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時の秒針  作者: †HYUGA†
第二章;異端者編
72/76

第66話 寝る勇気



センター試験おつかれ〜(^^ゞ


結果はどうあれこれからも頑張っていこう!!


それでは第66話

( ^-^)_旦〜

( ・∀・)つ




`


???side



 ――ダンッ…!!!!!!




「納得いきません!!!!」




 少し前まで賑やかだった喫茶店。だが突如として響いた強く机を叩く音に一気に静まり返った。


 客たちの目線の先。その場所には明らかに険悪ムードの2人の少年の姿。


 おそらく机を叩いた実行犯である瑠奈と、それを挑発的目つきで見つめる悶の2人である。


 2人が座る机。そこにはおそらく瑠奈が机を叩いた拍子に零れた珈琲が床に滴り落ちていた。




「…納得しようがしまいがこれは決定事項だァ。すべては神の導きだぜェ」


「ですが、あまりにも無謀です。まさか【彼ら】に能力者の相手をさせるというのですか…!!」


「はん。当たり前だろゥ。じゃなかったら何のためにあいつらを呼んだと思ってやがるんだァ?観光のためとか言うわけじゃねぇだろォ?」


「っ!?Ⅳ(クァトロ)…!!」




 瑠奈は悶のあまりにも無謀な言葉に歯軋りする。命令とはいえ、こんなの…考えなしの行動にほかならなかった。


 無駄死に以外のなにものでもなかった。


 だけど瑠奈にはそれを強く否定することはできない。できるはずがない。なぜなら――


 そんな瑠奈に悶は追い討ちをかける。




「おいおい…。まさかあいつらに情でも湧いたとか言うんじゃねェだろうなァ…Ⅴ(クインティ)?ククク…そりゃ傑作の話じゃねェかァ」


「何を言いたいのですか?」


「ククク。いや、なんでもねェ…なんでもねェよ…ククク」


「……」




 にらみをきかせる瑠奈。だが悶はそれでも笑うのを止めない。


 イヤラシい、気に障る最悪の笑い方だった。




「……………言いたいことがあるならハッキリ言ったらどうですか?」




 そしてついに、我慢できなくなった瑠奈は悶に問いかける。そのイヤラシい笑みは瑠奈にとって毒以外の何でもなかった。


 瑠奈は、今すぐ目の前の男を撃ち殺したくてしかたなかったのだった。


 だけどそれはできない。なぜなら、この場所は添加の往来。こんな人が多い場所で魂狩を出すわけにはいかない。




「あ〜ぁ、だったらハッキリ言わせてもらうぜェ」




 それと、もう1つ――




「テメーが一番。あいつらを利用してんんじゃねェかよォ〜。あいつら――





【異端者(Ability Zero)】をなァ!!!!」




 ――この男の言っていることが…間違っていないからであった。










日向side



「…よぉ日向、知恵理も。久しぶりだな」


「…あぁ。久しぶり、刹那」




 2週間ぶりに交わした刹那との会話。それは何とも淡白な始まりだった。


 お互いがお互いを警戒しあっているためである。


 事実を言うと、俺は刹那のことを認めている。言葉使いはあれだが、彼女は心優しい。それは分かっていた。


 だがそれでも、俺は彼女のことを警戒せざるを得ない。2週間前のあの日の出来事は、それだけ尾を引いていた。




「セッちゃん…」


「ごめんな知恵理。オレには、止められなかった」




 そしてそれは、どうやら彼女も同じようである。彼女、刹那もチエには罪悪感が抜けていない。彼女がチエを見る瞳がそれを物語っている。


 それ故に、彼女もまたチエを前にして妙な警戒をしているようだった。



 ――だが、それ以上に今は重荷となっている気持ちがあった。



 やっと暴れなくなり、俺の腕から抜け出したチエとの会話。こちらも変わらず淡白な始まり方であるが、その響きは妙に悲しい。


 事実、2人の浮かべる笑みには悲しみが溢れている。それほどあいつの存在は大きかったのだ。



 あいつ――美濃輝喜の存在は。






「うんうん…セッちゃんは悪くないよ?誰も…悪くなんかないんだよ…」


「チ゛エリ゛…」


「誰も…誰も…ぐすっ…うわぁぁぁん…」




 ――もう、見ていられなかった。


 涙声の刹那。我慢できず大声で涙を流すチエ。そんな姿を見たら…。


 俺はもう....自分自身が情けなくて我慢できなくなる。俺は…俺だって――




 ――ガアァアアンッ!!!!




「ちっくしょおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」



 俺だって…涙を我慢できなくなっちまうじゃねーかよ。


 コンクリートの壁に、拳を打ち付け、このやるせない気持ちを吐き出そうとする。


 流れ落ちる涙を我慢しようともせずただ壁に拳を打ち付ける。だけど、いくら打ち付けても俺のこの気持ちが晴れることはなかった。




 ――ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!ダアァアアアアアアアアンッ!!!!!!




 ――そして気がついたときには、俺の手は真っ赤に染まっていた。


 真っ赤な【血】によって…真っ赤に染まっていた。




――――――――


―――――


―――





「…痛ってぇ。手首から上が無いみたいに痛てぇ」


「…そりゃそんだけ血流したら痛てぇだろうよ」




 春の湿った空気が叫びすぎで乾いたのどを通り、肺へと誘われる。


 暴れすぎたせいで呼吸すらまともにできない。それほど、さっきの俺は怒り狂っていた。


 街中で汚いと思うが、俺は路地裏の小汚い道で大の字に寝そべる。


 だけど、もともとビルとビルの間の狭い道だからか、はたまた街の煙で汚れているせいか、この場所からは空を見ることはできない。


 でも、それでも俺は上を見上げた。なぜなら空は俺が最も憧れたあの人の場所。だからつい見てしまう。


 そこに答えなんてないのに。




「…どうするヒナ君?家、帰って消毒する?」


「…いや、ちょうどいい機会だから“あそこ”に行く。じゃないと、俺はいつまでたっても前に進めないからな」


「…ヒナ君」


「ケジメだよ。この2週間のな。現実に背を向け、自分の力で動こうとしなかった。…俺達はあいつを、輝喜を探そうともしなかった」




 自分で言った言葉ながら自分自身が情けなく感じる。思わず握りしめた拳。爪が皮膚を刺し、痛覚を刺激する。


 俺が犯した過ちは俺自身が一番分かっている。だからこそ、俺は俺自身が惨めで仕方なかった。


 ――これから、やるべきことは決まった。




「…そうだね。もしかしたらコウ君のあれも私達が無駄にした2週間の報いなのかもしれない」


「あぁ、だから行くんだ。この無駄にした2週間の清算に、あいつの言うとおりだ。俺達は…変わらなければいけない。変わらなきゃ…いけなかったんだ。だから俺は――」




 そして俺は立ち上がる。


 血塗れの右手。身体中にも無数の矢の刺し跡が残っている。だが、それでも俺は立ち上がった。


 自分自身を変えるために。




「だから俺は――今日から寝る!!輝喜が無視しないでくださいって謝りに来させる勢いで寝てやるぜ!!」


「は、はぁ?」




 グッとガッツポーズして宣言する俺。そんな俺の宣言に、刹那は鳩が豆鉄砲で撃たれたような顔、略して“はがれたような顔”になった。


 まぁ確かに、刹那にはこの意味は分からないかもしれない。


 だけど、この宣言は俺にとって大きな意味を持つ。元来、昼間だろうが授業中だろうが寝てばかりいた俺。だがこの2週間、俺は昼間どころか夜すらまともに寝てなかった。


 原因は言わずもがな。そんな俺が寝ると言ったのだ。理由はただ1つ。


 俺が、俺が変わるための第1歩。それが――今日のことを忘れ、休むことなんだ。休んで英気を養う。それが俺に必要なこと。


 もう一度、あいつをぶん殴るときのために。




「あの分からず屋…。次に会ったときには覚悟しやがれよ…」




 泣いて謝らせてやるからな。




「…んじゃぁ刹那。教えてくれるか?この2週間であいつに、輝喜に何があったのかを」




 それは、この2週間で初めて俺から輝喜の話題を出した瞬間だった。








           `


知「ふえぇぇぇん…濡れちゃったよぉ…白いのでベチャベチャするよぅ…」


凪「は、恥ずかしながらあたしも濡れちゃった…もう、なんなのよ…いきなり…反則よぉ…」


刹「だらしないなぁ2人とも。オレなんて舐めたり飲み込んだりするんだぜ?ちょっと苦いけど…」


知「苦いの…ねぇヒナ君。苦いの?苦いの?私…飲めるのかなぁ…?」


日「知るか!?つぅか普通飲む機会なんてないからな!?いや、そんなことよりお前らわざとか!?わざとなのか!?これは男の俺達に対する宣戦布告なのか!?」


凪「は?日向、どういうことよ?」


刹「そうだぜ日向?つか、こっち見ろよ。なんで俺達の方を見ないんだよ?」


日「さっきまでの自分のセリフを思い返せ!?お前らいろいろ危なすぎんだよ!?」


凪&刹『『はぁ?』』


知「もう…そんなことよりヒナ君!!ヒナ君もビチョビチョなんだからこっちにきなさい!!処理してあげるから!!」


日「や、やめろチエ…こっち来んな…!!ていうか言葉がヤバい。いろんな意味でヤバい!!」


知「めっ!!ヒナ君も白いのいっぱいなんだから風邪ひいちゃうよ?だから…ね?」


日「ぐっ…屈するな、屈するな…!!理性を保て。俺は石になる。頑として動かない石となるんだ…!!」


知「…ヒナ君。私のこと…嫌い?」


日「え゛?いやいやいや、なんでそうなってんの!?」


知「だって…ヒナ君。私がヒナ君の白いの処理しようとしたらイヤがるから…私のこと…嫌い…なのかなって…」


日「おかしい。明らかにおかしい。ていうかさっきからなんで白いのって言うの!?それとなんで処理という言葉使うの!?ねぇなんで!?」


知「ヒナ君…ぐすん」


日「え…マジで!?って痛っ!?」


凪「あ〜ん〜た〜は〜!!!!この変態!!ムッツリ!!女の敵!!殴っKill!!!!」


日「不幸だあぁあああああああああああああ!!!!!!」


作「はい。イミフな展開だけど次回予告いきま〜す。次回の時の秒針は――


知らされる輝喜の真実。そして日向は新たな事実に気がつく。


次回【2つの事実】」


日「問題nothing…だ…ぜ」


真「ふぃぃ…さみーさみー。まったく、今日になっていきなり降り出すとか今年のは【雪】我が儘だねぇ」


輝「本当にだね〜。登校するだけで全身雪だらけ。ビチョビチョだよ〜…って!?」


日「うぅ…もう勘弁してください。お願いします。鼻血が止まらないんです…」


凪「な、なによあんた。そんなこと(土下座)したって許さないんだからね!?どうせあたし達のことヤラシイ目で見てたんでしょ!?」


刹「サイテー…知恵理、こっち来い。こんなムッツリ無視しようぜ?」


知「ひょ?」


日「不可抗力だあぁああああああああああ!!!!!!」


真&輝『『…いったい何があったんだ』』



次回に続く!!

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