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脈流(RW1)  作者: 智路
第2部 幼鳳のさえずり
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第2-18話 ムレンの最期

第2-18話 ムレンの最期

「ムレン様、セイトを引き連れてまいりました」

 ムレンは壁越しにそれを確認した。

(うむ。檻には入っているし、錠もかかっている)

「この部屋の中に入れ」

 ゴクウはセイトの入った檻を引きずって部屋の中へと入った。

「ゴクウ、この精神縄で檻ごとセイトを縛れ。いや、わしがやる」

( ゴクウに裏切られてわしが縛られてはたまらんからな)

と、その挙動が一瞬の隙を作った。

「如意。伸びろ」

「如意。縛れ」

「な、なんだ、これは」

「抜け出すことができるかな?それは、カレンさんの長年の恨みのこもった精神縄だ」

 セイトは檻の中からそうムレンに告げた。ムレンが抜け出すことができそうなら、セイトの檻が壊される手筈となっている。

「わたしたちは、ここに囚われている一人を救出になってきただけだったが、思わぬ展開になってしまったようだ。だが、この展開はお前の自業自得というところだな」

 セイトはムレンをどう処すべきかと考えていたが、

「う、うわ~」

 ムレンは見る間もなく精神分割を加速させていった。

「ゴクウがやったのではないな?」

「はい。わたしは何も」

「おそらく、カレンさんが一定の条件下で動くプログラムを埋め込んでいたのだろう。残るはセイメイだけだな」

「どうしましょうか?」

「セイメイだけは監禁しよう。その後のことは、アンドロメダの人たちが決めることだ」

「治安が乱れませんか?」

「可能性は高いな?しかし、わたしたちとアンドロメダの人たちの価値基準が同じであるという保証はどこにもない。われらの価値基準を押し付けるわけにはいかないのだ」

「こういう方法はどうでしょうか?アンドロメダの人たちが望むことだけをわれらが実行するというのは?」

「1000億人を越すアンドロメダの人たちがいるのだぞ。誰かが望めば、誰かが望まないということは当然のように起こる。それに多数決はいけないということは知っているな」

「アンドロメダの人たちにわれらへの望みを決めてもらいましょう」

「だから、どうするのだ?」

「みな個人ID端末を持っています。それから発進してもらえば……」

「1000億人の望みだぞ。収拾がつかない。それにその望みを誰がとりまとめるのだ。われらか?それはできないぞ」

「とりまとめるのはアンドロメダの人たちにやってもらえば……」

「とりまとめ役の人選はどうするのだ?」

 こうして、結論の出ない会話が続いていた。


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