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ラミアの森  作者: 林育造
第1章
12/44

生物学的解説と本作設定について

本作の設定についての解説です

大変ややこしく、文章もくどいです

読み飛ばしていただいても、何の問題もありません

生物学的解説と設定


○ ラミアとは

 ラミアと言うのは本来、ギリシャ神話に登場する女性で、ポセイドンの娘(または孫)。神話における究極の発情チャラ男である悪名高い最高神(何が最高なんだか。すべての元凶はゼウスにあると思うのだが、その姉であり妻であるヘーラーに対して隠れつつ淫行を繰り返す、口だけではなく行動に移してしまうイタリア人のようなダメ男っぷりにはあきれる)ゼウスに見初められ子を産むが、ゼウスの妻ヘーラーに子を殺され、呪いをかけられ、その後怪物化。この時の描写が半身蛇の姿である。ギリシャ神話では、怪物化した後は人語を話せないと云う事らしい。チャラ男ゼウスが見初めるのだから美しいということであり、怪物化しても一般の男を惑わすことができる程度には美しいはず。


○ 蜂擬態ラン

 ランは不思議な形態をした花が多いが、ヨーロッパに分布するOphrys属のランやオーストラリアのDrakaea属のランは花がメス蜂そっくりの形をしている上、メス蜂の出すフェロモンまで真似してオス蜂を呼び寄せ、花粉を運ばせる。要するに、メスに魅かれる別種(この場合、「種」どころか「界」が違うのだが)のオスを騙し、自分のためにエネルギーを使わせるのである。


○ ギンブナの繁殖方法

 ギンブナは、日本各地に分布する【普通の】フナで、3倍体と言うゲノム構成を持つ(一般的には人間も含め2倍体)。そのため、通常の減数分裂による卵を作れず、子どもをクローン的に作るのだが、その際、発生のきっかけとして他種キンブナやニゴロブナの精子が必要である。実験的にはドジョウなど近縁ではない魚の精子でも発生が可能だが、繁殖時期や繁殖行動が異なるため自然界では無理。

 作中で声に少し喋らせているが、スジアイナメは雑種生殖と言うゲノムを選別する別の変な繁殖方法を行う。


○ 本作設定

 今年は巳年だよな→ヘビやヘビっ娘がメインキャラの小説をなろうでサーチ→意外に少ないな→なら、書いちゃえ と、書いたのが本作。本作ではラミアを個人ではなく生物種のひとつとしてとらえ、その生態を構築している。

・舌が2つに分かれていたら、喋れないじゃん → どう考えても普通の舌だよな

 ギリシャ神話では人語を話せないことになっているらしいが、本作では話してくれなければ話にならず、そのためには蛇舌では困る。舌の形状そのものの描写はしていないが、上半身で人間と異なるのは犬歯とそこから出すことができる毒、食いだめができる胃袋だけと言う設定にしている。

・上半身が人間と同じである必然性は、その姿をしていると都合が良い(利益が大きい:適応度が最大になる)から

 ここでイメージしたのが上記蜂擬態ランの繁殖戦略。だが、動物なので配偶子を運ぶ必要はなく、+ギンブナ戦略としたら、人間をだまし、精子だけ貰う設定になった。

 だが、ギンブナ戦略ということは基本的に単為生殖(=メスしかいない)であり、物語でよくみられる設定(ラミア=蛇女族)にも一致するな、と。


 なお、動物で交尾が向い合わせなのはカニ・ザリガニなどとヘビだけで、陸上ではヘビ(と、人間)だけではないかと思われる。(あし)って意外に邪魔らしい。参考までに、後ろ向きで行うのはイヌ科の一部とダニや昆虫(いずれも節足動物)などの一部。

 これらのことから、ラミア種が人間の姿をしているのは、人間と同じ姿をしてオスを騙しているのだろうと。だまして交尾しようとさせ、精子と栄養を貰う(=食べる、神話上もラミアが子どもを食べるストーリーがある)戦略であることにした。しかも、体勢的に向かい合わせでやるしかなく、咬みつきやすくなっている。で、そうなると眼も瞳孔が縦長である必然性はないだろうという設定に。


ただしこのような繁殖戦略では他種とオスを共有することとなり、オスの数の不足から全体的に繁殖効率が落ちる。ギンブナでも精子を利用される種と共倒れになりかねない。

そのため、本作の設定ではラミア族は種としての人間の減少を危惧しているので、その資源はしっかりと保護しており、(メス)や子どもは食べないことにしている。主人公であるゲルツルードが助けてもらえたのはそのため。作中では出てこないが、手遅れながら他に助けてもらえた人間が何人もいる。

 非常に長いスパンで見ると、このような場合に「オス:メス=1:1」ではなく、オスの比率が多い系統が登場すると(メスが多いわけだから)繁殖上有利になるのだが、そうなると子どもを産む個体自体減ってしまい、種の個体数が減少する危機に直面する。

 これらのことを、ラミア族は繁殖に参加する期間を長くすることで回避しており、大体5歳くらいから80年ほど繁殖が可能である。一方、ラミア族の住む森に近いママサの街では、男の割合が増えていくと思われる。

 ついでながら、ラミアの繁殖方法を非難する主人公に対し「本人を食いつぶしている期間が短いだけで、子種だけ貰って使い捨てるのは人間も同じじゃない!」というやり取りがあったのだが、あまりに身も蓋もない文だったので削除、没になった。



 なろう内では、ホラー作品に少数登場する狂犬病であるが、日本で事実上根絶されているからか、地球上では大変メジャーな感染症であるにもかかわらずファンタジー世界の獣人、特にルーガルーやウェアウルフが感染していることが全くないのは不可解である。個人的には、魔法を使う狼の群れより、狂犬病に罹った1頭の狼の方が余程恐ろしい。そのため、へそ曲がりである筆者は作中に登場させてみた。

 このあとも登場する狂犬病ワクチンであるが、医療上ではウサギに狂犬病を感染させ、脳神経・脊髄を処理することで作成する。しかし、治癒魔法など存在していない物語設定の本作中で、あまり発達していそうにない技術を使って安全なものを作るのは実際には非常に困難である。

 さらに、このあと注射針が登場予定であるが、実際の注射針は非常に細いステンレスパイプを先端角15°以下で切断し、さらに先を尖らせるように研磨したものである。作中の技術で、針の穴の中に研磨剤を残さずに研磨するのは極めて困難であると思うが、


そこは、ご都合主義容認でお願いします。

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