第55話 三つ巴の思惑
すみません。ここ数日テスト期間中だったので更新できませんでした。
そのことを心からお詫び申し上げます。
ちなみに人気投票ですがいまだに1人だけです。このままでは本当に俺が可哀想な人になりそうなのでぜひ投票お願いします。
それでは本編に
( ^-^)_旦〜
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日向side
「こんにちはっす先輩方♪"天野うずめ"と申しますっす♪」
天から野に降りてきたような美しさ。
彼女を例えるならそれくらい言っても過言ではない。
真備の言った通りの朱い髪。雪を思わせるような白い肌。そしてルビーのように朱い輝きを放つ深紅の瞳。それら全てが彼女の雰囲気を高めていた。
だけどそんな明らかなる欧米人の風貌をした彼女だが名前は"天野うづめ"という日本人の名前。
それも相成って俺は彼女を見た瞬間体を硬直させてしまったのだ。
「どうかしたっすかみなさん??固まってるっすよ」
『『…………』』
心配したかのような彼女の甘い声。だけどその声に反応できる人間はこの場にはいなかった。
圧倒されたのだ。彼女のその雰囲気に。
――あははは♪変わった喋り方ですね♪
そのとき俺は再び聞こえるはずがない声を聞いた気がした。あの屈曲のない純粋そうな笑みを浮かべた輝喜の声を。
あいつが居てくれれば――いや。あいつが居なければ俺達は俺達でなくなる。偽物でもあいつのあのハイテンションな性格は俺達の支えだったと改めて感じた瞬間だった。
おそらくあいつならはまこんなとき顔をひきつらせながらでもさっきみたいに俺達が話をしやすくするための言葉を言っていただろう。
そして俺達はきっとあいつにおんぶに抱っこでいたかもしれない。絶対にそうだ。
それが俺達とあいつとの完全に出来上がってしまった関係なんだからな。
――でも。あいつはいない。俺達を陰ながら支えてくれたあの眼帯の少年はいなくなった。
だから俺達は進まなければならないのだ。あいつなしの俺達を見つけるためではなくあいつを含めた俺達が笑いあえる未来を目指すために。
だから俺達はあいつを見つけ出し取りあえず一発ぶちのめしたい。そのために俺達は――
「……天野うづめ。桜時学園の中等部2年の天野うづめで合ってるか??」
「そうっす!!その通りっす!!うちはあんさん達言う天野うづめで間違いないっす!!先輩方♪」
俺達は。今いるこの現状から一歩前進するために彼女と出会ったのだ。
美濃輝喜について何かを知っているであろう彼女に。
「……ちょうどよかったわ。あたし達もあんたに聞きだいことがあったから」
「ふふふん♪そう言うだろうと思ってうちも来たっす♪どうやらうちのことを聞き回ってた先輩がいたって話だったっすから♪」
「…それは俺のことなのか??天野うづめ??」
「違うっすか??それとうづめでいいっすよ♪羽前真備先輩♪」
「……じゃあさすがはうづめだな正解だ。さすがはあいつ――輝喜の知り合いなだけはある」
俺はニヤリと口元を歪ませる真備を横目にほくそ笑む。今までの真備では考えられないほど的確な言葉のジャブだったからだ。
さりげなく加えられた輝喜という単語。俺は真備のその軽いジャブに目の前の少女――天野うづめには見えないようにグッと親指を突き立てる。
「……輝喜さんっすか」
そして真備の放った単語は確かに彼女に動揺を誘う。
その証拠に俺の位置からは太陽の逆光で見えない彼女の表情。だがその表情は一瞬強張り口調も乱れたような気がした。
やはり彼女には"輝喜"という単語が何かしらの意味を持つようだ。
「……………」
今度は俺達じゃなくうづめの方が固まってしまう。だけど俺はここで手を抜く気はなかった。
太陽の逆光で見えない彼女から寝ころんだままの俺は少しだけ顔を横にずらしついこの間のことを思い出してみる。
あれは約2ヶ月前のことだ。あの日俺とチエは大雨の中傘を忘れたためズブ濡れになって帰宅した。
だからかズブ濡れになった彼女は風邪をひかないように制服の上着を脱ぐ。そしてこのときチエの一日一善ならぬ一日一恥が発動したのだ。
そう。彼女は気づかなかったのだ。ずぶ濡れになった体。それを守っていた最後の砦を彼女は自らの手で武装解除したことに。
「…………///」
今思い出しただけでも顔が赤くなってしまう。制服の上着を脱いだ先にあった透け透けのシャツ。
それにさらに包まれたピンク色の。あれは俺には刺激が強すぎた。
それ故俺はあれから2ヶ月たった今でもあれを思い出すだけで赤面してしまうのだ。
なんせ好意を抱いてる女の子のな姿だったから。
「ひょ??どうかしたのヒナ君。顔赤いよ??」
「……問題existだ」
だが今はこれでいい。いやこれのほうがいいのだ。
今の俺の状態はうづめの横にて寝転がっている。それに顔を微妙にずらして目を泳がせ顔を真っ赤に染め上げているのだ。
ここまで来れば分かると思う。俺のこの行動。これは俺自身が引き起こしてしまったという設定である緊急事態を想定しての行動なのだ。
それは――
「あーうづめさん??なんというか……ひっじょ〜に言いにくいんだけど……あなたのパンツ見えてるよ」
「……へ??」
俺の言葉にさっきまで呆然としてしまっていたうづめはそんなスットンキョンな声を上げ燃えるような深紅の瞳を思考停止した状態で約2回ほど可愛らしくパチクリとさせる。
だけどすぐに俺の言葉の真意を理解したのか彼女は瞬く間に即興で赤面を演じた俺よりもさらに顔を真っ赤に染め上げるのだった。
「な…な……なぁ!!??」
それよりさらに数秒。ついに彼女は耳の奥まで響くような鈴のような声を全身から発する。
それにより彼女より一番近くにいた俺はダイレクトにその声を耳に受け耳鳴りが起こってしまった。
まぁわざととは言えこれは俺が悪いから謹んでなおかつ甘んじてこれは受けよう。
それにたぶんこれで俺の思惑通りにこの場が乗り進むと思うし――
「姫ノ城先輩!!羽前凪先輩!!ここに女の子の敵がいるっすよ!!!!」
「ふふふ……いつかやるとは思ってたけどまさかあたしと知恵理の目の前でやるなんていい度胸してるわね日向……」
「……ヒナ君。ちょっとお話があるけどいいかな??ちなみにヒナ君には拒否権も人権も発言権もないからね??」
――思うし……。あれ!?なんか俺の予想してた状況とは違うのはなんで!?
俺が気付いたときには時すでに遅し。いつの間にか凪に抱きついてエンエンと泣いた振り(←ここ重要)をするうづめ。
そんなうづめを抱きしめて俺のことをゴミを見るような目で見てくる凪はなぜか手に持ったマジックをへし折っている。
そして最後にチエだが。チエに到ってはなぜか見惚れるぐらい綺麗な笑顔をしながら俺の頬に優しく手を添えていた。
端から見ればまるで俺を誘惑しようとしているお姉様にも見えてしまう。だが俺は知っている。
彼女のこの見惚れるぐらいの綺麗な笑顔はブチキレてしまっている証だということを――
「ヒナ君♪後でじっくりお話しようね♪」
「――はい」
結局俺は彼女には勝てないという結論に至ってしまう。俺は自分の弱さに溜め息をついてしまった。
――だけど向こうの2人――凪とうづめをチラッと見てみるとどうやら俺の計算通りな展開になっていた。
2人でうんうんと頷き合い語り合っているその姿は何より仲良さげである。
俺は難なく2人を仲良くさせることに成功させたのだ。
――共通の敵(俺)を持たせるということで。
人間。共通の敵や共通の嫌いな人などについての会話は弾むものだ。
だから俺はそれに漬け込んで自らを女の敵になろうと一芝居打って出たのだが俺はどうやら1つの過ちを犯したらしい。
それは俺並みに頭がいい凪と俺のことに関してのみ鋭いチエの2人が本当に俺を変態だとみとめてしまったことだ。
――あれ??俺ってそんなに信用なかったわけ??
「……日向。俺はお前が“そういう奴”でもずっと友達でいるからな」
そのとき。不意に今まで俺達の蚊帳の外にいた真備が何やら真剣な面持ちで俺にそう言う。
だが今の俺は真備のその優しい言葉が涙が出るほどに嬉しかった――
???side
「……いいですかお2人とも。僕の方で彼らをここに誘い込みますのでそこを強襲してください」
ここは桜時市の繁華街"街" の路地裏の一つ。そこに2人の青年と1人の少年が真剣な面持ちで何か話し合っていた。
青年の1人はうづめとは違い染め上げたような廃れた赤髪の短髪に大柄な体格。そして一見したら酷く強面な青年“的場一”。
もう1人は首にヘッドフォンをかけ垂れた前髪で片目を隠した色白の一見すると女にも見えてしまう美青年“南雲当摩”
この2人こそが今回の戦争の弾丸とも呼べる異端者の一員である。
そしてそんな2人の間で指示を出す少年。綺麗な藍色の髪を持ち手には革手袋を付けた2人より小柄な彼はどう見ても2人とは世代も人種も違う。
だがこの少年こそがこれから起こる戦争の引き金として的場と南雲の2人を打ち出す人物。
"玖珂未=瑠奈=セイレン"
その人であった。2人は瑠奈の言葉に強く頷く。なぜならそれは2人にとって待ちに待った言葉だったからである。
「べべべ…べつに楽しみなんかじゃないからな!!」
「……落ち着け的場。興奮するのも分かるがいつも以上に素直じゃないぞ」
「ふん!!お前に俺の何が分かるっていうんだ!?」
「……分かるさ。なぜなら俺には全てが聞こえているからな……」
目を閉じてゆっくり深呼吸しながら南雲はゆっくりとそう呟く。的場の方も南雲の“全て聞こえる”その力を知ってる故その言葉を聞いた瞬間何も言えなくなってしまった。
だがそれでも的場の考えていることは目の前にいる南雲には筒抜けであったようであるが――
そんな2人の様子に瑠奈は思わずクスリと笑みを零した。例えこれが仕事の関係でも彼らとは自分がユニオンナンバーズになってからずっと共に過ごしてきた人達。
だからこそ瑠奈は彼らの願いが叶うことを切に願っていた。なぜなら彼らは自分と似ているから――
「さて。お2人共。そろそろ時間ですから指定の場所へ行ってください。お2人の五分運をお祈りしています……ギリギリで」
そのとき不意に瑠奈の脳裏に今朝出会った1人の少女の記憶が蘇ってくる。だが瑠奈はその映像をすぐに取り払う。
「いけませんね……」
瑠奈はユニオンナンバーズ。最強の能力戦闘部隊の1人に復讐者でもある。だから彼は彼女のことを忘れなければならない。
なぜなら彼女は今回彼らの狙う標的の1人だから――
???side
「…そう。そうだったの」
所変わってここは日向達がいる桜時学園の屋上。そこには先程までとは違いどこか悲しい顔をした知恵理と凪が話を聞いていた。
その目の先には――涙を流すうづめが顔を手で覆っている。
「あははは〜そうなんすよ。うちがあの日に美濃先輩と体育館裏にいたのは所謂“告白”ってやつとすよ……まぁ見事に振られたっすけどね」
対してうづめの方は健気にも涙をボロボロ流しながらもそう笑顔で伝える。その姿に2人は感動していたのだ。
――結果から言うと日向達というか知恵理と凪の2人はうづめが輝喜の件には関係ないと判断していた。
何よりそれを裏付けるための証拠はそれこそ今までの彼女と出会ってからの行動。それに日向達が信頼している情報通の新聞部部長である“須藤百合”からの情報など山のようにあったからである。
まず輝喜と体育館裏にいた写真。これは明らかに告白現場だったのだろう。
それで基本的に優しい性格の輝喜は新聞に載せられるその写真によりうづめが傷つかないように百合に取り計らって新聞に載せないようにしたのだと予想できた。
それがおそらく百合が撮った本人――つまり輝喜に懐柔されたと言ったことなのだろうと思う。
次に輝喜がいなくなったのと同時期から現在までの2週間学校を休学していた件。これは本人曰く“中等部に入学してから長年思い続けていた美濃先輩に振られてショックだった”かららしい。
だがそれも納得ができる。輝喜のことだからきっと酷い振り方はしてないだろうけど長年思い続けてきた好意を抱いていた人に降られたらそれはショックだと思うから――。
そして最後にさっき真備が輝喜の名前を出したときに動揺したこと。
これについては日向と真備自身も反省していた。なぜならずっと好きだった人に振られてそのショックで2週間も休学していた少女にあの言葉は酷すぎたからである。
だから日向も真備も知恵理と凪に無理やり頭を下げさせられ自らもちゃんと反省していた。
「いいっすよ先輩♪うちはもう吹っ切れたっすから」
直接にかけられた彼女の言葉は日向と真備をも感動させたのであった。
以上が日向達4人が出したうづめと輝喜についての見解である。それを踏まえた上で4人はうづめと輝喜の関係に結論づけるのであった。
『『ごめんなさい』』
結論。彼女と裏の輝喜との関係は一切ない。それと天野うづめは健気でとてもいい子ということに。
勘違いだと判断した日向達は深く反省して4人揃って頭を下げた。美少女後輩に頭を下げる先輩達。なかなかシュールな光景だ。
「あははは〜♪気にしないでくださいっす♪うちは大丈夫っすから♪」
「うんうん。本当にいい子だなうづめは」
「えぇ。しゃくだけど今回はバカ弟の意見に同感ね」
「ふふふ♪うづめちゃん可愛い〜」
「こらチエ。勢い余って抱きつこうとするな」
日向達4人――いやうづめを含めた5人はここに新たな絆を得た気がした。
確かに日向達4人に比べてうづめは一学年下。年下だが日向達はそんな事は気にしない。彼らにとってみればこれこそが普通の情景なのである。
――PiriPiriPiriPiri♪
そのとき和やかな空間に一本のメロディーが流れ出す。その機械的な歌声は明らかに携帯電話のもの。
だがその電話のメロディーは誰も聞いたことがない音。日向は困惑した。
だがそれも束の間。日向の動揺とは裏にうづめはポケットから水色の携帯電話を出しパカリと開くのが目に入ってきたからだ。
だがその直後。うづめの表情は目に見えて固まった。目は見開き唇は震えそれこそ超特急な勢いでパタンと携帯電話を閉じる。
「すいませんっす先輩!!ちょっと急ぎの用事を思い出したのでこれにて失礼するっちゅ!!」
そして早口言葉のようにスラスラ言葉を口から並べ見事に噛んだ。
その慌てっぷりは見ていて可愛らしく日向達もニッコリと微笑む。
「問題nothing。気にすんなうづめ。じゃあまたな」
「ウーちゃん。今度はゆっくりお話しようね♪」
「んじゃあな!!俺としてはお前のことをもっと知りたい!!だからまた会おうぜ!!」
「……あんた。それ聞き方によればただのナンパ男よ??まったく……あぁそれとうづめ――」
皆思い思いに別れの言葉を告げる中。凪は去り行くうづめの背中を見ながら呼び止める。
だがうづめは凪の声が聞こえなかったのかはたまた無視してるのか背を向けたまま走り続ける。
そんなうづめの姿に凪は一度クスリとほくそ笑むと彼女の背中に向かって叫ぶのだった。
「 You are fortumate in having good friend!!」
――あんたはいい友達 を持てて幸せね――
その言葉は彼女の耳に届いていたか分からない。だが彼女は凪のその言葉を聞いた瞬間にタイルの淵に足をかけ転んだことをここに記しておこう。
「まさかドジっ子だったとは予想外だな…」
「ヒナ君どうかしたの??もしかしてウーちゃんに萌えちゃったの??」
「あぁ…萌えたさ。でも俺はあれをも超えるドジを通り越した天然な幼馴染を知ってるからな…」
「……それってもしかして私のこと??私ってそう思われてたんだ」
日向は自分の言葉でショボーンとしてしまった知恵理に何を今更と苦笑いしてしまう。だがそこは幼馴染の2人。日向は次に何を言えばいいか心得ていた。
普段なら恥ずかしくて言えないその言葉を――
「チエ。眠いから膝枕してくれないか??」
日向のその言葉に知恵理は最初キョトンと呆気にとられた表情をするもすぐに日向の真意を読み取り「うん!!」と嬉しそうに頷く。
ゆっくりと地面についた知恵理のそれは白く柔らかそうに日向を誘う。そこに日向は戸惑いなく頭を埋めていった。
ゆっくりと流れ行く雲は太陽の光を遮る。その自然の摂理を見て頭に柔らかい物を感じながら日向は思うのだった。
「…… You are fortumate in having good friend. ――それは一体誰に向けて言った言葉なんだ凪??」
光と風。それに太陽。見上げた先に見えるそれは1つも欠けてはならない昔の俺達の関係のようだった。
凪のあの言葉。それは俺達にも言えるのだ。真備や知恵理。それに俺や凪。そしてあいつ。美濃輝喜にも――
うづめside
「…最悪なタイミングっすよ〜」
あの後うちはすぐに屋上から遠く離れ今はさっきまでいた校舎裏の影にいたっす。
なぜうちがこんなことになっているか。その原因はこの電話の相手にあるっす。
――PiriPiri……Pi♪
「……もしもし??」
「遅いですようづめ。まぁどうせ携帯電話が鳴った瞬間にいた場所が気まずかったので急いで出れる場所まで行ったといった所でしょうか。ちなみに最低1回は転けましたよね??」
「うぅ…大正解っす」
うちが電話に出た瞬間。うちの電話にでるまでの行動をまるで見ていたかのように正確に言い当てた電話の相手。
それはあの場所の特にあの4人には聞かせてはいけない声でしたっす。
その声の正体は優しくて罪深い眼帯をつけたミステリアスで。だけど穏やかな笑みを浮かべる少年――
「“輝喜さん”」
「……どうしましたうづめ。声が上擦ってますよ??」
さっきまでのうちと日向さん達との会話の主軸にしてうちの“思い人役”の美濃輝喜さんでしたっすから。
そう。うちは日向さんや知恵理さんに嘘をついてたっす。そして勿論うちを友達と言ってくれた凪さんも。
だけどうちはあの人たちに出会い。あの人たちの温かさに触れたからなんでこの人が――輝喜さんがこだわるのかを理解したっす。
あんないい人達。そうそういないっすからね。
でも輝喜さんはもう決して日向さん達と接触することはないと誓ってるっす。絶対に日向さん達を守ると言ってるっすのに――
「どうしましたうづめ??黙ってたら何もわかりませんよ??」
「……輝喜さん。さっきまでうち。日向さん達に会ってたっす」
そして気がついたときにはうちは自然とそう言ってたっす。何を考えたのか何を思ったのかは分からないっすけどうちの口はいつのまにかそう動いていたっす。
「……っ!?」
電話の先の輝喜さんが動揺したのを感じたっす。でもそこはさすがに輝喜さん。動揺を声色に出すことはなかったっす。
でもうちはそこで話を止める気はないっす。だってあんな悲しい顔をした輝喜さんを見たくないっすから。
「……皆さんとてもいい人達だったっす。最初はうちのこと疑ってたみたいっすけど疑いが晴れたらとても優しかったっす」
「……」
輝喜さんはうちの言葉にただただ押し黙ったままっす。でもピリピリとした動揺は電話ごしのうちにも怖いくらいに伝わって来てるっす。
だけどうちはその威圧に挫けそうになりつつもさらなる追い討ちをかけたっす。
「 You are fortumate in having good friend.」
「……!? その言葉はもしかして……」
「凪さんがうちにかけてくれた言葉っす。うちの質問にも――そしてあんさんのことも含めた言葉だとうちは思うっす」
そこまでした。輝喜さんが電話に耳をつけていられたのは――
うちのその言葉を聞いた瞬間。輝喜さんはまるで耳を塞ぐ勢いで電話を切りうちが気付いたときには「プープー」という機械音が残っていただけでした。
輝喜さんの気持ちもわからないことはないっす。でも輝喜さん――
「――輝喜さん。あなたは本当に“レリエル”になるつもりっすか……」
夜の天使“レリエル”。そして輝喜さん自身から名乗るようになったコードネームでもあるその名前にうちは今恐怖を覚えてるっす。
心の支えを失った輝喜さんがいつか本当に夜の――闇になってしまわないかということに。
「――あなたに必要なもの。それはたぶんあなたを照らしてくれる“光”だとうちは思うっすよ……」
でもそれは“光”を体で現したような光の能力者である彼には一番難しいことのように思えましたっす。
???side
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
桜時市の海辺。そこに海の輝かんばかりの陽光とは不釣り合いな黒いフードで顔を覆った1人の少年がいた。
黒いその姿は彼の名前と完全に合っていない。
だが彼のコードネームにとってすればその姿はまさしくピッタリといいくらいの姿であった。光の力を持つ漆黒の姿をした天使。まさしくレリエル。
夜の天使“レリエル”それこそが今の彼の名前であり彼の姿であった。
親友と呼び合った紅翼の――真昼の太陽の天使“不知火日向”とは真逆のその姿。それこそが彼――
"美濃輝喜"の姿であった。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……まさかあの程度の言葉で…ここまで動揺してしまいますとは……まだまだですね」
輝喜は額から流れる冷や汗をゆっくりと右手で拭い去る。
だが輝喜自身その動作で気付いてしまった。自身の右手が激しく痙攣してしまっているということに――
輝喜はその右手を正面から真っ直ぐ見る。それは自らにまだまだ彼らとの――日向や知恵理。真備に凪の4人に未練があるということの何よりの証拠であった。
それを見て輝喜は強く唇を結び噛み締める。
「未だに俺はあの生活に未練を感じてるのですね」
ギリッと噛み締めた歯の音が鳴り響く。それはある種の離別の証だったのかもしれない。
だが輝喜は厳しい顔にはなることはない。どこまでも行ってもどこまで心が荒れても輝喜の顔は穏やかな顔のままだった。
「――日向。どうやら俺はどこまで行ってもあなた方から離れられないようです。だからせめてものであなた方の生活を守り抜いてみせますよ」
そこまで呟くと輝喜は唇を緩ませ歯にかけていた圧力を軽くする。
そして優しく口元をほころばせ。やがて小さく呟くのだった。
「だから“問題nothing”です。あなたはただ知恵理を護ることだけを考えてください……」
それは輝喜が自らの心に封じ込めた偽りの願いであった。
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作「おひさしぶりですみなさん!!今回はここ最近続いた敵キャラ情報の最終回!!今回は俺の空気が戻ることを切に願います!!」
知「こんにちは♪姫ノ城知恵理です♪今回は異端者編最後の敵キャラ南雲さんの紹介で〜す☆」
南「……よろしく頼む」
作「さっそく俺なしでコーナー始まった〜!!!???」
知「はい♪ではさっそく紹介していきたいと思いまーす!!最初に南雲さんの本名は――
"南雲当摩"
いつもヘッドフォンをかけて前髪で片目を隠したちょっとクールというか物静かな方です!!ちなみにイメキャラはBleachの"キラいづる"だそうです♪」
南「……ちなみに名前の由来はとある魔術の禁書目録の"上条当麻"だ」
知「わぉ♪南雲さんのイメキャラって統一性一切ありませんね♪」
南「……そうだな」
知「ふふふ♪南雲さんってどこか水城さんに似てますね。じゃあ次は口癖なんかりあったら教えてください」
南「……“俺にはすべて聞こえている”これが俺の口癖だ。さらに言うとこれは俺の能力が関係している」
知「ふ〜んそうなんだ〜」
南「……そしてこの設定は“FAIRY TAIL”のコブラの設定を頂いている」
知「あははは〜なんかもうごちゃ混ぜだね〜」
作「だー!!!???いい加減俺の空気を解消しろー!!!てなわけで次回予告!!
衝撃的出会いが訪れた1日が終わる。そんなとこ日向達4人は久し振りに街に繰り出した。
だがこの街でも新たな出会いが4人を待ち受けていた。
そこにいたのは――??
そしてそんな中日向の前から知恵理が自らの意志で失踪する。
果たしてその真意とは??
次回【知恵理失踪事件】」
日「問題nothingだぜ!!」
南「……知ってるか??もうすぐ俺の出番は終わるんだぜ??」
知「ひょ??それっとどういう……」
次回に続く!!
作「最後に一言くらいは言わせて〜!!!???」
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