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時の秒針  作者: †HYUGA†
第一章;時の番人編
45/76

第44話 雨の死神


今回は水城の真の正体。そして水城の秘密が明かされます。


果たして水城の正体とはだれなのか?


では本編へ……。

???side


……やっぱりあいつは根本的なところで変わってしまったな。


昔のあいつはいつもどこか【聖空の騎士】こと知恵理の兄【姫ノ城空】に頼り切っていたところがあった……。



それが今ではその妹である【姫ノ城知恵理】を守るために強くなろうとしている……。



……本当に……変わったよ。



……でも、運命ってのはなんでこうもあいつを苦しめるんだ?


初めはあいつを見つけたらそのままほおっておこうと思っていた。


様々な苦しみに堪え忍んできたあいつには平和に過ごす権利があったからな……。



だからあいつを見つけた瞬間は楽しそうに笑っているあいつを見るだけで満足して帰ろうとしたさ……。





彼の隣にいる銀髪の少女を見るそのときまでは。





なぁ、神を一切信じてない俺が言うのもなんだけど神よ……。


お前はなぜあの兄妹を……そして本来はあんたに仕えるべき天使を苦しめるんだ?



……俺の苦しみだけで足りないのか?



あいつらは……俺みたいにはなってほしくないんだよ……。



……いいぜ、神。



そこまであいつらを苦しめたいんなら俺がその役を変わろうじゃないか。



俺が悪役になってあいつらを強くしてやるよ。



だからもう、あいつらを傷つけないでくれ。




時の番人【時雨水城】の名において……。




日向side



「じゃあ行きますか」



俺は右手に持つ桜を構えなおして水城を見据える。


水城は相も変わらず無表情だが、その表情の中に俺は俺に向けてくる殺気を見た。



「……【水刃・天象】」



ザンッ!!!



水城が刃を振りかぶりそのままの勢いで振り下ろすと水でできた刃【水刃・天象すいじん・てんしょう】が俺を襲ってくる。



キンッ!!



「【ニ式・焔壁】!!」



それに対して俺は桜を地面に突き立てて炎の壁【焔壁ほむらへき】を作り出し対抗した。



シューー



水の塊と炎の塊が衝突したことにより大量の水蒸気が発生する。俺はこのチャンスを見逃さない……!!



ジャバジャバ!!



白いもやがかった水蒸気が俺を前に進ませるのを拒む。


その中で俺は記憶とかんだけで突き進んでいった。



最早膝をも超えようとしている水に脚を取られながらも全力疾走する。


ただ速く水城の気配だけに集中しながら……。





そして俺は……やつを捕らえた。



「【一式・飛炎】!!!」



紅翼を振り下ろした先にはやつが……水城がいる。


俺が放った炎の塊はその水城目掛けて真っ直ぐに飛んでいった!!



「いっけーーっ!!!!」



距離は充分。炎の塊【飛炎(ひえん)】も問題なく最大威力をもって放たれた。


俺の作戦は完璧。ここまでだったら俺は迷いなく水城に勝ったと確信を持てていた。



「……詰めがあまい」


「なっ!?」



……真後ろから水城の声がこだまするまではな。



シュッ!!シュッ!!シュッ!!



そんな音をたてながら炎の塊【飛炎】は目の前にいた水城に直撃する。


いや、それは直撃とはほど遠いものだった。


なぜなら【飛炎】は目の前にいた水城をすり抜けそのまま水城の先の壁に当たったからである。



ダーン!!ダーン!!ダーン!!



……部屋中に響き渡る壁に着弾した【飛炎】の爆発音。


それと同時に俺と水城を囲んでいた水蒸気は晴れていった……。



「……マジかよ」



まず聞こえてきたのは真備の驚愕の声。



「あたしと同じ……」


「えぇ。水城は凪、あなたと同じです。でもあの人はそれだけではありません……」



凪は水城の行動に唇を震わせながらそう呟く。


逆にこのことを知っていたらしい輝喜は冷静にその場の状況を把握していた。



「……水城さんが」



そして最後の一人。知恵理は水城のその姿にただただ口を開くだけだった。



「……水城さんが5人に増えてる」



そう。水城は自分の姿をした男を5人その場に出していた。


ここまでくれば大体のことは分かる。


凪の言葉。輝喜の説明。そのことを踏まえたうえでの結論……。










水城は【戦士】であると同時に【幻術師】でもあったのだ……。



「……【霧雨・天象】どれが本物の俺か当ててみろ日向?」



【霧雨・天象】で増えた5人の水城が同時に言うその姿はまさに爽快だった……。




水城side


【霧雨・天象】


この技は俺の雨の能力で発生した霧で俺自身の体を蜃気楼のようにして相手に見せる技。


おそらく今の日向ではこの技を破ることは不可能だろう。






さて、ここからは賭だ。




今の状況でこの技を使ったのは俺の【ノルマ】を達成するため……。


日向に自分に与えられた使命を自覚してもらうため……。




そしてそのノルマを達成して日向が自分の使命を自覚したときこそ……たぶん俺の最後だろうな……。




……だが、さっきも言ったとおりこれは賭。


もしこの賭に失敗したときは俺達も日向達も終わりだ。



だからこの作戦は絶対に成功させなければならない。



賭だろうが運命だろうがこの作戦を成功させなければ日向と知恵理は報われない……!!



だから俺は【天使】を傷つけて【時の少女】を目覚めさせ……使命を知った【天使】に倒されないと……。










チルドレン計画の被験者名NO'4【雨の死神】の名のもとに……。




日向side



ゴクリ……



唾を飲み込む音が俺の緊張感を高めていた。手に持つ紅翼を握る力もそれに合わせて強くなる。


一瞬でも油断したら水城の策略に引き吊り込まれそうだった……。



「分身とはまた厄介なことをしてくれるな」


『……問題nothingとは言わないのか?』


「それは嫌みにしか聞こえないよ水城【達】」



嫌みには嫌みで返す。5人の水城もそれがわかっているらしく無表情を崩さぬまま「ふっ」と鼻で笑ってきた。


5人の水城が同時に鼻で笑う。なかなかシュールな光景だ。



ザーーーッ!!



雨音はなおも鳴り続ける。


その中で無表情を崩さない全身が漆黒の5人の【雨の死神】達。


彼らが見ているのはただ1人だけ……。




……俺だ。




だけど俺にとってみればこの事態は問題nouhing だった。



まず水城が見ているのは知恵理達じゃなく俺だということ。


さすがに俺でも知恵理達を守りながら闘えるきはしない。


でも知恵理達を攻撃したら我が身を引き裂いてでも守るつもりだ。


だから水城がそのあたりのクズじゃなかったことに安心した。




そしてお忘れかもしれないが俺は桜時学園の【喧嘩の強いやつランキング】の第一位だ。


そのあたりの喧嘩技術はそれなりに上だと思う。


多人数の喧嘩も慣れっこだった。だから水城の分身といえどこの人数までは何とかなる。




以上の二点からこの闘いにもまだまだ勝機があった。



『……葛藤は終わったか?』



まるで俺の心の中を覗き見ていたようなタイミングで5人の水城がそう言い放つ。



「問題nothing。全然OKだぜ?」


『……そうか』



俺の返答を聞いて水城達は顔を伏せる。


どうやら水城の方も何かしらの葛藤があったようだが、すぐに顔を上げて村鮫を構えた。



『……だったら【桜】を構えろ。それがお前の最後だ。』


「あぁ。問題nothingだぜ水城!!!」



5人の水城が【紅翼】のことを【桜】という単語で言う。


それはある意味水城が俺の言葉を認めたということかもしれない。


もしくは……俺に対するたむけの言葉なのかもな……。



チャキッ!!



水城の言うとおりに紅翼の【桜】を構える。


刀身に炎を灯し、水城の出方をうかがう……。





……なんてことをするのは自分が不利になるだけだった!!



つまり【先手必勝】!!



俺は決断即行動でそう決めた瞬間には一番近くにいた水城に向かって駆け出した!!



「……【水刃・天象】」


「【二式・焔壁】!!」



ボーーッ!!ザンッ!!



水城の大鎌から放たれた水の刃と俺の日本刀から放たれた炎の壁とが衝突する。


さっきとまったく同じ状況。しかし、俺はさっきとはまったく違う行動を起こした。



「【一式・飛炎】!!」



ボーーッ!!



俺は最初に攻撃してきた水城とは反対方向にいる水城に【飛炎】を放つ。


さっきと同じように水蒸気が俺の周りを漂っているがそれには関係なく俺は記憶通りに二番目の水城を攻撃する。



「ヒナ君!!!」



そのとき知恵理の声がこだましてくる。


水蒸気が晴れたことにより視界もよくなってきていたから知恵理が叫んでいた理由も分かった。



「……油断大敵」


「問題nothingだぜ水城」



突如として現れたのは俺が最初に攻撃した一番目の水城。


一番目の水城は水蒸気が上がっている間に俺の真後ろまで来ていたらしく水蒸気が晴れた瞬間にはすでに俺に村鮫できりかかってくるところだった。



だか、俺は慌てずにそれに対処する。


後ろすら振り向かなかった。



「キャッ!!!!」


「なに考えてやがる!!!!」


「何してんのよ!!!!」



知恵理が悲鳴をあげ、真備と凪が叫んでくる。


対して輝喜だけはこの状況を理解しているらしく無言で事の次第をうかがう。


知恵理達のそれぞれの対応を確認していたそのとき、不意に一番目の水城が口を開いた。



「……バレてたか」


「あぁ。バレバレだ」



俺が少し微笑んだ瞬間水城の大鎌が俺に向かって振り下ろされる。



「あれもか?」


「……そのとおりだ」



ダーン!!ダーン!!ダーン!!



それと同時に俺が二番目の水城に放った【飛炎】が壁に当たって爆発する音が鳴り響く。


さっきと同じように二番目の水城の体をすり抜けたのである。



ホォンッ!!



そして一番目の水城が振り下ろした村鮫も俺の刀が放った【飛炎】と同じように俺の体をすり抜ける。


もちろん俺はその後も何事もなかったように立ち続けていた。



「……正解だ」



無表情を崩さないまま一番目の水城がそう言いながら消えていった。



「当たり前だろ」



知恵理達は何が起こったのか分からないようだ。


だがそれも少しのことだろう。


なぜならあいつらの近くには下手をすれば俺より頭がいい俺の【親友】がいるんだからな。



「そっちの説明はたのんだぞ輝喜!!」


「はい。任せてください」



その言葉に俺は頷きニッコリといつもの笑顔を浮かべる輝喜を見るのだった……。




輝喜side



「では説明をさせていただきます」



俺の言葉に近くにいた刹那以外の知恵理、真備、凪の3人が頷きました。


というより刹那はまだ戻ってこないのでしょうか?


それほどまでに虫が苦手なんでしょうね……。




……おっと話がずれてしまいました。


俺を見つめている3人にしっかり説明しませんと……。



「輝喜。まずなんで日向は水城の攻撃をよけなかったの?」


「むしろそれしか疑問はないぜ姉貴」



上から聞こえてくる凪の声に真備は言葉を入れました。


ちなみになぜ上からなのかと言うと、現在凪が真備におぶられているからです。


本人曰わく姉を気遣うのは当然!!だそうですが実際は真備が背が低い(死語)うえミニスカートの凪の体が冷えないように水から上げているんです。


背が低いとそのぶん水に浸かる割合が増えますからね。



「……何よ輝喜その目?」


「いえ、なんでもありません。それより説明ですが……」



俺はとっさに話題を変えました。なぜか寒気を感じましたから……。



「水城が使っているのは蜃気楼なんです」


「蜃気楼……確か大気の温度差とかで光が異常屈折する現象よね?」



知恵理と真備はチンプンカンプンのようですがさすがは才女の凪ですね。


的を射ています。



「つまりどういうこと?」



考えるのを止めたのか知恵理が首を傾げながらそう尋ねてきました。


なるほど。確かに日向がその仕草が好きになるのも頷けますね。



「……つまり日向の炎と水城の雨が衝突したことにより光の異常屈折が発生、今の現状ということです」


「でもそれとヒナ君が避けなかったのとどんな関係があるの?」



さすがに日向のことになると食いついてきますね。



「……結局あれはないものをあるものにしている状態。実際にないものには攻撃できないということですよ」


「だけどあいつが放った水の刃は実体なかった?」



今度は凪が食いついてきました。


確かにないものからあるものが生まれることはありません。


ですがみなさんお忘れではありませんか?



この部屋は……。



「この部屋は水城の魂狩である村鮫の特性【水結晶】により支配されています。水を操るくらい水城にとって容易いんですよ」



そこまで話すと皆さん納得したようです。


それと同時に改めて日向が不利な状況のほうも理解したようですが……。



「……やっぱあいつには厳しい闘いだってことか。クソッ!!なんで俺の体はボロボロなんだよ!!」


「やめなさい真備!!一番きついのは誰だと思ってんのよ!!……あなたの隣にいる知恵理なのよ……」



真備にそう言ってはいるが凪も唇を噛み締めて悔しさを滲み出している。


かくうえ一応は水城の味方である俺も頭がボーっとしてうまく立つことができません。


敵であるはずの俺でさえこんなに悔しく思っているのですから闘えない存在……そして日向のことを誰よりも想っている知恵理の悔しさは計り知れませんからね……。



「……すまない。知恵理」


「うんうん気にしなくていいよマキ君。私は大丈夫だから……」



無理しているのが見え見えですよ知恵理。


大丈夫です。結果がどうなろうと俺はあなたの……味方ですから……。



俺は何度もこの言葉をかけようとして何度も止めました。




だって俺達は敵同士なんですから……。




日向side



「さて、そろそろ本気出してくれるか?」



俺の言葉に水城達(1人減って4人)は再び「ふっ」と鼻で笑う。


しかし、その瞬間4人の水城は全員両手を上に掲げる。


その動きに俺は背中に冷や汗が流れるのを感じた。



『……そこまで言うなら俺の本気を見せよう』



4人の水城が同時にそう言った瞬間俺は自分が軽率な言葉を言ったことを悟った。


……やつは【水結晶】を使ってくる。


そう感じたのは明らかに自分の感だったけど妙な確信を得ていた。



『……【紅翼の天使】お前に俺の本気を見せよう』


「問題nothing……いつでも来な……!!」



それはおれが最後の悪あがきで言った強がりだった。



『……では遠慮せずにいかせてもらう……俺の力を見せにな……』



ドカーーーンッ!!!!



水城の言葉が終わったそなとき圧倒的破壊音と合わせて大量の水が吹き上がった。



「ちっ!!」



舌打ちをしつつも俺はその立ち上る大量の水に圧倒されてしまう。


だけどそこであきらめてしまったら……だめだ。



そう覚悟を決めた俺はもう膝を越えてしまった水の中を必死に走り出した!!



ジャバジャバ!!!



必死に走りながら俺は考える。


生憎と諦めは脳内には一切なかった。



そして結論。



ボッ!!ボッ!!ボッ!!



水城の攻撃を受ける前に水城を倒す!!



「【一式・飛炎】!!」



俺は一番近くにいた二番目の水城を無視して炎弾をその先にいた三番目の水城に放った。



「……無視してもらっては困る【水刃・天象】」



ザンッ!!



そのとき二番目の水城が至近距離で【水刃・天象】を放ってくる。


近すぎたため【焔壁】を発動する時間すらない。


だから俺はとっさに桜を身構えた……!!



ギンッ……!!



実際に受ける【水刃・天象】は重く鋭い。


その凄まじい威力に俺の脚の踏ん張りは脆く儚いだった……。



「ぐっ!!」



踏ん張りを失った俺は簡単にぶっ飛ばされてしまう。


そこに来たのはさらなる追撃。四番目と五番目の水城の攻撃がきた。



『……【水刃・天象】』



ザンッ!!ザンッ!!



2人の水城は同時に俺に向かって水の斬撃を放ってくる。



ダーン!!ダーン!!ダーン!!



向こうを見れば俺が三番目の水城に放った【飛炎】が三番目の水城の体をすり抜けて壁に当たっていた。


どうやりあの水城も偽物みたいだ。



……つまり俺に今攻撃してきている残った四番目と五番目の水城のいずれかが本物か!!



ガッ!!



そうと分かった俺はぶっ飛ばされて地面に落ちるときに桜を地面に突き立てる。


自分でも不思議だったが予想以上に空中での対応がうまくいったから問題なく桜を地面に刺すことができた。



「【二式・焔壁】!!」



ボーーッ!!!!



そして俺が今出来る最大質力で【焔壁】を繰り出す!!



ザバンッ!!



地面に脚をつけても桜を離すことはない。


その間も俺は能力を桜に込め続けた。



ザンッ!!ザンッ!!



2つの引き裂いた音が俺の耳にこだまする。


しかし、それも一瞬ことだった。



シュー……



次に聞こえてきたのは俺の【焔壁】が四番目と五番目の水城の【水刃・天象】を相殺して水蒸気を発生させた音だった。



「よし!!」



その音を聞き俺は【焔壁】が崩れる前に桜を地面から抜く。



これからはさっきみたいに本物の水城を見抜かなければいけないのだが……。


水蒸気で周りはよく見えない。


しかもバランスと方向感覚を空中で失ったから水城達の位置も分からない。


この状況ではさっきまでみたいに狙って【飛炎】を放つことは無理だ。






……仕方がない。



ここに来るまで日輪流炎術は時間がなかったから三式までしか練習できなかったけど……。


やってやるよ日輪流炎術四式!!



俺は桜を両手に構え能力を込める。



ボーーッ!!!!



すると桜の刀身で燃えたぎっていた炎が今までで一番の熱を放つ。


その熱は俺の足元にある水を離れた位置からでも蒸発させるほど。



そして燃えたぎる桜を右に構える。



目をつむり集中力をじっくりと高めて気を待った。



「フー……」



大きく深呼吸をして桜から溢れ出てくる能力でできた不安定な巨大な炎を操る。


水蒸気が辺りを隠す中で俺は一心不乱に集中力を高めた。



「日輪流炎術……」



そして呟く。その技の名前を……!!



「【四式・斬炎】!!」



ザンッ!!



右に構えていた桜を左方向に向かって振り下ろした。


すると水城の【水刃・天象】のような炎の斬撃が水城に向かって放たれる!!



これが日輪流炎術の4つ目の型【四式・斬炎ざんえん】!!



一式から四式までの型の中で一番威力が高い技だ!!!!



『……なに!?』



4人の水城達が同時にそう言うが時すでに遅し【斬炎】は4人の水城達を見事に直撃したのだった……。










「日向!!!!危ない!!!!」



……輝喜?



ザクッ!!



輝喜の叫び声が終わる前に俺は胸に鋭い痛みを受けた。


それはまるで刃に貫かれたような鋭い痛み……。



「ヒ……ナ……くん?」


顔を右に向けてみると知恵理が虚ろな顔をしていてその右隣では輝喜が悪魔の目【未来図ドゥローイング・フューチャー】を見開いて崩れ落ちている。



「おい。嘘だろ?」


「な、何の冗談よ日向?」



知恵理の左隣では真備と真備に背負われた凪が茫然突っ立っていた。


みんながみんなまったく違う顔で茫然としている。



だけど目線だけはみんな同じだった。



その視線は全て俺の胸に……。



そこで俺はやっと自分の状況を悟った。



俺の胸元に目線が行った瞬間に……。



「……だから言っただろう。詰めがあまいと」


「み……ず……き?」



耳元で呟くのは無表情を貫き通す雨の死神。


そして俺の右胸を貫いているのは水城の魂狩。大鎌デスサイズの魂狩である【村鮫】……。





……やっぱそうか。





俺は……刺されたのか……。



「……分身したのが5人だけだと思うよ?」


「ごほっ!!……最初から……6人……だったって……ことかよ……」



吐血をしながらも水城を睨みつける。


その無表情の顔を見てるとやはりお前のことが死神にしか見えなかった……。



シュッ……



水城が村鮫を俺の体から抜き去る。


俺はその瞬間に体の感覚が全て抜けてフーと体が軽くなった気がした。




……俺が覚えているのはここまでである。




水城side



「ヒナ君!!!!」



日向は俺が日向の胸から村鮫の刃を抜くと何かが切れたように倒れた。


それを見てられなかったのか知恵理が日向のもとに駆け寄ってくる。



……これでいい。これでいいんだ。



後は知恵理が目覚めて俺のノルマを達成させるだけ……。



「ヒナ君!!ヒナ君!!」



ほら日向。お前のお姫様が呼んでるぞ?



早く目を覚ませよ……。



いや、お前は目覚めなければいけないんだよ。


早く目覚めて……俺の千年の歴史を終わらせてくれ……。


俺は【不老】なだけで【不死】ではないんだからな……。




……大丈夫だ。お前と時の少女は俺が守ってやるよ。


お前のその生涯はこんなもんで終わらないんだから。



なんせ俺が保証するんだからな……。




お前達は俺が過ごしてきた千年を犠牲にして確実に守ってやるよ。










陰陽師羽前家初代当主である【羽前時雨】の名にかけて……な。


作「今回は水城の秘密を書きました〜」


水「……全員が予想外の展開だったろ?」


作「えぇ。何せ【不老】のふせんなんて一切ありませんでしたからね〜」


水「……当然だ。初期設定から一応設定してあったが設定を出すのは今回が初めてだからな」


作「はい。でも【羽前家初代当主】って設定はふせんありましたよね?」


水「……凪の中にいる九尾の【楓】が最初あたりに俺のことを言っていたことだ。楓や鋼弥は俺のことを知っている」


作「ちなみになんで【不老】になったんですか?」


水「……それは後ほど番外編で告げられるから待て。それよりそろそろ次回予告をしろ作者」


作「そうですね。では次回予告……。


水城の策略にはまり倒れてしまう日向。


そして彼のもとに駆け寄ってくるのは彼が守りたかった存在である知恵理。


だが、彼女が彼女の名前を持つ日向の刀に触れたとき奇跡が巻き起こる!!


知恵理の力……一体それは……?


次回【時のDESTINY】」


日「問題nothingだぜ!!」


作「ところで水城さんは今何歳なんですか?」


水「……997歳だ」


作「え?まだ1000歳じゃないんですね?」


水「……気にするな」



次回に続く!!

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