第3-2話 ガウス
第3-2話 ガウス
「この方が桃九さんですか?」
「そう、地球のトップだよ。ところで、少しだけチロも同席させたいのだが、どうだろう」
「チロ様に会うことも目的のひとつですから……」
こうして、チロも桃九にのることになった。これで桃九が最低3つの受感部の分枝を持つことがわかったことになる。そして、4人の会話は桃九の受感部と分枝上で行われた。
「ルガ、ごめんなさい。いろんな意味でごめんなさいなのだけれど、先ずはあなたたちをわたしの失敗作として見捨てたことね。そして、一番大きい罪はあなたたちを自分の道具のように思っていたことね。セイトから聞いたと思うけど、わたしとセイトは今後、人類への介入はよほどのことがなければ、しないわ。そして、ルガがよかったらなのだけど、あなたの名前を変えたいと思うのよ。ガウスでどうかしら?勝手につけた名前だから、自分で選んでもいいのよ」
「いいえ、チロ様。ありがたいことでございます。これからガウスと名乗らせてもらいます」
「ガウスくん、もうチロ様は止めにしようよ。チロさんにしようよ。桃九くんだって、いつもさんさんさんだしね」
「様なんてつけた記憶がありませんね。ところで、そろそろガウスさんをセガルの一族のところへ案内してはどうでしょうか?」
「おお、そうだった」
セガルの一族のものたちは自分たちの居所と地下通路で繋がっている桃九の邸宅の大会議室に集っていた。前もってセガルの一族のものたちに「3先祖神の一人のルガさんが、間もなくここへくることになっている」と伝えてあった。桃九はガウスを連れて大会議室に入っていったが、ガウスの姿は誰にも見えない。そこで桃九は、
「リータ前に来なさい」
と呼びかけた。
ところが、自分に向かって歩いてくる娘を見て驚いたのは、ガウスであった。
「妻と娘の生まれ変わりのようだ。きっと、わたしの血が流れているはずだ。桃九さん、この娘は?」
「感介者です」
早速、リータにのったガウスは、
「娘よ、自分の先祖のことを何か伝え聞いていないか?」
「いいえ、ただわたしの家系は生まれつき文書を理解することができます。文書を読むことはできないのですが、紋章とその効能がイメージできるのです。昨年いったお婆様もそうでした」
「理由はわからないが、何かが作用しているのだろう」
この時点で、ガウスは地球に住むことをほとんど決心している。しかし、それを確定させる出来事がほどなく起きることになる。
「ガウスさん、皆に言葉を……」
「ああ、そうだった。皆苦難を乗り越えて、よくここに辿りついたな。これからはこの桃九さんが庇護してくださるそうだ」
一族のものたちが皆ひれ伏していたとき、この言葉を聴いて先祖神の存在の実感が数十倍にも増したようだった。
「先祖神様」
という声が皆から発せられていた。桃九は、
「これはガウスさんも納得済みだが、これからは先祖神様という呼称は止めることにしよう。ガウス教師と呼び、皆多くのことを彼から学んでくれ。これからは、この世界をわれら人類が発展、繁栄させていかねばならない。われらが何処を目指しているのかまだわからないが、多くの経験と知識を得ることで、それを導き出したいのだ」




