第2-7話 失敗のステップ
第2-7話 失敗のステップ
「3・2・1・Go」
秒読みが終わったが、宇宙艦が発進した様子はない。通信機により、管制塔は宇宙艦の内部に呼びかけた。
「無事か?」
「あまり、無事でもありません」
「故障か?」
「宇宙艦が何処かに行ったのでわかりません」
「何だって!宇宙艦はここにいるぞ」
「では、ここは何処なのでしょうか?」
この会話の数秒前に実験の責任者は嘆いていた。
(盲点だった。われらは転送機の実験をしていたのだ。搭乗員を転送しただけなのだ)
「そこが、目的地かわかるか?」
「天測をしてみます……。確かに目的地のようです」
「肉体は持っているか?」
「は?われらのですか?」
「誰の肉体を持つのだ」
「防護スーツ着用のため、自分の触覚を確かめることは困難ですが、他の二人は肉体を持っているように見えます」
「わかった。それで十分だ。ともかく、戻って来い」
…………
「あ、艦内に戻りました」
「そこから出られるか?」
「ハッチを開ければ出られると思いますが、艦内は真っ白な空間です」
「わたしは、緑の空間に感じるぞ」
「わたしは青だ」
「どうして艦内に戻ったとわかったのだ」
「どうしてと言われましても、そう感じたのです」
「管制塔からハッチを開けられるか?」
「試みてはいるのですが、開きません」
「予想通りとはいえ、あの3人は閉じ込められてしまったか。無事であったのがなによりであるな」




