表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脈流(RW1)  作者: 智路
第2部 幼鳳のさえずり
37/78

第2-9話 残るもの

第2-9話 残るもの

 桃九に実験ではという条件つきであるが、あの大正三角形の中に閉じ込められた人を解放できたという報が届いた。桃九はアンドロメダに旅立つためにいくつもの部署に申し送りをしていて多忙だったが、この報を確かめることを最優先とした。

「地球のトップの方をお呼びたてして申し訳ありません」

「いえいえ、わたしが我儘でやってきただけです」

「少々お待ちいただけますか。セイトがお話したいことがあるそうです」

…………

「やぁ、桃九くん、地球ではお世話になったね」

「いえ、皆チロさんがやったことです。わたしは太陽の中心までいけませんから……」

「ははは、ところで、少しでも希望を持ってやってきたのなら、残念だけどと言うしかないよ」

「紋章のことですか?」

「そう。あの紋章は歳月がたち過ぎている。歳月は物質に予測できない変化を与える。ここまで言ったら君ならわかるよね」

「結論としてあの封印を解くことはできないということですね。だからチロさんはルガさんを必要としているのか」

「うん、どういうことだい」

「ルガさんにあの紋章の完全体を作ってもらって、あの紋章との差異を修復していこうとしているのです」

「なるほど、それがベストだね」

「ところで、アンドロメダ行きの目処はどうですか?」

「行って戻ってくることはできるはずだ。しかし、1つの残骸をアンドロメダに残してくることになる。そうすると、ルガを浚ったのはわたしたちですよと言ってることと同じになる。アンドロメダの火力を総動員されると天の川銀河そのものが滅茶苦茶になる。おそらく、われらを探すということはしないだろう。絨毯爆撃で天の川銀河を破壊すると思われる。だから、絶対にわれらがルガを浚ったという証拠を残してはならないのだ」

 桃九は、実験場を訪れた。

「随分大きな三角錐の宇宙艦ですね」

「はい。3重目は1辺が8kmあります。2重目は1kmです。最期の帰還艦は100mぐらいしかありません。このぐらいの比にしないと相互作用の影響が大き過ぎて調整ができないのです」

「残してくるのは1kmの2重目ですね」

「はい」

「どうしても目立ちますね」

「はい」

「もし、なくなったとしても目立ちますね」

「え?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ