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脈流(RW1)  作者: 智路
第2部 幼鳳のさえずり
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第2-3話 セイトの伺候

第2-3話 セイトの伺候

 大マゼラン雲に生命体を発生させようとするケシラがいた。ケシラはサンガとゴクウの従兄弟である。トランティスに戻るとサンガの下に入るのが嫌で大マゼラン雲に居座っているのだが、それだけではなく、アンドロメダのムレンに取り入ることに成功していた。ムレンはトランティスが妙な動きを見せたときなどの偵察や撹乱にケシラを使おうという腹積もりのようである。

 大マゼラン雲は天の川銀河の1/10の質量であり、16万光年の位置にある。銀河の形状は不規則型で整形されたバルジを持っていなく、銀河の中心にはブラックホールが散在するだけである。

 ケシラは、このブラックホールの間に生命体を発生させようとしているが、未だ成功には至っていない。

 さて、アンドロメダのムレンを訪ねたセイトは、

「お久しぶりでございます」

「おぉ、随分久しいのう。ゴクウから病に罹ったと聴いたが、調子はどうだ?」

「おかげさまで、快癒いたしました。それより、また軍備を増強致しましたね」

「あぁ、あれはセイメイが勝手にやっておるのだ。まぁ、いつ何処から攻められるかわからないからよしとしておる」

 セイトとムレンは桃の精の第3世代目で同格なのであるが、生命体による文明の歴史や軍事力が桁外れに違うため、セイトは下手にでているのであった。ムレンはムレンでセイトと1対1で対峙すれば、ただでは済まないことを知っているためあまり邪険にできないと思っている。

「人間はいかん。身体は弱いし、欲が深い。セイメイの報告によると度々反抗するようだから、今、セイメイに命じて知的メカの改造をしておるところだ。しかし、メカはメカで頭が悪くていかん」

「もしかして、増強した軍備はメカの部隊ですか?」

「そうじゃ。人間を配備するとなると、やれ訓練が必要だとか、食料が必要だとかと言い出す。その点、メカは何もいわん」

「なるほど、仰るとおりで」

「ところで、最近ゴクウの姿を見ないが、どうしておる。あいつはやんちゃだが、素直なところがよい」

「わたしが病に罹ったため、穴埋めに東奔西走しております。わたしが戻ったので、近いうちにゴクウを寄越しましょう。ゴクウもその方が気が楽でしょうから。いつもムレン様のところが自由で気楽だと申しております」

「おぉ、そうか。わしもあいつが可愛いぞ」

「ところで、トランティスの開発でどうしても必要な数学的技術が必要なので、伝授してもらえませんか?」

「よかろう。そのときゴクウも来るのか?」

「はい。お連れします」

「これで退屈しないわ」

 ゴクウはムレンのお気に入りのようである。

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