絶対的楽園
先の大戦で東北大陸の全土を手中納めたリスティドア帝国(以下「帝国」)そこは緑に囲まれ、幾つもの川が流れ、商業地は昼夜を問わず賑≪にぎ≫わっていた。特にリスティドア城を中心とした城下町では、商業が盛んで全国の商人≪あきんど≫達がここに募って御売業や飲食業、サービス業などを営んでいた。食料不足や労働に囚われる事のない絶対的楽園を手にした帝国。 しかし、それを手にしたのは国家権力の持つ者(王族 貴族)、商業で成功した者(大商人)などの富裕層の人間だった。 そんな楽園とわ一転して、ここ貧困街≪スラム≫では、土地は荒れ、人々は病で倒れ、帝国から流れてくる極僅かな川は、濁り汚染されていた。ここスラムでは8割以上の人間が奴隷として働いていた。緑もなく、水も汚染され売るための物資が一切手に入らないこの地では奴隷業のほか職を持つ手段がない。富裕層の者に奴隷として雇われ如何なる汚れ仕事でも、何があっても絶対服従することが唯一許された生業。この現状も身にして反旗を翻す者(反乱軍)も少なくなかったが、帝国軍の圧倒的とも言える資金力、軍事力に反乱軍は敗北余儀なくされていた。ここ数年では、反乱軍を立ち上げるなんて馬鹿者はすっかり目立たなくなり、みんな生きるために必死に働き、ただただ死を待つ日々が続いていた。 そんな貧民街で産まれた青年クラインは、今日も日々汚れ仕事に身を投じていた。




