第2-2話 セイメイの性質
第2-2話 セイメイの性質
アンドロメダ銀河を天の川銀河と比べると、直径が3倍弱と大きく、天の川銀河の棒渦巻銀河に似た渦巻銀河に分類される。依って、アンドロメダ銀河の中心部に存在するバルジは天の川銀河バルジを遥かに凌駕する大質量を持つことが予測される。これにより中心部のブラックホールの質量を現段階では推測することもできない。また、アンドロメダ銀河を取り巻く伴銀河の数も天の川銀河のそれを遥かに超える。
地球から260万光年の距離に位置するアーべ共和国は、アンドロメダ銀河バルジの外縁部から2万光年ほど離れたところに存在した。トランティスも天の川銀河バルジの外縁部に存在したことから、文明が大きく発展するために銀河の中心部は、生命体の発生や成長に必要な条件を持っているのかもしれない。
厳密に測定したわけではないが、銀河の中心部と円盤の縁では、中心部の方が時間の進みが速いようである。これは物質の化学反応の速度も速くなることを意味する。個々の化学反応の速度が速くなっても、全体として見ると比例関係で速くなるだけであるが、生命体のような複雑な組み合わせを必要とするものには、創発現象が起こり易くなる可能性を秘めている。
アーべ共和国の起源は60万年前とされている。当初は、穏やかな共和制をしいていたが、いつのころからか、セイメイが独裁的に振舞うようになったようである。これに不満を持つものもいたが、表立ってはマズラがセイメイの味方をしたようで、裏ではムレンは知らぬふりをきめていたようである。このような状態で現在の独裁的共和国ができあがった。アーべ共和国は完全な中央集権国家で、優れたものがいれば、中央に呼び寄せほとんど監禁状態で働かせていた。
セイメイは猜疑心が強く、そして細かなミスも許さない性格であった。そのため、現在では有能な部下を持っていない。しかし、セイメイは識髪の能力を持っていて、自分の髪の毛をメカにしたり、追尾線にしたりすることができた。追尾線とは、疑いのある人物につける見張りのようなもので、この追尾線が切れると如何なる理由であっても断罪となった。つまり、セイメイは部下より自分の能力を信じる性質であったのだ。




