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ラミアの森  作者: 林育造
最終章
38/44

セメントはなかなかできなかった。

漆喰は簡単にできるのだが、やはりどんなものをどれくらい混ぜるかが重要らしい。色々なものを手当たり次第まぜていたある日、漆喰の中に光るものを見つけた。

よく見ると、どうもルビーっぽいものである。

このとき石灰岩と一緒に混ぜたのは、焼失した森の灰を含んだ土だった。どうも森の周辺ではルビーが落ちているらしい。

森まで行って、様子を聞いてみることにした。急いで往復1日、余裕を見れば1泊2日の行程である。

「くーっ、いつか自転車創ってやる」

その前にコンクリートによる舗装が必要だろう。


森に着いて、パフにルビーを見せ、見たことがないか尋ねる。

「この石なら森の中や周りに落ちてるよ」

「今まで見たことがないけど」

「これね、集めて、砕いて粉にして、矢じり尖らせるのに使うの」


ルビーは宝石にも使われる硬い石である。そんなものをどうやって砕くのかやり方を見せてもらうと、平たくなった石の上にルビー粒を置き、子どもの握りこぶしくらいある石ですり潰すようにして粉にしていく。

「ここに水を垂らして矢じりを尖ら「ちょっと待ったぁ」」

別に、粒ルビーを潰すのを()めたわけではない。

問題は、ルビーをすり潰すのに使った石である。見せてもらうと、これも立派なルビーっぽい。すり潰すのにずっと使っていたようで表面は傷だらけだが、ルビーをすり潰せている以上、色の似た他の石ってことはないだろう。

「これも森に有ったの?」

「うんっ、でもメグさんはもっと大きいの持ってたよ」

これより大きなルビーだって?

「そう言えば、メグさんは?」

「えっとね、この前セッケさんの子どもと森探しに行った。石も持って行ったと思う」


これはまずいことになった。

メグさんは腕の良い猟師でもあるから、おそらくどこかの森を探し出して無事住み始めただろう。そこで、もしその石のことを尋ねられたら、ここの森から持って行ったことを話してしまうかもしれない。いや、矢じり作りに使っているくらいだ、そこら辺の石ころと同じ扱いだから気にせずに場所を教えるだろう。そうなると、ルビー目当てにこの森に人が押し寄せるかも知れない。

別に宝石が欲しいわけではないが、無用な軋轢は避けなければならない。石がどこで採れたかは口止めしておいた方が良いだろう。俺はメグさんがどちらに森探しに行ったかを聞いた。マリリ川上流のはずだとのことだった。

「よし、ちょっと行ってくるか」

口ではちょっとと言っているが、どう考えてもちょっとではない。


「ねえルッツ、どうして人が森に来ると思うの?」

「だって、森で宝石が採れることが分かったら採りに来ると思わないか?」

「……あのさ、どうして宝石を欲しがると思うわけ?」

「え、そりゃあきれいだから」

「どういう目的できれいな宝石を身に着けるのよ」

「自分をきれいに見せようとして、かな」

「何のためにきれいに見せるの、もてる為?」

「ああ、そうかも」

「だったら、目の前に美女(ラミア)がいるのに、わざわざめんどくさいことして宝石探しから始める必要ないんじゃない」

「そういうものなのかな、でも、女の人が探しに来るかも」

そう言うと、ヌェムはため息をつきつつ

「気を付けて言って来てね」

と言ってくれた。さらに準備をしていると、ハッピーがついて行く気満々になっている。しかし、メグさんは迷子事件の前に森探しに向かっているので、ハルピュイアが不用意に近づくと、矢を射かけられる可能性が大きい。しかも、メグさんは腕がいいので命中率も高いから危険である。

「ハッピーも留守番」

「ぴゅいあー」

ちょっとしょんぼりしているが仕方がない。


ところが今度はなんと、パフが「ついて行く」と言い出した。

メグさんがどちらに向かったのか確認しに行ったとき、俺がパーチさんだけを連れて行くつもりであることに呆れたようだ。、

「あのね、ラミアはこの森だけにいるんじゃないんだよ。他の森から来たラミアはルッツ先生がどんな人か知らないの、そしたら、食べられちゃうかもしれないんだよ。ルッツ先生がいなくなったら薬を売ってもらえない私たちも困るけど、街の人たちも困るんじゃないの? だから他のラミアに、ルッツ先生が誰を探しているか説明できるようについて行く」

「いや、大丈夫だから」

「そんなことないよっ」

そう言うとパフは俺を抱き寄せてギュッとしがみつくと、あむっ、と首に歯を立てずに噛みついた。

「ほら、全然抵抗しないじゃない。今の、私が噛んでたら先生死んでるんだよ」

「だって、パフが咬みつくとは思ってな」

「先生は相手が誰だって突き飛ばしたりしないでしょっ」

パフが珍しく「ぶーっ」と膨れている。しかし、昼間の移動が中心になる以上、パフを連れて行くと疲れさせてしまうだけだ。

「わかった、じゃあついて行かないから今日はうちに泊まっていって」

「なんで?」

「ラミアは人間のオスをいきなり殺したりはしない。だから、殺されないように我慢するれんしゅー」

「だからなんで……むぐっ」


 + + + + + + +


「それじゃあ、イノシシが必要になったら貰えるように言っとくから」

「うん、本当に気を付けて行ってらっしゃい。知らないラミア(ひと)だったら近づいちゃだめだからね」


前回のマナド行きでパーチさんの警戒能力と食糧調達能力が高いことが分かっているので、今回の探査に同行してくれるように頼んだ。パーチさんからは二つ返事で了承してもらった。相変わらず人狼たち(ルーガルー)は俺の頼みを断わらない。


メグさんの移動行程に従って橋を渡り、マリリ川対岸を上流に向かう。前のように鍾乳洞に落っこちるのはまっぴらである。このまま川沿いに進み、森があったら様子を見ていくつもりだ。森があっても街が近くにないときは住みつかないらしいので、どこか街があったらそこを拠点に見える範囲の森を捜査するという方針を立て、宿に泊まる用意もしてある。


意外に早く、5日目に街に着いた。街の名前はヌーハというらしい。ここまで、ラミア族が住めそうな森は見なかったが、ヌーハから見える範囲に森が2つあるようなのであそこから見に行くことにしよう。

まぁ、ルビーではなくてスピネルかもしれませんが


ちょっとリアルでペーパー×2と報告書をしょい込んで発狂しそうになっており、感想に返信できていません

もうしばらく返信できそうにないので、このまま完結まで突っ走るかもしれません

感想をくださった方は、気長にお待ちください

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