

「暑いやろ、ららかちゃん。汗、拭いたるわ。」

 裕太は、団扇でお腹を煽いだ。Tシャツには、ららかの目の位置に小さな穴が開けてある。大衆の中の方が逆に目立たない。構内の通路にふたりは立った。裕太も、ららかの本体もサングラスをかけ、マスクをしている。ららかの本体とは一メートルほど離れた。ららかのケータイが鳴る。裕太がケータイを取りだし、お腹のららかの耳元に押しつける。

 周囲からは、お腹をかいているくらいにしか見えない。和田誠也の登場は急だった。行き交う人混みの中から、唐突にららか本体の前に現れた。

「あれ? ケータイは?」

 誠也の声がかすかに聞こえる。人混みを選んだのは失敗だったかもしれない。喧騒で声が聞き取りにくい。

「今、話してたのに。ケータイはどうしたの? あれ? ららかさんじゃないの?」

 誠也がららかの顔をのぞき込む。

「わたしよ。」とららかが言った。

「声、小さいな。どうしたの、心配したよ。マンションに行ったら引き払ってるし。どこかに引っ越したの?」

「病気で・・・。」

「それは聞いたよ。何の病気?」

「言えないの。今日は、お別れを言いたくて・・・。」

「わかった。仕方ないよ、病気なら。心変わりじゃ、ないんだね。」

 本体は、間を置いてからうなずいた。

「よかった。僕だって、きみとの思い出を大切にしたいからね。サングラスを取って顔を見せてくれないか。最後のお願いだ。」

 本体はサングラスを外した。

「相変わらず、きみの瞳はきれいだよ。」

 裕太は、競馬新聞に見入りながら、笑いをこらえた。

「何時の新幹線だい? まだ時間はあるの? 少しコーヒーでも飲まないか。」

「時間、ないの。見送らないで。ほら、もうあなたに気づいてる人がいる。わたし、行くわ。さよなら。誠也さん。ありがとう。愛してたわ。」


 本体は動き出した。裕太も後を追う。

「待ってくれ、ららか。」

 背後に誠也の声が残された。ららかは見えづらいのか、時々通行人と接触しながら歩いている。

「右方向、人、あまりおらへん。」と裕太は本体を誘導した。

「誠也さん、どうしてますか?」

「行ったみたいや。どこにおるか、わからへん。」

 裕太のお腹に生暖かいものが流れた。

「泣けばええ。気が済むまで。」と裕太は優しい声で言った。

 本体が壁に激突した。ららかはコントロールしていない。裕太は倒れた本体を抱き起こした。とりあえず、お手洗いでららかの気持ちを落ち着かせようと考えた。

「トイレ、行ってきます。」とららかは涙声で言った。

 ららかの本体を女性用トイレに送り、男性用の洗面台でららかの顔を拭く。

「ららかちゃんの本体、ちゃんと便器まで行けたんかな?」

「大丈夫です。手探りで、たどり着きました。今、便器に座れました。誰かが、わたしを盲目だと思って、手伝ってくれたようです。」

「親切な人がおるね。俺、女子トイレ、入れへんもん。もう、気分はええかあ。」

「はい。小をしたら、すっきりしました。」

「ららかちゃん、女優が、そんなこと言ったらあかんがな。」

「今、トイレを出ます。あれ、でも、体が言うこときかない。どうしたんでしょう?」

「どないした?」

「なにかがわたしを圧迫してます。口のあたりとか。あっ、胸を触ってる。」

「痴漢やないか!」

 裕太は女子トイレに入った。女性の姿はない。五つあるトイレのうち、三つ鍵がかかっている。

「どれや?」

「わたしも、どこか、わかりません。」

 裕太は、下の隙間からのぞいて見た。足が四つ見えるトイレを探したが、どれも二つだった。ただ、ひとつだけ、つま先の向きが便器を向き、大きめの足が見えた。

「ここや。警察呼べへんし。俺がやるしかないな。参ったなあ。人、来たら、俺の芸能生活おしまいやがな。」

「裕太さん、は、や、く。抵抗してるんですけど、相手の力、すごくて。あっ・・・。」

「痴漢野郎め。」

 裕太は、ドアの上に飛びついた。懸垂をして、上からトイレを見下ろした。ららかの本体に抱きついた男は、目を大きくして裕太を見上げている。

「あっ、お前!」

 裕太はドアから降りて、ドアをノックした。

「こら痴漢、ドアを開けんかい。」

 しばらく待つが、中から反応はない。

「今ならまだ間に合う。俳優が、こないなことしてええんか?」

 ドアは突然開いた。

「誠也さん・・・。」とららかは言った。

「あれ? やっと声が聞こえた。でも、変だ。ららかさん、どこにいるんだ?」

 誠也は、よだれを拭きながら言った。ららか本体の顔は、唇と鼻がゆがんでいる。

「無理矢理キスなんかしてからに。俳優がなんちゅーことしてんねん。やば、人が来る。」

 裕太はトイレに入った。

「あんた、誰ですか?」

 誠也は、敵意むき出しで裕太に詰め寄った。

「声がでかい。」と裕太は言った。

「ららかさん、まだ僕を愛してるっていったのに、こんな男がいるじゃないか。」

「ごめんなさい。」とららかは言った。

 誠也は裕太に向き直り、首を傾げた。

「今、ごめんなさいって言ったの、あんたですか?」

「俺が、なんでおまはんに謝んねん。」

「だって今、後ろから声が・・・。」

「気のせいや、それより女子トイレに入り込んでなにやっとんの。芸能人のすることか?俺とららかが一緒におったからいうても逆上しすぎや。」

 ららか本体は、ゆがんだ鼻と口を元に戻そうとするが、やめた方がよかったかもしれない。

「だって見てみろ。ららかちゃんの顔・・・。」と誠也が指さす。

「だってじゃあらへん。お前がすんなり帰っとけば、こうはなってへん。」

「あんたの声、きいたことあるぞ。そうだ、腹話術の・・・。」

「人違いや。」

「サングラスとマスクを取って見せろ。」

「お前になんの権限があんねん。痴漢で警察に突き出すでえ。」

「石岡だろ? 石岡、なんとか。」

「こら、ちゃんと覚えんかい、売れてる芸人やぞ、って違うわ、アホ。」

「そうだよ。人形の声、誰かに似てると思ったんだよ。ららかさんの声だったんだな。あんた、ららかさんになにをしたんだ。あんたを、ららかさんが好きになるなんて考えられない。そうだろ? ららかさん、僕が助けてあげるよ。返事をしてくれ。」

 誠也は、ららか本体の顔を見て言った。

「しかも、なんだこの顔は・・・。」

「誠也さん、わたし、見てのとおり、こんな顔になってしまったの。だから、女優を諦めたの。もう、わたしのことはほっといて。」

「そうはいかないよ。僕は、真剣に、きみを愛していたんだ。うん?やっぱり口は動かないし、声は後ろから聞こえる・・・。」

 誠也は、裕太のお腹の辺りを見つめた。そして、非難がましい目を裕太に向けた。

「わかったよ。」

 裕太は、お腹のららかに目で同意を求めた。ららかは、やや考えてから、うなずいた。裕太はTシャツを上げてお腹を見せた。ららかは、きまり悪そうに目を伏せた。

「なんだ、これ?」

「未知との遭遇って、やつや。和田誠也、世の中には知らんもんがいっぱいあるんやで。信じられんことが、仰山ある。お前の前に起こってることも、そのひとつや。質問は受け付けん。これ、誰にも言うんやないで。しゃべったら、お前、殺されるで。わしら、腹顔族にな。」

「ららか、さん?」と誠也は言った。

 ららかは誠也を見上げた。

「今度こそ、さようなら・・・。」

 裕太はTシャツを下ろした。本体を抱きかかえ、トイレを出た。

「警察や。ちょっと通してんか。」

 トイレにいた女性をかき分け、裕太は外に出た。まもなく、背後から悲鳴が響いた。裕太は振り返らずにつぶやいた。

「あいつも、タレント生命、おしまいやな。」

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