第2-4話 研修団
第2-4話 研修団
「研修団として何人かを送り込むことに成功したよ」
「まずは第1歩ね。ところで、トランティスの移転の話はでなかった?」
「あぁ、全く。それより早ゴクウを寄越せだとさ。トランティスよりゴクウに興味があるみたいだ」
「わたしはムレンのことを好きでも嫌いでもないから苦になりません。でも、マズラとセイメイは苦手だな」
「まぁ、せっせとムレンの気をひいておいてくれ。間違っても情報収集をしようなどと思うなよ。それは別の手を考える」
「研修団のメンバーはゴクウ以外は誰々がいいかしら?」
「そうだな、トランティスからは3人だそう」
「じゃあ、地球からは、桃九とアバとナカマかしら」
数学に関しては桃九を外すわけにはいかない。アバも元数学者であるが、能力は飛び切り低い。しかし、咄嗟の判断力は地球で一番優れている。つまり、いざというときの脱出を指揮することになる。目的はルガの救出であるが、その目的を遡ると紋章の解読が本質となるからナカマも必要となる。
「トランティスの宇宙艦だとアンドロメダまでどのくらいの時間が必要なの?地球の宇宙艦だと行けないわ」
「極の対消滅エンジンを搭載した艦は全て解体したから、通常エンジンの性能は地球のものとあまりかわりないよ」
「じゃあ、人をのせてどうやってアンドロメダまでいくの?」
「アンドロメダのために特別仕様の艦を製造しているところだよ。アンドロメダ銀河と天の川銀河の間は物質密度が低いから、それに合わせたエンジンを載せようと思うのだ。これで250万光年を1ヶ月くらいで渡ることができる。問題はアンドロメダ銀河に入ってからの12万光年をどうするかだ」
「エンジンを2つ載せるということね?1つじゃ駄目なの?」
「駄目だな。危険過ぎる。1つ目のエンジンは進行方向が真空であることが条件なのだ。だから、進行方向の塵を除去しながら進むのだ。塵がなければ理論上は250万光年を3秒くらいで航行できる」
「なるほど。どんな技術?秘密かしら?」
「そんなことはないさ。位相と群速度の組み合わせを使うのさ」
「あ、そうか。でも理論上は可能だと思うけど、艦体がもつかしら?」
「そこが、問題だった。エンジンと艦体をエネルギーの同じ位相とリレーにのせなければ、エンジンだけが先に進んで、艦体はばらばらになっちゃうからね」
「どうやって解決したの?」
「ジャイロの応用さ。波の角度を測定してエンジンと艦体の両方の同期をとったのだ。推進するときだけ、物質は一瞬だけサブユニットに相を代えることになる。航行の間、サブユニットだけで行こうかと思ったが、人の肉体が耐えられないという意見がでたのだ」
「だから理論3秒実際1ヶ月なのね」




