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脈流(RW1)  作者: 智路
第2部 幼鳳のさえずり
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第4-2話 それぞれの道

第4-2話 それぞれの道

 トランティスからゴクウが定期交流のため地球にやってきていた。

「また、サンガに難題を振ったそうですね」

「難題?あぁ、永久機関のことか」

「まぁ、サンガは喜んでいましたが。サンガは桃九さんに何かを頼まれることが嬉しいようです。ところで、わたしは近々天の川のバルジに調査に出かけることになりました」

「一人で?」

「いえ、この二人を共に連れて行きます」

「チョと申します」

「サゴと申します」

 桃九にのった二人が挨拶をしてきた。この二人はアンドロメダの精神の檻に囚われていたようである。それが、檻の錠が開いたことにより行き先を失い、アンドロメダでは相手をしてくれるものが見つからずトランティスでいたずらをしていたところをゴクウに咎められたという経緯のようである。

「もう一人グリーンというブラックホールの研究者である精神体も見つかり、その者との共同研究のためバルジ行きが決定したのです。そのため、次からの定期交流にはサンガ自らが来るそうです」

「サンガと会うのは久しぶりだな。しかし、バルジ行きに問題はないのか」

「はい。調査だけですから。それに精神鞭の鍛錬とちょっとした試みも考えています」

「どういうことだ」

「精神鞭はエネルギー体にも効果があるようなのです。そこで巨大な重力にも効果があるのか試したいのです」

「無茶はするなよ」

 桃九は地球の主席でサンガはトランティスの国王代理である。格から言えばサンガから訪問するのが自然といえる。

 ゴクウと入れ替わるようにガウスが部屋に入ってきて、開口一番、

「子らのことには責任を感じている。元はといえば、あの紋章を作ったのはわたしだ。そこでわたしは、あの紋章と次元の研究に打ち込みたい。暫く、お前とは会えないが、寂しく思うな。そうそう、波の研究はセガルの一族に託しておいた」

「責任を感じることはない。しかし、寂しくなるな。ん?寂しいのはお前ではないのか」

 東雲が論理感性融合法の講座を本格的に始めるようである。今までも、不定期に小さな講座を開いていたが、受講者の評判がよく東雲が「まだ未完のものじゃ」というものを無理やり説得した結果であった。

 桃九は3人の子らがどのような人生を歩むにせよ、東雲の人柄に触れることは大きな財産になると思い、その講座に出席させるようにした。子らも「じい、じい」と懐き、東雲も子らを可愛がってくれているから気が向けば個別授業をしてくれるかもしれない。まだ幼い子らには理屈は理解できないかもしれないが、何かを感じてくれたならばよいと思っていた。

 こうして、それぞれの人がそれぞれの道を行くことになった。いつかはその道が合流するのであろうが、そのときが何かの問題のときではないことを願う桃九であった。

 桃九は、己のライフワークである「形状性質論」の研究に打ち込むことにした。地球の主席ではあるが、何も問題が起こらなければほとんどのことを部下に任せておける。それほど今の地球は平穏であった。


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