第34話 静寂の雪"風花"
凪、敗北で決着!?
刹那の見せる本気の力!!
静寂の【風花】が今、舞い落ちる!!
知恵理side
「…ひどい。ひどいよ…なんで…なんで、あの4人が闘わなくちゃいけないの?なんで…なんで――」
「…くそ!!この高さじゃ飛び降りれねぇ…俺達には何もできないのかよ!!」
鉄で囲まれた部屋の中。口元を押さえ、今にも溢れ出しそうな涙を必死に拭いながら、そう私は呟やく。隣ではヒナ君も悔しそうに叫びます。
でも…今の私には、私達には真下で行われている戦闘をただただ眺めることしか出来きませんでした。
あの、辛く…悲しく…そしてきっと、誰もが望んでない闘いを。
「どうした凪!?さっきまでの威勢はどこ行ったんだよ!?はあぁあああああああああああああっ!!!!」
「ふん。冗談でしょ!?それよりあんたこそ疲れてんじゃないの?拳の速度が0,2秒くらい遅くなってんわよ!!はあぁ!!!!」
――キ――――ンッ!!!!!!
…まず、私の唯一の女の子の親友であり、大切な存在のナギちゃん。
それとつい最近仲良くなったとはいえ、とっても素直で良い子のセッちゃんとの闘い。
激しく。それでいて容赦がない。私はそんな2人が戦ってるのを見るだけで胸が張り裂けそうになりました。そして――
「俺をなめんじゃねーよ!!!!レリエル!!!!」
「そうこなければこちらもおもしろくありません!!【神聖の槍】!!!!」
…傷だらけのマキ君。それに、正体を知ってしまったレリエルさん――
なんで、なんであの2人を戦わせたりしたの?
こんなの…残酷…すぎるよ…。
「知恵理…知恵理!!おい!!どうしたんだ知恵理!!」
「ふぇ…?」
不意に頭に入ってくる心配そうな声…。それは私が毎日聴く声でした。
その声に気づき、振り返る。すると、そこには心配そうに私をぞき込んでるヒナ君の姿が。反応した私に、本当に心から安心したという表情を浮かべるヒナ君。
――うん、ヒナ君には話ていた方がいいかもしれない。
1人で悩む前にまずは周りを頼りなさいって――昔、お兄ちゃんがそう教えてくれた。困ったことがあったら…俺か、日向を頼れって――
「よかった。本当によかった…知恵理…。さっきから呼んでも反応しないから心配したんだぜ?」
「…うん。ごめんねヒナ君」
そうだ。そうだよねヒナ君。レリエルさんの正体…きっとヒナ君なら――
「あのね、ヒナ君…」
…だけど、私の言葉はヒナ君の厳しい顔と首筋にかかる冷たい感触に阻まれたのでした。それが何なのかは考えなくても解りました。
…相談する事も、許してくれないんですね?
私は、首筋に当てられている刃に恐怖しながらも後ろの人に声をかけました。その人に――
「水城さん。私は…私はどうすればいいの?」
「……鎮静してろ」
その言葉は、今の私には重すぎる言葉でした。
凪side
「はぁ…はぁ…」
やばいわね…さすがに、息が上がってきたわ。
「ほらほらほら!!!!息切れしてんぞ!!凪!!」
「うっさいわね、これは持病の喘息よ!?」
ちなみに、あたしは予知夢を見る以外いたって健康な体だからそこは勘違いしないでね。まぁ、こんな分かりきった嘘。信じる奴なんて――
「いや!!そっちの方が問題あんだろ!?」
…いたわ。だまされた奴。
「嘘よ」
「騙されたあぁああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
…刹那って騙されやすいのかしら?いや、ただ単に純粋なだけか。
「騙されたあんたが悪いのよ!!」
「お、鬼〜」
…いつも思ってたけど、なんであたしってときどき悪魔とか鬼とかって言われるのかしら?…ホント不思議だわ。
あたしはこんなにも可憐な容姿をしてるっていうのに――ごめん。自分で言ってても今のはないと思うわ…。はぁ…いよいよヤバいわね。
怒りと焦り、そして刹那とのこれからの戦いでの思考でまともな判断が出来なくなってる…。軽い冗談すら、もう頭に浮かべられなくなっていた。
「さぁ来なさい刹那!!あたしが凪払ってあげるから!!」
「くっ…。凪。お前はオレを怒らせた。もう…挑発じゃぁすまねえぜ」
今までのムードから一辺。雪化粧を構え直す刹那。
…うん。どうやらやる気みたいね。あたしの前に立つ彼女から溢れ出てくる闘気。どうやらここからが本当の戦いになるみたいね。
あたしも改めて風神を握りしめる。…はっきり言って今のあたしに刹那が本気を出したら勝ち目はほとんど無くなると思う。
うんうん、違うわ…あたしでは絶対に勝てない。
あたしはあたし自身の実力をはっきりと自覚している。たぶん、この部屋にいる能力者では最弱とも言えるわ。だからこそ、言いきれる。
あたしでは、絶対に刹那には勝てないと――
「最初に言っておく…オレの本気は静寂だぜ?まるで、雪の中に隠れるみたいにな…」
「ふん。そんな御託、どうでもいいわ。かかってきなさい、子猫ちゃん??」
「へへ!!望むところだ!!」
勝率の低い戦いをやるほどあたしは馬鹿じゃない。でも、今回は逃げられない戦い――まぁ、逃げるつもりもないけどね。
だったら、最後まであんたにつきあってあげる。だから、刹那――
あたしを本気で狂わせなさい!!!!
「行くぜ!!【静寂の雪・風花】!!」
その刹那、雪化粧を体に巻きつけた刹那の姿が跡形もなくなくなる。
その姿まるで、吹雪の中へと消えていく“雪隠れ”のような幻影のようだった――
日向side
「水城っ…!!」
その男…時雨水城は俺の目の前で俺の守りたいものに刃を突きつける。
知恵理の銀色の髪とは真逆…光沢のない完全な漆黒のロングヘアー。
さらに死神を思わせる漆黒のコートを足の先まで着込んだ姿。そして、その姿と完全にマッチした大鎌。それは知恵理を迎えにきた死神のようだった。
「…何のつもりだ?」
知恵理が入れられている鳥かごのようなものの側面に掴まりながら、知恵理に村鮫の刃を向ける水城。
それだけでも俺には充分我慢出来ないことだ。
だが、水城はそんなこと気にした様子もなく俺に無表情な顔を向ける。
「……お前も鎮静してろ不知火日向。今は我らがやり合うときではない。鎮静してあの4人の戦いをしかと見届けよ」
ムカつくほど無表情な顔。その瞳の奥では俺達との【ゲーム】を楽しんでいるということは嫌でも分かる。
やつは俺と俺の親友達、そして俺が守りたいものをゲームの駒としか思ってない。そう感じた。
「…問題nothing。だけど、お前の思惑通りに事が運ぶなんて思うんじゃねーぞ?真備と凪は負けない。あいつらは強い…例え相手がレリエルと刹那であっても、あの2人ならレリエルと刹那の目を覚ますくらいまでやってのける。あいつらを…なめんじゃねーよ?」
そう言って、俺は水城を睨みつける。これは俺からの宣戦布告の意味もこめていた。俺は――俺達は、絶対にお前を倒す!!そうこめた言葉だった。
だけど、やつは動じることなく俺を見続け続ける。そして、訪れたいっときの静寂――
それは気持ちの悪い静寂だった。
『『………』』
押し黙り、相手の出方を伺う俺達。その中で、真備が拳を振るう音、レリエルが指を鳴らす音がさっき以上に大きく聞こえてくる。
だがそのとき、水城は一瞬、俺に向ける視線を別の方向へと反らした。その無情な瞳が何を考えているのかは分からない。
だが、それから少しして、水城は口元を若干――そう、実際は動かしたか動かしてないかすら分からないほど微妙に歪ませ、言い放った。
俺達にとって最悪の言葉を。俺達にとって――ホントに、最悪な言葉を。
「……どうやら、刹那の勝利が決まったみたいだ。残念だったな不知火日向」
――ヒュウゥゥゥ…
そのとき、俺の顔を弱々しい風が力なく撫でたような気がした…。
凪side
「……」
音もしない無音の空間。あたしは周りの気配に耳を、目を、鼻を…とにかく体全体を逆立てて身構える。だけど、やっぱり刹那の気配はどこにも感じない。
この世界は【静寂】…静かで寂しい世界。今、この空間は刹那によって完全に支配されていた。
――あたしを含めて。
「……」
ゴクリと唾を飲み込む音でさえ、大きく聞こえる静寂の空間。
全てが飲み込まれるような静けさ。そして、それをも凌駕する恐怖があたしの中をグルグルと支配していく。
耐えられない。絶えられない。堪えられない。たえられない。タエラレナイ。あたしには…この世界は寂しすぎた。
そう思った瞬間。あたしの中にあったいろいろなものが…バラバラに、跡形もなく崩壊した…。恐怖に、負けた瞬間だった。
「…どうしたの、刹那?来るなら早く来なさい!?あたしはいつだっていいんだからね!?さぁ来なさい!!来なさい!!来なさい!!来なさい!!来なさあぁあああああああああい!!!!!!」
さっきまでの強がりな言葉とは似ているようで違う。あたしの心を支配した恐怖が溢れた言葉。
完全なる虚声があたしの口からこぼれで落ちてくる。それはあたしの中にある感情が全て恐怖による支配を受けている証拠だった。
いつも、夜になったときに訪れる恐怖と違う。
言うなれば、偽(夢)ではなく真(現実)の恐怖があたしの中を埋め尽くす。現実に、目の前にある“死”という恐怖に。そして――
「…助けて」
恐怖が再骨頂に達したとき【静寂】は破られた。
――シュルシュル…!!
静寂の間に音が戻る。それは、無常にも布が擦れる死を知らせる音だった。このとき…あたしは本当の死を覚悟した。
「ごめん…オレはその願いを…叶えることはできない」
あたしの真後ろに現れた刹那は雪化粧をすでにあたしの体に巻き付いていた。
冷たい…あんたの魂狩ってこんなにも冷たかったのね…。
肩に触れた雪化粧の冷たさ…。それは、真備がいない初めての恐怖に放り出されたあたしの心のように思えた。冷たく、光(真備)のない暗い空間のように。
…ごめんね。知恵理。
――ザシュッ!!
あたしの肩が斬り刻まれたのは――
あたしの不甲斐なさを親友に謝罪したのと同時だった。
刹那side
目の前で吹き出す血。
オレを受け止めてくれた女の血が飛び散るのをオレは見続けることしかできなかった。
「ごめん…本当にごめん」
肩口の傷を抑えながら崩れ落ちる凪…。やったのは…オレだ。オレはオレ自身に激しい嫌悪感がわいてきた。
【今】も【昔】も他人の命令にしか従わない自分に対する嫌悪感だ。そのせいで…オレはオレのことを分かってくれるかもしれないと思った女を傷つけた。
最低だ。俺は――
――バタンッ…
糸が切れた人形のように倒れこむ凪。オレの身体には…大量の彼女の血が服を染め上げている。
その血すら、今のあたしには虚空のようにしか思えなかった。
――ダンッ…
崩れ落ちる凪の姿を見て、オレも思わず膝をついてしまう。…これで、終わった。俺のノルマはこれで終わり――
直に新しい仕事を与えられて凪や知恵理のことも忘れてしまうと思う。
でも、いや、だからこそ――この悲しみを忘れてしまわないうちに…泣こう。今はただ、精一杯泣かせてもらおう…。
「う…う…うあぁあああああああああああっ!!!!!!」
凪side
…暗い。
……寒い。
そして………怖い。
まるで【夜】みたいな空間にあたしはいた。刹那が支配していたあの空間とは違う…。
この空間はあたしが支配する側であり支配される側だ。
そう、これはあたしが見ている夢…。そして、この誰かに見られている感覚。彼女がいるのだ。
あたしの夢を支配し、あたしの恐怖という恐怖すべてを支配する…彼女が。
「…あたしの夢を干渉するやつなんて1人しかいない。出てきなさい楓!!…いいえ、九尾!!!!」
あたしの呼びかけに応じた彼女は昨日と同じ姿…。物の怪ではなく、昨日と同じ人間の姿で現れる。
真っ暗な空間に栄える金色の髪をした美女。それは、まるでこの空間に現れた一筋の光のようだった――
`
作「では、さっそく次のコーナーで〜す!!!!」
輝「あぁ…こうしてる間にもヒナタンに危機が迫ってんだろうな――貞操の」
真「いや!!犯されはしない!?決して犯されはしないからなあぁああああ!!!!!!」
輝「でも最近、学園のマンガ研究会一番の人気商品は日向×真備なんだって〜♪ちなみにマキビンがヘタレ攻めらしいよ♪」
真「嘘だあぁああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
輝「うん♪そうだよ♪」
真「orz…あぁ、燃え尽きた…真っ白にな…。作者…さっさと進めろ」
作「ふ、問題ない…シナリオは1%のずれもない…」
輝「うわ〜なつかしい〜某ロボット漫画の総司令だ〜♪サードインパクト後、息子さんは元気〜??」
作「…あぁ。元気だ」
真「ヤベー…どっからツッコンだらいいのかさっぱりわからねー…とりあえず、シナリオって何だよ!?」
作「もちろん裏死海文書…ではなくて!!次のコーナー!!【羽前真備のシナリオ】!!!!!!」
真「そこおぉおおおおおおおおおおおおっ!!!???」
作「はい!!じゃあコーナー説明で〜す。このコーナーは真備が本文の一部分を勝手に新しい話にしちゃうコーナーでーす。それでは真備!!どうぞ〜」
真「え゛ちょ…聴いてないんですけど…待っ…」
作「では、今回のお題はこの場面です!!どうぞ――」
『凪!!俺達がしなければいけないことは何だ!?』
『ふん!!そんなの決まってんでしょ!!』
『『断罪!!!!』』
作「では、この台詞を真備はどう変えたのか!?お願いします!!」
真「あぁ〜もう!!ヤケクソだ!!俺はこうしたぜ!?」
『凪!!俺達がしなければいけないことは何だ!?』
『ふん!!そんなの決まってんでしょ!?あんたの目ん玉に塩酸を流し込むことよ!!』
『な!?ちょっと待て!!俺が何をした!?』
『うっさい!!凪払うわよ!?さっさと目を開けなさい!?』
『ま、待て!!!!』
『えい♪』
『ギャーーッ!!!???』
真「はぁ…はぁ…これでどうだ!!!!!!」
日「…そうか、犯人はお前だったのか…真備」
真「はぇ…?」
作「というわけで!!次回予告!!次回の時の秒針は――
夢…それは夜の恐怖。夢…それは幻影なる希望。
次回【包み込む凪の魂】」
日「問題nothing…さぁ真備!!梅ちゃんをそそのかしたお前の罪を数えろ!!」
真「完全なる冤罪だあぁああああああああっ!!!!!!」
次回に続く!!