第40話 未来視の悪魔瞳
輝喜の右目に宿りし【未来図】の力とは何なのか!?
真備はその力に対抗することができるのか!!
真備と輝喜の戦いもいよいよクライマックス!!
それではどうぞ→
真備side
「これが俺の右目に宿りし力……。
未来図です」
輝喜の右目を見た瞬間から俺は放心状態になっていた。
でも、輝喜はただ呆然としていることしかできない俺達に関係なく話を続ける……。
「この瞳は俺の最終手段……奥の手です……実際にこれを使うのは刹那以外では初めてのことなんですよ……」
「……刹那?」
意識を戻した俺は未だに部屋の端で恐怖に震えている刹那に顔を向ける。
それに気付いたのか、刹那は顔を上げることはないが、組んだ腕をギュッと強く結び直したのだった。
「……なぜ、刹那には使ったの?」
刹那の横にいる姉貴が輝喜に聞く。
それに輝喜はあのニヒルな笑みを浮かべる……。
その笑みと口から滴る血、そしてあの悪魔の瞳のような右目が全てミスマッチに思えた。
「……この瞳の力は刹那のあの技にとって切り札になりうるのです」
「あの技って何よ?」
「……凪、あなたがその技に一番苦しめられたはずですよ?」
「…………あ!?」
輝喜の言葉に姉貴ははっとしたみたいだ。
そして、姉貴だけではない……。
俺も日向も知恵理も輝喜の言葉で気づく。
「そうです、刹那の唯一にして絶対の技【静寂の雪・風花】です」
その言葉に俺はさらに愕然としてしまう。
なぜなら【風花】は雪化粧を体に巻くことで、姿、足音、気配、殺気の全てを消し去る技……。
さっきの戦いでは姉貴が風の力を使い破ったが、実際問題俺にはあの技をされたら勝てなかったと思う。
でも、あの瞳は刹那のあの技を簡単に破れると言っているのだ。
俺にはそれだけでもあの瞳の恐ろしさが理解できた。
「さぁ、始めましょうか真備?」
その声に俺は顔をしかめる。
なぜなら、さっきまでとは違い俺は今圧倒的に不利な状況だからだ。
でも、輝喜はそんな俺に弓を構えるのだった……。
「……神聖の斧」
パチンッ!!シュンッ!!
輝喜の恍穿弓から巨大な一本の矢が放たれる。
この【神聖の斧】は一本の巨大な矢を放つ、しかしその矢は当たったら強力な圧力がかかり、対象物を一気に粉々にする恐ろしい技……。
つまり、この矢は掴み取ることはできないから避けるしかないだ。
「くっ!!」
俺は迫ってきた矢を右に避ける。
ヒュンッ!!
それから一秒もしないうちに俺の左を神聖の斧が通過していった。
後ろには反射可能な鏡はない。
これで輝喜の攻撃は終わるはずだった……。
輝喜が右目を解放する前の話ならな……。
「……予定通りです」
「っ!?」
輝喜の呟きに俺は輝喜のいる方に振り返った。
……そして、俺の目の前まで迫ってきている矢が目に入ってきのである。
「な、なに!?」
俺は飛んでくる矢を見た瞬間に急いで神経を頭に集中させた。
少しでも早く、必ず避けられるように……!!
その結果、俺はいままでの中で一番早く【雷光神経】を発動させることができたのだった。
「発動!!」
シュンッ!!
俺は通常の三倍のスピードで動き輝喜のいる方に走り出す。
そのスピードは輝喜の光の矢のスピードには届かないにしろかなりのスピードだった。
少し予定が狂ったとはいえこれで今までの動きと同じ。
俺はさっきとあまり変わってない状況に安心しきっていたのだった……。
そして、輝喜は呟く。
あの言葉を……。
「射手座の矢は必ず当たります」
……俺は【鏡写し】のときと同じ過ちを犯してしまったのだ。
しかし、その事実に気づくのが遅すぎた。
輝喜は俺が目の前まで迫っているのにまったく動じず終始笑顔。
しかもその笑顔が悪魔の瞳【未来図】をもかき消していることに驚きだった。
輝喜は笑顔を崩すことなく再び口を開く……。
俺を貫く矢の正体を……。
「変幻自在の矢【神聖の鎌】!!」
ザシュッ!!
……俺は背中に鋭い痛みを感じるのだった。
日向side
ザシュッ!!
真備の背中を貫いた矢……神聖の鎌と名付けられたあの矢に俺は息を呑む。
神聖の鎌……その正体はこの一連の動作で真備に放たれた二本目の矢だ。
でも、なんでその矢が鏃の向かう先とは真逆にいる真備に攻撃することができたのか?
答えは至極簡単。
……二本目の矢が孤を描いて旋回したのだ。
その動きはまるで鎌の刃みたいな動き、鎌の曲がった刃そのものだった。
でも、俺にとってはそんなことはあまり関係ない。
実際、輝喜の技はかなり多彩である。
その技のほとんどが真備を苦しめる原因となっていたから今更新しい技を出してきてもあまり驚かなかった……。
むしろ、俺が驚いたのは一本目【神聖の斧】と二本目【神聖の鎌】を放つまでのタイムラグ……そのスピードがあまりに早すぎたのだ。
【神聖の斧】を放ってから【神聖の鎌】を放つまでの時間差……およそ三秒。
つまり、一本目の矢を放ってから輝喜は迷いなく真備が避けたところに矢を放ったのだ。
……真備が避けるよりも早くに……。
「ぐっ!!」
真備は矢が刺さった背中を庇いながら輝喜の目の前に座り込む。
その行動に輝喜は構えていた弓を下ろした。
「……この技は普通の状態ではできません。【未来図】を発動させている今だからこそできるのです」
輝喜は真備を見下ろす形で話し始めた。
その間【未来図】が宿っている右目は閉じている。
「どういうことだ輝喜?いったい、その目の力は何なんだ?」
俺は心を落ち着かさせて輝喜に問う。
しかし、このとき実際の俺はこの意味を理解していたのであった。
輝喜の技、神聖の鎌の短所……。
だが、俺にとってみれば輝喜がその短所を長所にしてしまったことを知りたかったのだ。
だから、敢えて分からないフリをして輝喜に訪ねたのだった。
ま、輝喜にはバレバレみたいだがな。
「……日向、あなたなら言わずとも分かっているのではありませんか?」
俺の思惑を知ってか知らずか、輝喜は俺の心を完全によむ。
……でも問題nothing、俺は動揺することはない。
輝喜の顔をしっかりと見据えて輝喜の問いに答えるのだった。
「……普通、神聖の鎌は動いている相手に当てることは不可能……だろ?」
その言葉に輝喜は顔色一つ変えることなくニヒルな笑みを浮かべるのだった。
「確かに、神聖の鎌は動いている相手を射ることは不可能です……」
「……だが、実際は当たっている。しかも、【雷光神経】で高速移動している真備にだぞ?」
「えぇ……大体この技は動かない相手への奇襲用の技……実際に戦闘では役にたたないでしょう」
そう言って輝喜は口を閉じる。
片方しか開いていない瞳は俺達の誰も見ていなかった。
だが、すぐに真備、凪、俺、そして知恵理を順番に見ていき全員を眺めたあと、閉じていた右目を指差しながら話し始める……。
その瞳は閉じられたまま。
悪魔の瞳【未来図】の正体を話し始めるのだった……。
「でも……相手が移動する場所を知っていたら話は別ですよ」
そして、輝喜は再び【未来図】の右目を開く。
「この目に宿りし力……その正体は……
……未来を映し出すことです」
俺はその一言に呼吸を忘れる……。
だが、これで全ての謎が解くことができた。
未来を見る力……その力があれば今までのことに全て合点がいく。
まず、刹那の【静寂の雪・風花】あれの唯一とも言える弱点は【姿を消したまま攻撃できない】こと。
凪との戦いを見ていてそれは手に取るように分かった。
そして、攻撃するためには必ず風花を解かなければいけない。
しかし、輝喜の【未来図】の力をもってすれば刹那が現れるその場所を始めから分かっているということになる。
これでは隠密行動の意味がない……。
そして、さっきの【神聖の斧】と【神聖の鎌】の二連射……。
これは掴むことができない神聖の斧を放つことにより真備に矢を避けさせる。
さらに、真備が避けた場所をあらかじめ【未来図】で予想していた輝喜はその場所に神聖の鎌を放つ。
もしかしたら、真備が避けることも輝喜は知っていたのかも。
だから、神聖の鎌を反転させて【雷光神経】使用後の真備を射ることができたのかもしれない……。
つまり、三重の仕掛けがしてあったということだ。
そんな攻撃を真備が避けられるはずがない。
しかも、それを全て可能にしているということは……輝喜の話が本当だということを証明していた……。
真備の勝ち目が極端に減ったということだ。
俺は輝喜から目を反らし、倒れる真備に目を移した。
「ちっ、どうなってんのかさっぱりわかんねー」
「……ただ一言なのに分かりませんでしたか」
そのとき、背中に矢を刺したまま真備が立ち上がる。
輝喜も特に気にした様子もなく、手が触れそうな距離で立ち上がった真備を見つめていた。
「は〜……マキビン、つまりは……」
輝喜はおそらく、さっきの言葉よりさらに簡単な言葉を探そうと右目だけではなく、両目を瞑った。
だが、真備はそれを否定する。
「違う!!」
……真備の声が部屋を揺らした。
「……違う、とは?」
「お前が言っていることは理解してるっつーことだ。俺が言いたいのはまた別のこと……」
真備はそこまで言って言葉を止めた。
そして、俺はその真備がしている横顔に目を奪われてしまう。
真備の顔は今までにないほど……。
……怒っていた。
「てめーが何を考え、どんな力を使おうが勝ってだ……」
輝喜の顔が歪む。
輝喜の表情にはまた新しい顔があった。
俺(天使)と同じ【漆黒】と悪魔と同じ【紅蓮】の双瞳が……揺らいで見える。
残念ながら俺にはその表情が何なのか分からない。
……けど、輝喜の心情を何かが貫く。
これだけは言うことができた。
「……だがな……」
そして、輝喜の心情にずいずいと侵入していく真備。
もしかしたらあいつ(真備)は誰よりも……。
「……自分の心にだけは嘘をつくな」
「!!?」
人の心を読む力があるのかもしれない。
「お前が俺と殺り合うのは本意じゃない」
輝喜は真備の言葉にあきらかに動揺を見せる。
そして、俺はこの動作で輝喜の表情の謎が解けた。
あれは、俺達に自分の真意を知られるのに【恐怖】した顔だったのだ……。
輝喜は俺達を完全に裏切れていないことを知られたくなかったんだな。
まったく……あいつらしいといえばあいつらしいな……。
そして、真備にはもう一つ力がある……。
それは……。
「……ひっく…ヒナ君…」
不意に俺を呼ぶ知恵理の声。
……見なくても分かる。
知恵理が泣いていることに。
きっと、真備の言葉を聞いて耐えられなくなったんだ……。
俺も真備の言葉、知恵理の涙を見て何かが弾け飛ぶのを感じた。
知恵理の泣き顔は俺が一番見たくないもの。
だから、俺は知恵理の顔を見ず呟いた。
「……問題nothing」
俺は立ち上がる。
真備のため……。
輝喜のため……。
何より、知恵理のために……。
「……ぐすっ…ヒナ君?」
心配そうな知恵理の声。
だけど、俺が振り返ることはない。
俺が見つめるものは真備の言葉と知恵理の涙に気づかされたただ一つの思い。
【知恵理を泣かすやつだけはどんな理由があろうと許さない……!!】
という決意だけだ!!
そして、俺は意を決して右手を前に差し出す。
……これが正しい答えだと信じて。
「来い……紅翼……」
ボーーッ!!
俺の声に反応して辺り一面が炎に包まれる。
知恵理だけじゃなく、真備、輝喜、凪に水城と刹那まで俺を見ていた……。
だが、それも当たり前のこと。
この場面での紅翼の発動は予想外に違いなかった。
でも、俺はそんな中、自分の周りに燃えたぎる炎を紅翼で切り裂くのだった!!
ザシュッ!!
「日本刀の魂狩【紅翼】」
俺は改めて真備と輝喜を見つめる。
その瞳が【深紅】だと気付かずに……。
……真備にもう一つ力がある。
誰よりも人の心を動かす力がな……。
知「こんにちは!!姫ノ城知恵理です♪」
作「こんにちは!!作者の†HYUGA†です♪」
知「今回は作者さんにここ二回分くらいの説明をしてもらいま〜す☆」
作「よろしく(^-^)/」
知「さて、さっそくなんですが前回出てきた【メモリー】さんについて説明お願いします♪」
作「本当に早いですね」
知「時間ありませんから」
作「ま、いっか。あと時の番人についてはこの人から!!」
水「……時雨水城だ。メモリーは時の番人の情報局の局長だ。アトゥムとはエジプトの創造神のこと。あと、作者が情報局と医療局のつける名前を間違えた。以上、帰る。」
水城は突然現れてそれだけ話すとこれまた突然帰っていった……。
知「……風みたいな人でしたね」
作「あぁ、しかもよくこのコーナーに出てくれたよな……」
知「ところでさっき興味深い話が……」
作「次行きましょー」
ちなみに本来は情報局が創造神の【ビシェヌ】で医療局は医療の神【アスクレーピオス】の予定でした。
知「むー……しかたないですね。次の質問行きたいと思います」
作「お願いします……といきたいところですが時間とネタ切れですね(笑)」
知「え〜〜!!!???」
作「だって、今回説明すること何にもないも〜ん
では、次回予告!!
傷だらけの真備に異変を感じる輝喜……。
そんな二人に日向の決心はいったい何をもたらすのか!!
そして、ついに真備VS輝喜の闘いが決着!!
果たしてどちらが勝つのか!?
次回【雷光と閃光】」
日「問題nothingだぜ!!」
知「あ!!ナギちゃん!!」
作「えっ!?」
凪「……あんた、変なところでうっかりやったわね」
作「あ、あの〜(^-^;」
凪「一応言っとくけど、あんたはFteの赤い悪魔にはなれないからね(ニッコリ)」
作「≠×∴‡∮≫/(←声にならない叫び)」
その後、作者はうっかりミスをなくすようになった……。
………多分ね!?
次回に続く!!