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彼の名は
入学式が終わって、騒めく教室。
新入生たちは自分の居場所を作るために仲良くなれそうな人を探す。
そんな中、彼は窓際の席を陣取り、そこから、さっきの桜の木を見下ろしていた。
彼の姿を見て、同級生たちは物静かな印象をいだく。しっとりとした黒髪、どの角度から見ても真っ黒な瞳、170 cm以上の身長。女だったら和風美人と呼ばれてもおかしくないほど整った醤油顔。女の子たちは彼の声が聞きたくてウズウズしていた。
勇気を出した一人の女の子が話しかけようとした時、担任らしき若い女性が教室が入ってきた。
「皆さん、何処でもいいので着席してください。」
そして、始まる自己紹介。彼も他の人と同じような自己紹介をして終わった。女の子たちは彼の声を聞けて大満足。
ホームルームが終わると、彼に話しかけようとした人が男女関係なくいたが、彼らが来る前に彼はダッシュで帰っていった。スーパーの特売に向かうために。