第39話 堕天使な親友
今回は親友同士が戦う中の日向の心情を書きました。
真備と輝喜の全力での戦いもあります!!
では、どうぞ!!
あ!あと今日は俺の誕生日なんっすよ!!(※これは9月29日の投稿作品です)
……すんません、ただ言いたかっただけです。
日向side
な、なんなんだよこの状況……。
俺は目の前に広がる光景にただ愕然としてしまった。
「ヒナ君……」
心配そうに知恵理が俺を見つめてくる。
でも、いつもなら知恵理に対して微笑みかけて安心させようとすれけど、今は下にいる二人の親友から目が離せない……。
「……俺は、いったいどうするばいいんだ?」
【問題nothing】と言えない俺は俺自身に歯がゆく思った……。
真備side
「よう輝喜、これはいつぶりの再会になるのかな?」
レリエル改めて、輝喜はいつも通りの笑顔を作り答える。
「いつって、さっき一緒にこの部屋に入ったじゃありませんか」
「違う、俺が言いたいのは【本物の】お前と最後に会ったのはいつかって話だ」
俺の言葉に輝喜は少しニヒルな笑みを浮かべた。
その表情は輝喜とつるんできた三年間で一度も見たことない表情だ。
「……最後に本物の俺と会ったのは昨日の放課後……下水道であなたを拾ったときですね」
「ぐっ!?」
輝喜の言葉に俺は口を噤ってしまう。
そんな俺を見た輝喜はしてやったりという感じで今度はいつも見せるいやらしい表情を浮かべる。
だが、俺はその顔を見ると未だに輝喜と殺り合っていたという自覚がなくなってしまった。
……あいつがどう思ってるか知らないがやっぱりあいつは俺の親友なんだから。
「……ねぇコウ君」
そのとき、上のカゴから静かな声が響く。
だが、俺は……いや、俺と輝喜は声の主に罪悪感を感じてしまう。
やはり、俺達のこの喧嘩を一番悲しく感じてるのはあいつだからな。
「何?知恵理?」
「……あのコウ君は誰なの?」
……確かに、普通に考えるとこの場に最初からいるあの輝喜は誰か?ということになると思う。
だが、やつの正体は俺なら簡単に分かる。
いや、むしろこの場いるメンバーなら俺かよくて姉貴が気付く可能性を持っているぐらいだ。
あとはよくて違和感を感じるくらいだろう。
……何故か?簡単な話だ。
だって、やつは……。
「【空蝉】……それがあいつの正体ですよ♪チエリン♪」
「【空蝉】ってまさか!?」
日向と姉貴が慌てて俺のほうを向く。
おそらく二人とも同じことを考えたんだろう。
……ま、二人とも考えていることは大方合ってる。
なんせ、この技は俺が今朝使ったしな……。
俺は日向と姉貴、二人の眼差しに答えるのであった。
「……身代わりの羽前流式紙術【空蝉】それがあそこにいる輝喜の正体だ」
俺が呟いた瞬間、最初からいた輝喜はその姿をみるみるうちに小さくしていった。
そして、最後には手のひらサイズの一枚の紙となり、本物の輝喜のもとに舞い戻る。その一連の動作はこの式紙の術者が輝喜であることの最大の証拠であった。
「……なんで、輝喜が羽前流式紙術を使えんのよ?」
姉貴は口元を震わせながら呟く。
それに輝喜は一瞬……本当に一瞬だけ表情を暗くしたが、すぐにいつも俺達に見せる笑顔を造った。
「わかりません。俺には三年以上前の記憶はありませんから……」
『……!?』
たかが一言、しかし、されど一言である。
その一言はその場にいる俺、日向、知恵理、姉貴の四人を動揺させるには充分すぎであった。
「そ、そんなことって……」
……特に知恵理の動揺の仕方は桁違いだ。
やはり、こいつにはちっとばっかりキツすぎたかもしれない……。
「……記憶喪失」
「えぇ、大雑把に言うとそうなりますね」
日向の呟きに律儀に答えた輝喜はどこか遠くを見るような目で上を向く。
その姿は本当にさまになっていた。
「……あれは今から三年前、あなたや日向、知恵理に凪と出会う三カ月前の出来事です……」
〜三年と三カ月前〜
その当時、俺はある組織に【能力者】として……売られました。
そのときすでに俺の記憶はなく、途方もなく歩いていたときに【能力者の狩人】に捕まったのです……。
その組織で過ごした一週間はまさに地獄でした。
食事は1日一食最低限のカロリーしか与えられない。
毎日三時間は訳の分からない機械に繋がれて。
昼の残りの時間はひたすら能力を使いこなす練習……。
俺は本気で自殺を考えたほどでした。
……でも、できませんでした。
その組織に入れられてちょうど一週間が過ぎたとき、俺に手を差し伸べた救世主がいました。
それは……。
ガチャッ!!
「だ、誰です!?」
ここは俺専用の部屋……いや、牢獄と言ったほうがいいかもしれません。
ここの扉が開くのは1日一回の食事が運ばれてくるときと、実験に連れ出されるとき、それに無理やり訓練に駆り出されるときの三回しかありません。
しかし、今はどれにも当てはまらない……。
では、いったい誰が?
そして、ついに俺の部屋への扉が開きました。
ガチャン!!
「……大丈夫か?」
そこにいる人は俺が今まで一度も見たことがない人でした。
年は見た目二十代の後半、背は高く180は優に越えていて、顔立ちも悪くない。
でも、俺にとって一番印象に残ったのは男の深々とした深緑の髪である。
俺は男が出てきた瞬間あまりの出来事に言葉が出せませんでした。
「……しっ!!静かに」
男は人差し指を口元に寄せて静かにするように言いました。
「お前は美濃輝喜で間違いないな?」
その言葉に俺は黙って頷く。
すると男はニコッと笑顔を見せて俺を抱え上げたのでした。
「……え?」
「……黙って!!これから君をこの施設から出す、だから、もう少しだけ我慢しててね」
静かに、でも全力で走りながら男は俺に話しかける。
俺もこの施設から早くでれればそれでよかったから必死に口を閉じました。
タッタッタッタッ……。
抱えられながら走っている時間はかなり長く感じられました……。
しかし、それも光が見えたとたんに消し飛びる。
その光は俺にとって一週間ぶりの太陽の光だったからです。
バラバラバラバラ……。
光に気を取られているうちに俺は施設からだいぶ離れた場所に連れられてこられました。
そして、そこで待っていたのは一機のヘリコプター……その機体のボディーには時計の針で創られた十字架が描かれている。
男は迷いなくそのヘリコプターに近づいていきました。
「デモン!!デモン!!」
「聞こえてるよ【メモリー】そう叩かないでくれ」
ヘリコプターのコックピットから金髪の男が首を出す。
これが俺と【デモナン・カイハーツ・キルデ】との初対面である。
「……それが例の子か?」
「あぁ、日本人の少年で【ユニ……・…ルー…ズ】の実験に利用させられていた」
「……そうか」
そのとき、辺りから人の気配が現れました。
追っ手がきたのです。
「ちっ!もう来やがった」
「いいから早くその子をヘリに乗せて下さい!」
デモンの言葉を聞き終わる前に男は俺をヘリコプターに押し込みました。
……自分は乗らずに。
「行けっ!デモン!!」
「了解!!」
デモンはヘリコプターの操縦桿を一気に上げました。
それと同時にヘリコプターは上昇を開始しました。
「……じゃあな、坊主」
「あなたは誰ですか?」
男は俺の返しを予想していたのか、平然とした顔でゆっくりと口を開いたのだった……。
「俺は【メモリー・ワールドメッセンジャー】時の番人の情報局の局長さ!!」
それが、俺がその男と交わした最後の言葉でした。
でも、俺は信じています。
あの人は世界のどこかで必ず生きていると……。
だから……。
〜現在〜
「だから、俺はあの人への恩返しとあの人との再会のためにこの組織にいるのです」
……知らなかった。
輝喜に、あのいつも笑顔でハイテンションでみんなに幸せを振りまいていた輝喜にそんな過去があったなんてな。こんなんでよく【親友】と言えたもんだぜ……。
「さて、俺の過去の話を話したところで続きと行きましょうか、真備?」
その言葉に俺は現実に引き戻される。
……【親友】との死闘へと。
「……そうだな」
そして、輝喜は弓を、俺は拳を構えるのだった。
日向side
「神聖の槍!!」
「へっ!バカの一つ覚えとはこのことだぜ?」
「少なくともマキビンにだけは言われたくありませんね!!」
ヒュンッ!!ヒュンッ!!ヒュンッ!!ヒュンッ!!
ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!
…………………
……………
………
…
輝喜の魂狩【恍穿弓】の光の矢と、真備の魂狩【雷神】の雷の拳が部屋中を明るく照らしだす。
お互いにかなりの手負いの状態……。
しかも、輝喜と真備は喧嘩の強いやつランキングの上位ランカー。
輝喜が三位で真備が二位、でも魂狩の扱いになれている輝喜と拳での喧嘩が最強(日向より上)の真備……。
つまり、二人の強さはまさしく同等。
はっきり言ってどちらかが勝負を諦めないかぎり勝負はつかない可能性が高かった。
しかし、輝喜も真備も勝負を譲る気はないようだ。
「ひどい……」
「……まったくだ」
知恵理が口元を手で抑えて涙ぐみながら呟く。
俺もそれに唇を噛み締めながら答えることしかできない。
なぜなら、今目の前で俺の男の【親友】二人が殺りあっていて、俺はそれを上から見守ることしかできないからだ。
「……【問題大あり】だよ、バカやろーども」
俺は兄貴が死んでからおそらく初めてその言葉を口にする。
……ショックだった。
【親友】二人がお互いを敵とみなしているのがショックだったのだ。
「……ヒナ君」
知恵理の完全に潤んだ目からは今にも滴が落ちそうだった。
でも、俺は知恵理の側に近づきその目の涙をすくってやることもできない……。
……俺はこのとき自分の存在の小ささを知ったのだ。
「……あいつらに任せるしかない」
自分の口から出た言葉に俺は呆れることしかできなかった……。
真備side
「神聖の斧!!」
パチンッ!!ヒュンッ!!
「ちっ!!この技嫌いだ!!」
俺は輝喜の弓から放たれた巨大な一本の矢を避ける。
だが、あいつの攻撃はこれだけでは終わらない。
輝喜が放った神聖の斧は俺の後ろにあった鏡に吸い込まれていった。
「……神聖の鏡」
ヒュンッ!!
俺が後ろを振り返る間もなく、輝喜の一声で鏡から神聖の斧が放たれる!!
だが、ここがさっきまでの俺と違うところ。
俺は雷神から大量の電気を体内に流し込み、神経に頭を集中させた。
「……【雷光神経】発動」
シュンッ!!
俺は雷光のごとき超スピードで動く。
そして、俺が動きだしてから3秒後(実際は1秒後)俺がいた位置を光の矢が通過するのだった。
「今度はこっちから……」
シュンッ!!
俺は再び【雷光神経】を使い高速移動する。
狙いはもちろん……輝喜だ。
「来ましたか」輝喜の声とともに俺は輝喜の目の前に現れ……。
「はぁーー!!」
ブンッ!!
輝喜に向かって思いっきり拳を出した。
しかし、俺以外の誰かが話したかもしれないが、輝喜はあの華奢な体のわりには握力は俺達では一番ある。
そして、もう一つ。
輝喜の動体視力は飛んでくる矢を素手で掴み取る俺以上にあるのだ。
その結果、俺はさっきから拳を一撃もいれられないでいた。
そして、今回もおそらく……。
輝喜side
「はぁーー!!」
目で追っていた真備が俺の目の前に現れました。
最初は真備の動きに対して些か驚きで体が金縛りになってしまいました。
が、日向、知恵理、真備、凪の中で俺の動体視力はずば抜けています。
今回はそれがこうをなし、真備の拳をギリギリのところで避けることができました。
だから、今回も避けられる。
そう思っていました。
しかし、俺が恐れていたことがついに起こったのです……。
ズキッ!!!?
「ぐっ……!!」
……お忘れかもしれませんが俺の体も、真備の体も既にボロボロ……。
だから、いつかは体が悲鳴をあげると思っていました。
そして、ここが一番の問題です。
俺も真備も実力的にはそう大差はありません。
いや、むしろ戦闘能力は均等していると言っても差し支えないと思います。
と、いうことは勝負を決めるものは何か?
それは……。
【相手の想像以上の何かを持っている】
【相手に隙を見せる】
この二つが勝負のさかえめになります。
では、ここで俺は何を言いたいのか?
簡単なことです。
つまり、お互いボロボロの体である今、怪我による痛みに気を取られることは【相手に隙を見せる】ことに繋がるのです。
しかし、それがどちらに早く来るのかは分かりません。
だから、俺は恐れていたのです。
俺の方に早く耐えられないほどの怪我の痛みが来ることを……。
「……しまった!!」
「うおーー!!」
バキッ!!!!!
……真備の拳による背中の痛みは、見事に俺を再び空中に浮かせるのでした。
真備side
「あ、当たった?」
俺は自分でやっておきながら、目の前の出来事に目を見開く。
「輝喜……」
「……コウ君」
「……輝喜」
上から聞こえてくる日向と知恵理、そして隣の部屋の姉貴から悲しそうな……切なさそうな……そんな声が聞こえてくる。
……だが、俺も日向や知恵理、姉貴の立場なら同じことをしたと思う。
なんと言っても【親友】と【親友】の戦いだ。
ある意味戦っている俺が一番楽なのかもしれないな。
「……しくじりました」
そのとき、俺の拳で飛ばされた輝喜が立ち上がる。
おそらく口の中が切れたのか、口元から血が滴り落ちていた……。
「……輝喜……」
輝喜はゆらりと立ち尽くす。
でも、その姿にはどこか威圧感があり、名前を呼ぶことすら戸惑わせた。
「……こうk「皆さんは俺の目を見たことあませんでしたね?」」
……俺がもう一度輝喜を呼ぼうとしたとき輝喜が話しはじめる。
「この目は俺が隠し続ける存在……そして、この目を解放することで俺の真の力が解放されるのです」
輝喜はそう言うといままで俺達ですら触れなかった右目の眼帯に手を触れた。
その瞬間、俺は理解する。
……俺達の共通認識の一つが今明かされると。
「……マキビン、あなたを倒すために俺は【あなたの想像】を超えます」
そして、輝喜は一気に右目の眼帯を取るのであった……。
「これを見て俺を軽蔑しないでくださいね……」
輝喜の呟きを俺は確かに聞いた。
だけど、それに答えることはできない。
別に輝喜の目を見て輝喜を軽蔑したわけではないのだ。
それは日向、知恵理、姉貴も同じだと思う……。
俺が……いや、俺達が声を出せないのはそんなくだらない理由ではない。
……ただ、純粋に輝喜の目を見て愕然としてしまったのだ。
まず、右目のまわりの血管が浮き上がっていてそれだけで痛そうだ。
普通の目の白い部分はどす黒く真っ黒に染まり、瞳は血が溢れ出たように真っ赤……。
例えるなら【悪魔の瞳】……。
俺達にはそう思えてしかたなかった。
「これが僕の右目に宿りし力……。
【未来図】です」
作「今日は俺の誕生日記念!!みんな祝ってくれー!!(これは9月29日の投稿作品です)」
作以外『おめでと〜!!』
作「アリガトー!!では一人一言お願いしたいと思います!では主人公日向から!!」
日「問題nothing、まずはおめでとう!!これからもがんばってくれよ?」
作「……なぜに疑問系?ま、いっか、次はヒロイン知恵理さんお願いします!!」
知「はい!!作者さんおめでとうございます!!最近私達に構ってくれなくて寂しかったのでこれを機会にもっと構ってください!!」
作「……たぶん、凪あたりに吹き込まれたんだな」
凪「なにが?」
作「知恵理のあれだ、あの知恵理が1ヶ月ほったらかしにしたことをあんなにネチネチ言うわけないだろ?」
凪「言い訳していいわけ!?」
作「……時間がないのでここまでにしたいと思いまーす。
さて、次回は輝喜のもう一つの秘密が明らかになります!!
輝喜の右目、【未来図】に宿っている力とはなんなのか!?
その力は今後の戦闘をどう変えるのか?
次回【未来視の悪魔瞳】」
日「問題nothingだぜ!!」
真「なぁ〜、そういえば俺達は祝なくてもいいのか?」
輝「1ヶ月ほっておいたやつには何も言わなくていいんだよ、マキビン♪」
真「……お前も意外と引っ張るな?」
輝「なんせ【レリエル】ですから、皮肉もできるんですよ♪でも……」
真「だな」
真&輝「作者、誕生日おめでとう!!!!!」
次回に続く!!