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時の秒針  作者: †HYUGA†
第一章;時の番人編
48/76

第47話 不死鳥と桜




―――紅翼の天使。




彼の持つ最強の剣術が今開花する……。



日向、水城、悶、三人の思惑が衝突する怒涛の47話!!




では本編にどうぞ!!!

日向side




「第2ラウンドと行こうぜ水城……もちろん問題nothingだろ?」




知恵理から受け取った俺の魂、日本刀の魂狩“紅翼”【桜】を水城に突きつけながら俺は唇を震わせる。


左腕に抱きしめるのは俺の守りたい【桜】


右手に握りしめるのは守りたい者を守るための【桜】



そして……背中で羽ばたせるのは天使の象徴であり俺を兄貴(空)のもとへと送り届けてくれる紅い翼……。


そう、この紅い翼こそ俺を天使へと昇華させる紅翼の特性……。










「……【不死鳥】か」










「そうだ水城【雨の死神】であるお前ならこいつを知ってるだろ?」


「……あぁ【紅翼の天使】を知る者なら誰でも知っている」




水城は相変わらずの無表情で静かにそう呟くと今まで降ろしていた村鮫の刃を構えなおす。


だがやつにとってみればこれは予想通りだったのかもしれない。


村鮫を直していなかったのがその何よりの証拠……。


やつはこうなることを知っていたのだ。




「……貴様はそれを使いこなせるのか?」




水城はそう言いながらさっきと同じように俺を挑発してくる。


これ以上にないほどの安い挑発だが水への恐怖が俺の頭を溶かしてぐちゃぐちゃにしていた。



……さっきまでの俺ならな。


だけど俺はさっきまでの俺じゃない。


俺は水城の言葉に深く息を吐くと水城に知恵理を抱きしめたままの左手の親指を突き立て……。










「問題nothingだ死神!!」










地面に向かって振り下ろすのだった。



水城は俺の行動に少しだけ無表情な顔を下げると俺達にも分かるように深くため息をする。




「……貴様には最早この類は効かないか」


「残念ながらそういうことだ死神……俺は泳げない理由は泳げないんじゃない。泳ぐ必要がなかったってことだ」


「……そうだな貴様には“ヒレ”はなくても“翼”がある」


「そして例え泳げなくても飛べれば水なんて無きに等しい!!」




知恵理を抱き締める腕を緩めないようにきつく結びながら俺は水城にそう叫ぶ。


挑発に乗らなくなった俺に次に水城がどんな行動を起こすか分かっていたからだ。




「……何を警戒している?」


「とぼけんなよ水城。お前が次に起こすことくらい端っからわかっているさ」


「……ふっ、そういえばお前は天才だったな」


「そういうことだ」




水城はもう一度鼻で笑うと村鮫の刃を水面に浸透させる。


村鮫の刃が触れたところから水の波紋が徐々に広がりいつでも戦闘可能な臨戦態勢となった。


そして俺はこの技にはかなり見覚えがある。


俺【紅翼の天使】VS時雨水城【雨の死神】のこの闘いを始めたときと同じパターン……どうやら水城は同じシーンを再現しようとしているようだった。




「……ヒナ君……?」




ふと周りの雨音で消えてしまいそうな声に反応した俺が腕に目を落とすと今にも閉じてしまいそうな目で俺を見上げる知恵理がいた。


どうやら知恵理を離さないようにきつく絞った腕に疑問と不安を覚えたみたいだな。


……だったら俺がすること。それは……。



ふぁさ……




「大丈夫だ知恵理。俺はお前の【守護者】として最期まで護る……!!」




知恵理の頭を撫でながら俺の決意を吐き出すだけさ。




「……余裕だな不知火日向」


「生憎と優先順位は知恵理が堂々の一位なんで」




頭を撫でられて少し上機嫌な知恵理。


それを見た俺も和やかな心情になったが……どうやらこの闘いからは逃げられないようだ……。




「知恵理はできるだけ巻き込みたくないんだが?」


「……あぁ、そうだな。だったら……」




水城は俺の訴えに少し肩の力を緩めたが……。




「……自分でどうにかするんだな」




そう言ってすぐ力一杯に村鮫で水面を引き裂いた。




「……【水流・天象】」




引き裂いた部分から殺傷能力を持った涙が一気に押し寄せてくる。


迫り来るそれはまるで海の中で獲物を追う鮫のように一直線に俺と知恵理に向かってきた。



……だから俺もそれに合わせるとしよう。


あのときと同じように。




「日輪流炎術二式!!」




知恵理を抱き締める腕にさらに力を加える。


だがそれとは逆の右手に握る紅翼には少し力を抜いて軽く握るようにし……。



ガキンッ!!!



地面に向かって思いっきり紅翼を突き立てるのだった。



……そう、これはあのときとまったく同じ状況。



だがそれだけではない、それだけではさっきの二の舞になるのは日をみるより明らかだからだ。



……ではどうするか?……簡単な話だ。



つまり、俺はさっきまでなかった背中で羽ばたく紅い翼を思いっきり広げ……!!




「【焔壁】!!!」




ボーーーッ!!!



地面から炎の壁を出して波と対峙するのだった。






真備side




「日向!!!」




俺は今できるだけの精一杯の声を日向に向かって吐き出した。


頭の悪い俺でも分かる。


この攻撃パターンがさっきまでの戦闘とまったく同じだということに。




「姉貴!?日向のやつ何考えてんだよ!?」


「うっさいわね!?あたしに分かるわけないでしょ!?」




俺は背中で唇を噛みしめている姉貴に強い口調で問いかける。


だが姉貴は噛みしめている唇を解放すると俺以上の叫び声で俺に返してきた。




「2人とも静かにしてください」




そんな中、俺達の中で一番落ち着いている輝喜が冷静にそう切り返してくる。


その瞳……未来図に映る映像は俺には分からない。


しかし輝喜の様子には一切の焦りは見えなかった。



むしろ……。




『輝喜、お(あんた)……』




偶然にも同じことを思ったのか姉貴と声がかぶってしまう。


だけど俺と姉貴はお互いに気にすることなく言葉を続けるのだった。




『興奮……してるの(か)?』




そう、輝喜の瞳には焦りは一切見えなかった。



そこにあるのは……興奮。



口元を微妙に歪ませ目をめいいっぱい見開いたその様子は興奮しているようにしか見えなかった。




「えぇ、俺は興奮していますよ……」




そして輝喜自身もそれを認めていた。




「ど、どうしてそんなに興奮してるんだ?」


「どうして……ですか?」




輝喜の様子に少し動揺を見せるも俺がそう問いかけるて輝喜は日向と知恵理から目を離すことなくそう返してくる。


だがやはりその瞳は相も変わらずに目を見開き――分からないですか?――と問いかけてきていた。




「……お前はいったいどんな未来を見たんだよ?」




残念なことに俺の呟きは輝喜には届かなかった。


輝喜は興奮した様子のまま彼にしか見えない未来を見続ける。


輝喜はいったい何を見て、何を思ったのか?



――その答えは近い未来……それこそ数秒後に明かされた。



彼……不知火日向のあまりに美しすぎる闘いに……。




「炎舞せよ【不死鳥】」




俺達は見惚れてしまうのだった。




「こりゃ……興奮もするわな」




それは例外なく俺もその姿に動きを止めてしまう。


【紅翼の天使】の真の闘い方に……。








悶side




「……こいつは」




ゲイルの胸を一突きしたとき俺はある違和感を感じる。


それは簡単な違和感。それこそ注意しなければ気付けないほどの果てしなく細かい感覚だ。



だが、それもゲイルが持つメスの魂狩【執刀】がゲイルの手から滑り落ちたそのときに明らかになった。




「ちっ!!してやられた!!」




俺は思わず舌打ちする。



そして俺の目の前にあるのは……。



ヒラヒラ……



ゲイル【だった】ものの変わり果てた姿。



一枚の破れた紙だった。



どうやら俺は時の番人医療局の局長にしてやられてしまったようだ。










「【空蝉】かっ!?」










そう、そこにあったのは胸から血を流して絶命したゲイルの死体ではなく……一枚の破れた紙。



その正体は【空蝉】



変わり身を置く羽前流式紙術【空蝉】だった。




「いったい何のつもりで……!?」




俺はさらに毒づこうと思ったそのとき式紙に何か書いてあることに気がつく。


すでに式紙に宿っていたゲイルの能力と魂狩がなくなったためゲイルの治癒結界は消え去っている。


だから俺は楽々その式紙を読むことができるのだった。







《ユニオンクルーズの暗殺者へ……俺は自分の実力を量れない愚か者ではありませーん。

それに私は天使と約束しました【もう一度会う】と……。

だから私はあなたを足止めするだけを仕事としました。

……さすがのあなたでも中にいるのは私と違って一流の能力者6人……勝てないでしょう?

だから私は諦めて立ち去ることをお勧めしまーす。

時の番人医療局局長

【ゲイル・ハルトマン】》







俺はその書き置きを読んだ瞬間に思った。



くそったれ!!!と……。



そして俺はゲイルが書き置きしたそれを木っ端みじんに破き目の前の分厚い鋼鉄の扉を睨みつける。



その先には……。


時の番人の2人の能力者。


世界屈指の陰陽師羽前家の2人の子息。


そして【紅翼の天使】【雨の死神】の世界で有数の一流能力者……。



確かにこんなメンツの全てに俺1人で勝つことなんて不可能だ。



だが……。




「俺の力をもってすれば時の少女だけを攫うなんて造作もない」




なぜなら俺の能力は時の少女と同じ【10導能力者】の1つ【空間】




“完全なる空間制御”を可能とする能力だからだ。








水城side




「【焔壁】!!!」




日向がそう告げた瞬間日向の前に焔で形作られる壁が現れる。


【焔壁】でこちら側からは日向と知恵理の姿は確認できなくなるもこの状態はさっきとまったく同じ展開だった。




「……学ばないやつだ」




俺はそう呟くと【水流・天象】を放ったそのままの動きで村鮫を振り上げる。


日向達は見えなかったが焔壁がある場所で大体の位置は掴めることができた。


だから俺はさらに日向に追い討ちをしたのだ。




「……【水刃・天象】!!」




ザンッ!!!



確実に仕留めるために俺はさらに水の刃を繰り出す。




「……【水刃・天象】乱れうち!!!!!」



ザンッ!!!ザンッ!!!ザンッ!!!ザンッ!!!ザンッ!!!



振り降ろせば放ち、放てば振り上げる。


その動作を繰り返すことで俺はやつの力を試していた。




「……最後だ!!!」




ザンッ!!!



そして最後の水の刃を飛ばしたときには――辺り一面白い水蒸気により真っ白になっていた。




「……はー…はー…」




珍しく息を荒げる俺は俺が放った大量の水の刃と日向が放った焔の壁で発生したその霧の先を見つめる。


その先にやつ――不知火日向がいるかを確認するために。



だが、俺は無意識に確信を持っていた。


やつは……【紅翼の天使】は……。






「そんなに探さなくても俺達は問題nothingだぜ」






必ず俺の予想の斜め上を行くことを……。




「……!!どこだ!?」




不意に日向の声が聞こえてきたため俺は少し声を荒げて辺りを見渡す。


しかし日向の姿はまったく見当たらない。



――だけど俺は肝心なことを忘れていた。


今の日向はさっきまでの日向じゃないことに。




「お前の目の前……正確には75°くらい斜め上かな?」




その声に俺ははっとする。


そう今の日向には彼の人間としての限界を無くす紅い翼があることを。



バサッ!!!バサッ!!!



日向が今は【紅翼の天使】であることに。




「問題nothingだろ?」




(よく)の羽音が俺の耳をつんざくのと同時に俺の視界を塞いでいた真っ白な霧は一気に俺の視界から消え失せた。




「……くっ!!」




そして俺の目に飛び込んできたのは言葉の通り俺の正面に75°くらい上で翼を羽ばたかす。




「俺は【紅翼の天使】だ!!」




姫ノ城知恵理を抱きかかえた天使の姿だった。


その姿は神々しく雅やかで――これ以上にないほどの美しさ持つ。








彼の背中にある2翼の翼と日向が握る1振りの刀。


これこそが日向の最も得意とする剣術……。




―――“二翼一刀”―――


――(によくいっとう)――





またの名を……。










―【三刀流“不知火”】―










紅翼の特性【不死鳥】を使った剣術であり、日向の技――日輪流炎術――の力を最大限に引き出す日向の使う……。










―――最強の剣術である。


作「こんにちは〜最近更新が遅れてること……」





一同『大変申し訳ありません!!!』






凪「……って!!なんであたしたちまで謝ってんのよ!?」


知「まーまーナギちゃん落ち着いて?」


日「そうだぞー基本俺達は連帯責任なんだからー」


輝「でも俺達は実際のところあまり関係ありませんよね?」


真「ま、なんていうか……ノリじゃないのか?」


刹「そうだな〜……しかも俺は最近本編にでてねーし」


水「……帰っていいか?」


凪「KYはほっておいて確かに最近この小説やばいわよね?」


輝「えぇ……なぜか後書きのクォリティーも下がってきてますし」


真「しかも最初の設定と変わってるところもあるしな!!」


知「コウ君と水城さんだね〜」


輝「俺は最初一人称僕でしたし……」



ちなみにそれは設定あり



水「……俺がしゃべるときに最初は【……】はついてなかった」



それは……ま、諦めろ



日「まぁー問題nothingじゃないってことだな」


知「ホント♪ホント♪しかもこの小説誰が誰だかわかりにくいし♪」


凪「ちなみに最初の設定はあたしは“小さな姉御肌”……なんか自分で言っててムカつくわ」


輝「ははは……俺は“不思議な少年”だったんですけど……いつの間にか一番の常識人になってしまいましたね」


真「俺は“友情に熱い男”だったな……なんか俺だけ何も変わってなくね?」


凪「あんたは馬鹿って設定あるしね……ちなみにあたしも何も変わってないわよ?」


知「あ!私も〜」


日「俺もだな」


刹「ちなみに俺もだ」


凪「じゃあおさらいもかねて設定を確認しましょ」



――――――――


不知火日向→

“寝てばかりの天才”


姫ノ城知恵理→

“天然美少女幼馴染”


羽前真備→

“友情に熱い熱血馬鹿”


羽前凪→

“小さな姉御肌”


美濃輝喜→

“不思議な眼帯少年”


刹那→

“男勝りな超絶美少女”


時雨水城→

“無表情な冷酷男”


――――――――



作「落ちもなく次回予告行きまーす。


ついに真の力を手に入れた日向はついに水城に挑む!!


【紅翼の天使】と【雨の死神】の闘いいよいよ決着!!


果たして勝つのはどっちなのか!?


次回【紅翼の天使】」


日「問題nothingだぜ!!」


日「なーなーこの後書きって何のためにあったんだ?」


一同『さぁ?』



次回に続く!!

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