表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時の秒針  作者: †HYUGA†
第一章;時の番人編
49/76

第48話 紅翼の天使


明けましておめでとうございます(^-^)v


今年も【時の秒針】および【†CROSS・ROAD†】をよろしくお願いします。



では本編をどうぞ〜







「紅の天使の翼が折れたとき日本国は滅びるだろう」







かつて日本と戦争をした世界最強国家――ギオン帝国が日本国との和平を結んだときにギオン帝国の王が語った言葉である。



だがこの言葉から僅か10日後【紅翼の天使】はその姿を消してしまうのだった。



彼の記憶と背中に栄える紅蓮の翼と共に……。










それから4年の月日が流れ――



紅蓮の翼は再び彼の背中に舞い戻ってきた。





桜が咲き誇るこの桜時市に。







今度こそ決して折れることのない不死の翼を羽ばたかせながら。


その神々しい姿は全ての人間を虜にし、全ての人間の救世主となるだろう。






【時の少女】を守る紅翼の天使として――







凪side



あたしは目の前に広がる光景に目を丸くして思わず見惚れてしまった。


颯爽と空中を舞う紅翼の天使――不知火日向に。




「……舐められたものだ」




そのとき水城が静かにそれだけを言い放つと再び大鎌の魂狩【村鮫】を構え直す。


だが、水城は未だに息づかいは荒くなっており肩で息をしている。


その姿にあたしは水城の必死さを感じた。




「来いよ……水城」




それに対して今度は日向が水城を挑発する。


紅蓮の翼を羽ばたかせ知恵理をいわゆるお姫様抱っこする日向はかなり余裕を見せていた。




「……貴様……俺を挑発するか?」


「それがどうした……これくらいで崩れる死神じゃないだろ?」


「……ほざくな天使」




一触即発なムードが辺りに波紋のように広がる。


あたしを初めとするあたし、真備、輝喜はその空気にゴクリと嫌な唾を呑み込む。




――圧倒されてしまったのだ。




あの2人が織りなす異様な空気と空間にあたし達はついていけなかった。










――そしてその空気は一瞬にして弾け飛ぶのだった。










「……水刃・天象!!!」




ザンッ!!!!!!



一触即発の空気をぶち抜いたのはこれまで見てきた水の刃の中でも最も巨大なもの。


三日月のような形状をした透明な刃が日向に襲いかかる音だ。



しかもそれだけではない。



水城が放った桁違いの攻撃の恐ろしさはそれだけではなかった。


その水の刃はとてつもなく速かったのだ……!!


それこそ真備の雷神の特性【雷光神経】くらいのスピードがないと避けきれないくらいに。




「日向……!!」




あたしは我慢できずに日向の名前を叫びながら目をつむってしまう。


それと同時に真備の背中に掴まる手に精一杯力を入れて抱きしめた。




「姉貴……」




真備の心配するような声があたしの耳に届く。


目を開けてなくてもあたしには見えた……心配そうな目をしてあたしを心配する真備。


でもその目はあたしではなく日向と知恵理のほうを向いているあたしの片割れの姿が。



ザーーーンッ!!!!!



そしてその瞬間に聞こえてくる破壊音はあたしの耳を容赦なくつんざく。


あたしはその音に絶望してしまった。




「日向!!!!!」




真備があたしに呼びかけたときとは違う怒涛の声で日向の名前を叫ぶ。


歯を噛み締めてギリギリとする音もすぐ後に真備の口元から流れてきた。





しかし、その次の言葉はあたしの予想を見事に……いい方に裏切る言葉だった。




真備の言葉、それは……。










「お前大丈夫か?」




まるで目の前にいる人物に話しかけるような声で発せられたそんな言葉だったからだ。


その言葉にあたしは――おそるおそる目を開ける。




「……!!」




そしてその先で見たのはあたしの頭を混乱させるには十分すぎるものだった。




「輝喜……チエを頼んでいいか?」


「えぇ、構いませんよ」




――そこには日向がいたのだ。


さっきまで数十メートル離れた場所で翼を広げて飛翔していた日向が十秒もかからないうちにこの場にいたのだった。



あたしはその映像に愕然とし頭がこんがらがってしまう。


チラッと真備のほうを見てみると真備も口を開けてポカンとした表情になっていた。




「頼んだぞ?」

「……はい」




しかし、日向はそんなあたし達に目をくれることなく輝喜にダラリとしてしまっている知恵理を渡している。


その瞳は漆黒に輝き光を失ってはいなかった。


そしてその瞳が見る先には……。




「…………」




ただ無言でこちらを無表情のまま睨みつける水城の姿があった。



バサッ!!バサッ!!



その視線を一身に受けていた日向は知恵理を輝喜に預けると再び栄える紅蓮の翼を広げる。



その瞬間、大分頭が冷えてきたあたしには分かった。


この闘いが次の一手で決着が着くことを。


次に日向が飛びたった瞬間にこの闘いの終止符が打たれることに……!!




「そう睨むなよ水城」




日向は【桜】を鞘におさめながら声を発する。


だけどそのときあたしには疑問が浮かんだ。



疑問の対象は他でもない――あたしの目に映る漆黒の鞘だった。


あたしはさっきまで存在しなかったその鞘に目を向けながら日向に問いた。




「日向?」


「ん?凪、どうかしたか?」


「そんか鞘さっきまであったっけ?」




日向はあたしが指差したところにある漆黒の鞘に一瞬目を移すと「あぁ」と言って前に突き出した。




「この鞘は今俺に出来る一番の炎術に必要なものなんだ」


「一番の炎術……?」




一番の炎術……その言葉に反応したのはあたしをおぶっている真備だ。


だが、あたしには一番の炎術という言葉に1つだけ心当たりがあった。



それは日向が使う技の数々“日輪流炎術”




炎弾の【一式“飛炎”】



炎壁の【ニ式“焔壁”】



斬撃の【四式“斬炎”】




日向が今まで使ってきた“日輪流炎術”はこの3つだけ……。



――そう、足りないのだ。



日向が今まで使ってきた“日輪流炎術”には1つ技が足りないのだ。


日輪流炎術の3つ目の技が。




「んじゃ見せてくるか」


「な、なにをだ?」




日向の言葉に真備が少しどもりながらそう聞き返す。


すると日向は少しだけ口元に笑みを浮かべると真備の言葉に応えるのだった。


あたしの予測通りの応えを……。









「“日輪流炎術三式”を……だよ」




そう応えたときの日向の目は鋭く、口元にはさっき以上の笑みが浮かんでいた。


そして次の瞬間には……。



バサッ!!バサッ!!



日向はあたし達の前から飛び立つのだった。




真備の【雷光神経】以上のスピードで……。







輝喜side



「“日輪流炎術三式”を……だよ」



そう言って日向は俺達の目の前から飛び立ちました。


そのスピードは真備の雷神の特性【雷光神経】以上を誇っており、俺達の目では追いつくのもやっとなほどです。



しかしこれこそが日向の紅翼の特性【不死鳥】



名前の通り紅蓮の翼を日向が纏う特性なのです。


真備の【雷光神経】も確かに自身の身体能力の限界まで高める能力ですが――【雷光神経】は真備の雷神の破壊力を増加させるためのもの。


つまり補助みたいなものです。



ですが日向の【不死鳥】は違います。


日向の【不死鳥】は純粋に速さだけを求めたいわゆるスピード重視の特性。さらにただでさえ高い日向の俊敏性と機動力を高めるものです。


それが【不死鳥】の醍醐味――ですが。




水城が言うには【不死鳥】の真の力――神髄はまた別のものらしいのです。



【不死鳥】の神髄――それは……。







水城side



日向が飛び立った瞬間、俺は覚悟を決めた。


なぜなら日向が紅翼を鞘に入れてから飛び立ったからだ。



やつの最強の武器はやはりあのスピード、俊敏性、機動力だ。


あの素早さに栄える紅蓮の美しい翼と銀色の刀身は視るもの全てが見入ってしまうのと同時に恐怖を覚える。



だが日向の一番恐ろしいのは刀を抜いているときではない。刀をおさめているときである。



もし戦場で刀をおさめた日向に会ったならば……。






瞬きをする間にそいつは斬られているだろう。






それが“日輪流炎術”の三式にしてスピード重視の日向が最も得意とする剣術……。



そして俺は今からそれに挑もうとしているのだ。




「……来い日向。俺の生きた千年全てを使って俺はお前を迎え撃つ」




誰にも聞こえないように俺はそう呟いた。



バサッ!!バサッ!!



日向の紅蓮の翼の羽音が聞こえてくる。


その音はここ日向が紅翼の天使だった2年間で聞き慣れた音――しかしここ4年聞いたことなかったためとても懐かしく感じた。




「決着つけようぜ……【雨の死神】時雨水城!!」




そしてあの頃より少しだけ低くなった日向の声。


だがあの頃とはちっとも変わらないその喋り方はやはり俺を懐かしく感じさせた。



千年生きてきた俺には4年なんて時間は瞬きほどにしか感じない。


だけどそれだからこそ俺には人の成長を一番身近で感じてきたのだ。


だから――最後に日向の成長を見れてよかったと思う。



無二の天才と呼ばれた俺以上の天才である天使の成長を……。


同じ【時】を司どる女を愛した者として。




「……勝負だ……【紅翼の天使】不知火日向!!」




俺はそんな日向に最後を飾らってもらいたい。


俺に一番似たあいつに……。




「行くぜ水城!!!!」


「……来い!!」




村鮫を深く握り締めながら真上に構える俺。


対して日向は背中に栄える大きな紅い輝きを放つ不死の翼を広げた。



バサッ!!バサッ!!




「……【水針・天象】!!」

(すいしん・てんしょう)




俺は翼を広げた日向に村鮫で水をすくい上げるようにして地面の水を浴びせる。


するとすくい上げられた水は村鮫の特性【水結晶】によりその形状をみるみるうちに変えていく。



何千何億にもなる水の針の形状へと……!!




「広範囲攻撃……!!」


「……その通りだ日向。……この技は威力こそ小さいが億の刃となりて貴様を襲う!!」




何千何億もの水の針は日向の闘争心を刈り取るには十分すぎるもの。


しかし日向はそこでめげる男ではない。


近くで日向の闘う姿を見てきた俺が言うのだ。


もう一度だけ言う。



――日向は決してそこでめげる男ではない!!




バサッ!!バサッ!!




俺の予測通り日向はそこで諦めなかった。


自分の背中にある翼で自身を包み込み【水針・天象】の襲撃に備える。




「……それでいい」




日向の行動の速さと的確さにに俺はそう呟く。







――口元に笑みを浮かべながら。



ザシュッ!!



最初の針が日向の翼に刺さった。



ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!



引き続き紅蓮の翼に身を隠した日向に何千何億もの水の針が襲いかかる。


しかし【不死鳥】により守られた日向はその身に一針も貫かれることなく防ぎきるのだった。




『日向!!!!!』




羽前姉弟の大声が時雨の間に響き渡る。




「……日向」




続けてポツリと輝喜の声が聞こえてくる。


だが、その声は羽前姉弟とは別物――心配の声ではなく未来の日向へと向けたものだった。




「……ヒ…ナ君?」




そして最後に知恵理の今にも消え入りそうな声が木霊する。


その瞳は輝喜の【未来図】のように未来を覗き見る力はない。



だけど……知恵理の瞳には一切の迷いは見あたらなかった。



薄く今にも閉じてしまいそうな知恵理のまぶただがそのまぶたの先にある知恵理の迷いなき真実の瞳には描かれていた。





“天使の降臨する姿”が。





ボーーーーーッ!!!!




そしてその瞳の中の真実は現実へと変わる。


熱く燃えたぎりながら羽ばたく紅蓮の翼【不死鳥】によって。




ボーーッ!!バサッ!!




「これくらいじゃ俺は倒せないぞ?」




燃えたぎる翼の先から不知火日向が姿を現す。


知恵理の【時】の力により完全に回復した日向の体には傷一つ見あたらない。



――紅翼の【不死鳥】に村鮫の【水結晶】が負けた瞬間だった。




「お前なら……知ってるだろ?」




――知ってるだろ?だと。



当たり前だろ。俺達は共に助け合い共に闘ってきた戦友だ。


貴様の紅翼の【不死鳥】の真の力――神髄を知らないわけないだろ?




ボーーッ!!バサッ!!




その燃えたぎりながら羽ばたき続ける紅蓮の翼が何よりの証拠だろ?



【不死鳥】の神髄――それは……。




バサッ!!バサッ!!




日向が大きく翼を広げると日向の【不死鳥】の翼に纏っていた燃えたぎる炎は完全に姿を消し……。










『驚異的“再生能力”』










最初と何ら変わらない美しく神々しい紅蓮の翼があったのだった。


偶々俺と日向から同時に発せられた声の通り日向の紅翼の特性【不死鳥】が持つ真の力は。



“驚異的再生能力”



日向の翼はその名前の通り不死鳥のごとく翼が傷つくと炎を上げて復活する。



その証拠に【水針・天象】が当たったという証拠の傷は一つもなく最初と同じように美しく神々しい紅蓮の翼が現れたのだ。




「……やはりその翼には遠距離攻撃は効かぬか」


「“肉を切らして骨を絶つ”この翼にはそんな言葉が一番似合いだからな」




そう、これこそ日向が戦場で誰よりも素早く動けた理由だ。



その“スピード”と“再生能力”により恐れを知らずに誰よりも速く敵のもとに飛翔できる日向はその幼い体で戦場を駆け回った。



その姿からつけられた異名こそが戦場を飛翔する幼き天使……。





―――"紅翼の天使"―――





……なのである。




「……そろそろ決めるぞ」




完全復活を遂げた日向に俺はそう告げると村鮫を真横に構えていつでも斬り裂ける体制をつくる。




「OK.問題nothingだぜ」




日向も上空にて紅翼を鞘におさめたまま鞘ごとジーンズのベルトに差していつでも紅翼を抜ける体制を作る。

どうやら決着のときが来たようだ。




「……最後はやはり真っ向勝負になるか」


「当たり前だろ。苦難には正面から突き当たる。それが人間の美徳だ」


「……違いない」




日向の言葉に俺は口元に笑みを浮かべながらそれを肯定する。


しかし、俺のこの行動は日向だけではなくこの場にいる全ての人間にとっては予想外のようだった。



先程笑みを浮かべたときには視線は全て日向に集まっていた。


だけど今回は違う。全ての視線は俺へと集まっていたのだ。



それはつまり今まで一瞬たりとも無表情を崩さなかった俺が初めて他人に表情を見せた瞬間だった。




「お前が笑うところなんて初めて見たよ」


「……生憎俺が貴様の前で笑うのはこれが最初で最後だろうがな」




むしろ俺が人前で表情を見せるのはこれが最後だろうがな……。




ジャブッ!!




俺は決意を新たに水の中へと村鮫を入れる。


そしてこれが俺が放つ最後の技――だから俺は自分にでくる最高の技で貴様を迎え撃つ!!




「……【水牙・天象】!!」

(すいが・てんしょう)




ザバーーッ!!




俺がそう技の名前を唱えてから村鮫を引き上げると村鮫の刃は今までとはまったく違う形状で現れる。



まず全体的に村鮫が大きくなっているのだ。だが当然ながらそれは刃自体が大きくなったのではない。


村鮫の特性【水結晶】で刃の周りを固めたのである。


そして刃の斬れる部分――そこが一番の違いだ。


なぜならただ刃が大きくなっただけではそれほど威力が上がらないと思った俺なりの工夫――数十本の水で出来た刃がまるで鮫の歯のように並んでいるのだ。



これが今の俺にできる最高の技【水牙・天象】である。




「そうこなくっちゃ」




そして日向は腰に鞘ごと差した紅翼――【桜】の持ち手(柄)に手をかける。


その構え方は日本刀にのみ存在する独特の構え方。





―――"居合い切り"―――





最も速く最も日向の闘い方にマッチした剣術。


故に日向が最も得意とする剣術なのである。




「“日輪流炎術三式”」




バサッ!!バサッ!!




日向の背中に栄えている紅い【不死鳥】の羽音がこの場にいる全ての人間の耳をつんざく。




『…………』




そして訪れる一時の静寂。



この闘いが始まったときと同じように聞こえてくるのは「ザーーッ」という雨音と日向の羽音のみ。



――だがそれはとても心地よい静寂だった。




「…………ゴクリ」




誰かが唾を飲み込む音が俺の耳に届く。


それはこの場にいる人間全てがそれなりの緊張感を持っている証拠であった。




ザーーッ……




バサッ!!バサッ!!




常に聞こえてくる2つの音はまさしく俺達の象徴ともいえる音。



【雨の死神】が奏でる鎮魂歌の雨音。


【紅翼の天使】が羽ばたかせる紅蓮の翼の羽音。



そのどちらもがこの空間を支配していた。




――だけどこの空間に支配者は2人もいわない。


2人の支配者など不要なのだ。



だったらどうするか?


――それこそ簡単な話である。





“天使”と“死神”生を司る者と死を司る者とで勝負を決すればいいのだ。




俺達はそのゴングが……この空間響き渡るのを待っているのだ。



闘いの終幕(フィナーレ)の開始の合図となるゴングを……。




……キンッ




――そしてその静寂を打ち破る音が木霊する。


終幕(フィナーレ)へのゴングだった。




「うおぉおおおー!!!」




バサッ!!バサッ!!




日向が鞘から少しだけ桜を抜いた音と共に日向の紅蓮の翼が俺に向かって飛翔し始める。


それに対して俺は臨戦態勢を取るのだった。




「……【水柱・天象】!!」

(すいちゅう・てんしょう)




ザンッ!!!!




日向の飛んでる所の真下から【水結晶】の力で固めた水の柱が飛び出してくる。


だが日向はそれを持ち前の俊敏性と機動力で翼をうまく使いながらかわす。




バサッーー……




紅蓮の翼で日向が滑空する音が俺の耳に届く。

しかし俺は攻撃の手を緩めることはなかった。




「……【水柱・天象】!!」




ザンッ!!ザンッ!!ザンッ!!




続けざまに俺は日向に向かって水の柱を浴びせようとする。


だがそれでも日向に攻撃が当たることはない。


日向の“スピード”はある意味最大の防御となっているのだ。




《問題nothingだぜ!!》




俺の頭の中で日向のそんな声が響く。


それは俺のただの妄想なのかそれとも実際に日向が発した言葉なのかは分からない。



だけど確かに俺の頭の中にその言葉は響いてきたのだった。




「……【水刃・天象】!!」




ザンッ!!ザンッ!!ザンッ!!ザンッ!!ザンッ!!ザンッ!!




だけど俺もここでむざむざと負けるわけにはいかない。


どうせ負けるなら最後までしっかりあがかせてもらう!!




バサッ!!バサッ!!




俺が放った無数の水の刃おも日向はその背中に栄える翼を使い【桜】を抜くことかなくよけ続ける。



その舞う姿は見る者全てを(とりこ)とし恐怖へと陥れる。


それは俺とて例外ではない。


その姿はとても神々しく雅やかで――敵になった今とても恐ろしかった。



すでに日向は目の前まで迫っていた。


だから俺は最後の攻撃を仕掛けるために村鮫の刃を掲げる。


その刃はいつもより倍近い大きさになっており無数の水の刃がまるで鮫の歯のように並ぶ。




「……【水刃・天象】!!」




これが近距離線において俺の最高の技。


――俺の切り札だ。




「……来い!!不知火日向!!」


「問題nothing!!!行くぜ!!!時雨水城!!!」




バサッ!!バサッ!!




日向の【不死鳥】の羽音も日向自身もすでに目の前にいた。


俺の攻撃範囲内にすでに迫るくらいにいたのだった。




「……勝負!!」




俺は攻撃範囲内に入ってきた日向に向かって【水牙・天象】で威力増加をした村鮫の刃を振り下ろした。




「望どころ!!」




そして日向も俺に向かって飛翔しながら腰に差した【桜】をいつでも抜ける体制をつくる。




その瞬間――全ての時間がスローに感じた。




目の前から迫る日向の動きも俺自身の動きも――全てスロー再生のように流れ行く……。


そして……。










ザシュッ!!!!










俺は確かな感触と共に斬り裂いた感覚を味あう。



だけど――それは俺の敗北を知らせる刃の音だった。


なぞなら俺が斬ったのは……。




ボーーッ!!バサッ!!




紅く燃えたぎる……。










紅蓮の翼だったからだ。










日向は俺が【水牙・天象】で斬り裂く前に右翼だけを自身の体の前に持ってきていた。


それにより俺の攻撃は日向の【不死鳥】により塞がれたのだ。




ボーーッ!!バサッ!!




俺に見えているのは燃えたぎりながら日向の姿を隠す紅蓮の右翼のみ。



――だけど俺には見えていた。



燃えたぎる翼の先にある日向の鋭い瞳を……。


右手に持つ漆黒の鞘におさめられた銀色の刀身を……。




「……“肉を切らして骨を絶つ”か」




“敗北”を目の前にしてみて俺はなぜか落ち着いていた。


いや、俺はこうなることを望んでいたのだ。


日向に――【紅翼の天使】に最後を飾ってもらうことを……。




バサッ!!バサッ!!




紅蓮の翼が大きく開くと同時に日向の姿が現れる。



右手からはシャーと漆黒の鞘から現れる銀色の刀身。




シャキンッ!!




その刹那、俺の目の前から日向の姿がなくなる。



はっきり言って瞬きする時間すらないほどのスピードだった。


そのスピードが俺にもたらしたのは……。




「“日輪流炎術三式”」




俺の望んだ結末……。




俺の“敗北”で――俺の千年の歴史の終幕で始まる新しき未来の開門だった。





――キンッ!!





背後から日向が刀を鞘におさめる音が聞こえる。


“日輪流炎術”の3つ目の技が決まったことを知らせる音だ。



――そして日向は言葉を発する。



その技の名前を――日向が最も得意とする切り札の名前を……。





“日輪流炎術三式”居合い切りの日輪流炎術。その名前は……。










「―――【瞬陽】―――」


―――(しゅんよう)―――










その言葉を聞いた瞬間に俺の意識は遠のいていった。


体に走る痛み――目の前は霞んでいき――村鮫を握る手は弱まっていく。




「問題nothing。俺の勝利だ【雨の死神】」




それが意識のあるうちに俺の聞いた最後の言葉だった……。




――……あぁ、そして俺の敗北だ【紅翼の天使】







悶side




「俺は……間違っていたのかもしれない」




誰もいない部屋――回復の間――で俺はそう呟いてみる。


目の前には高く厚い鋼鉄の扉。この先には強力な能力者が全部で6人いる。



そして【時の少女】姫ノ城知恵理も……。



俺の能力は空間から空間を移動できる。


そして目の前の部屋は完全なる密室で出入りできるのはこの鋼鉄の扉のみ……。



――これから導かれる答えはただ1つ。



そう、俺はまず前提条件を間違っていたのだ。


この先にいる6人の強力な能力者を相手にするよりも目の前にある鋼鉄の扉を破壊して6人を出れなくすればいいんだ!!


そしてその後に俺の能力を使って【時の少女】を攫えば――THA END――




ジャキッ……




そう思った瞬間俺は左手の戦闘義手の魂狩を鋼鉄の扉に向ける。


あの鋼鉄の扉を塞いで中に6人を閉じ込めるために!!




「修羅道の扉【開門】!!」




ガコーンッ!!!!




その音ともに戦闘義手の魂狩【地獄の門】の手の平の部分が開く。


ただ純粋に戦闘に特化した技――それがこれだ。


その名前は……。




「【羅生門】」




ジャキッ!!キュイーン!!




俺がそう唱えた瞬間に戦闘義手の手の平の開いた部分が紅い光を放ち始める。


その光は妖しく妖美でとてつもなく危険な色をしていた。



その刹那!!




ドカーーーーーンッ!!!!!!




【地獄の門】から紅い光がまるで閃光のように放たれる。


その威力はまさしく破壊光線と呼ぶに相応しいもの……。



紅き稲妻だった。




「これであいつらはこの部屋を出ることはできまい……」




その言葉を最後に俺はこの部屋を後にする。


激しく歪んだ鋼鉄の扉を残して……。






そして舞台は――最終局面へと向かっていく。


作「新年明けましておめでとうございます」


日「おめでとうさん」


知「おめでとー」


凪「あけおめ♪」


真「軽っ!?……明けましておめでとう」


輝「あけましておめでとうございます。今年も末永くよろしくお願いいたします」


輝以外『丁寧だな!?』


作「ま、まぁそれはさておき改めて明けましておめでとうございます」


輝「ちなみにまともな人間が俺しかいないんで俺が挨拶させていただきました」


輝以外『なんかせみません』


輝「ふふふふっ」


輝以外『へっ?』


輝「ふふふふっ、そうです俺が美濃輝喜です」


凪「いや……知ってるわよ?」


真「いったいどうしたんだ?」


輝「そして……新な新世界の王になる男です!!!!」


輝以外『新年早々輝喜がぶっ壊れたー!!!???』


知「え?なに?え?どうかしたの?あ!コウ君が新しい王様?ははー」


日「ももも問題notice!?」


凪「慌てすぎよ日向に知恵理!!まず知恵理!!輝喜にお辞儀しない!!次に日向!!あんたそれじゃあ問題通知って意味よ!?」


輝「我にひざまずきなさい愚民共!!!!」


作「……えらく丁寧な征服者ですね。ま、それはさておき次回予告!!


遂に水城を倒した日向。だがそんな日向の前に新たな問題が起こる!!


悶により閉ざされた外への脱出口――そして知恵理に迫りよる機械仕掛けの手……。


そんな中で日向、凪、輝喜の3人は脱出への糸口を見つける!!


次回【魔の手と大脱出】」


日「問題nothingだぜ!!」


輝「はっはっはっ!!我を尊え!!我に貢げ!!我に従え!!」


真「だ、だめだ!!完全にいかれてやがる!?」


知「どどどどうしよう!?」


日「きっと何か溜まってたんだな……」


凪「あーもう!!めんどくさい!!」



ゴキッ!!メキッ!!グチャ!!



輝「ぐえ…………(カク)」


輝以外『あ……』



……………………!?



日「こ……輝喜?」


真「さ、さすがは最終兵器」


知「ココココウ君〜(涙)」


凪「……あたし知らない」


作「後書きで登場人物を殺すなーーー!!!!」



次回に続く!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ