表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脈流(RW1)  作者: 智路
第2部 幼鳳のさえずり
15/78

第1-8話 次元と2元数

第1-8話 次元と2元数

 人が人に何かを伝えるとき、伝える者を発信者、伝えられる者を受信者と呼ぶことにする。このとき、発信者が意図を持って何かを伝えたとしても、受信者の受信した内容は受信者によって決定される。つまり、発信者側の意図や伝えたはずの内容に関わらず、受信者側の解釈によって全てが決定されるということである。これは、論理感性融合法の基本的な考え方の1つになっていて『授受非等価』と呼ばれている。

 2元数の定義は、『与えられた数体系 K に対し、K に含まれないもう 1 つの元 ε を与えて、1 とその ε の線型結合 x + yε (x, y ∈ K) として得られる K 上 2 次元の数体系である。』となる。筆者はこの物語のために、これを次のように解釈し定義し直したい。

『性質の異なる数体系が2つ存在するとき、1つをx、1つをyとする。数体系が異なるから結合のため、結合値εをyに与えて2次元の線形式 x + εyとして表記する。そして、このxとyを2元とした線形式を2元数式と定義する』

 ここでεが1のとき、2元数式はx + yと等しくなり、2次元数式は1次元数式として扱うことができる。つまり、εが1であれば、1つの次元は隠れたことになる。

 上記の定義から例を挙げれば、実数の整数部と少数部は性質が異なるため、2次元数式で表記できる。整数部をx、少数部をyとしたとき、値は x + εy(ε=1)となる。整数部と少数部が異なる性質であることを説明したい。任意の実数値に整数部の値を乗じれば必ず数値は増加する。逆に少数部を乗じれば必ず数値は減少する。除算はそれと逆の振る舞いをみせる。これを性質が異なるとみなすと、そのような例は数多く存在する。それを、われわれは当たり前のように1次元数式として扱っている。このことから、物質世界には隠れた次元が多数存在することがわかる。

 ところが、3次元の物質世界を見てみると、3つの座標軸全ての性質は同等である。そのため、次元の性質を明らかにするか、定義をする必要がある。この物語の次元の定義を『それぞれの次元は異なる性質を持つ」とする。但し、特殊なケース(2次元数式のε=1のときなど)のときに次元は隠れ1つの次元として扱うことができる。このことから、3次元の物質世界は同質の隠れた次元を持つ次元が3つもそろっているのだから極めて特殊であるといえる。

 物質世界は空間線の極の配置パターン(桃九らはそのサブユニットを発見している)により構成されているから、実は特殊ではなく、必然的に作り出された世界である。この2部では触れる予定はないが、セルオートマトンやフラクタル図形の拡張を考察しているところである。

 これらのことから紋章が2次元平面であることは全く問題とならないのであった。みかけの2次元平面が持つ隠された次元を発見することが、転送機の修復に繋がると桃九は考えている。

 とはいえ、目に見えるのは平面図形とアークの集合体だけである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ