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時の秒針  作者: †HYUGA†
第一章;時の番人編
14/76

第13話 双子陰陽師

真備と凪のコンビネーションが炸裂!


そしてあの人が再登場!


???side


真備と凪の宣言から数分。刹那は必死になって攻撃を避けていた。


だけどただの攻撃ではない。2人係だが芸術性のある乱れのない連続攻撃だ。すごい連携プレーであった。




「真備!!次は右蹴りから左アッパー!!」


「おう!!了解だ姉貴!!」




真備はその指示通りに拳を――動かさなかい。




「うおぉおおらあぁああああ!!くらえぇえええ!!」


「…っ!!ややこしいんだよ!!」




雄叫びをあげながらくる真備の攻撃。刹那はそんな真備が放った右蹴り――ではなく左手から放たれたストレートを俺は紙一重のところで避ける。




「まだまだあぁあああああ!!」


「くっ…!?」




――ガ―――ンッ!!!!




さらに迫ってきた左アッパー――ではなく右脚から放たれた膝蹴りを刹那は避けきれなかったからか、雪化粧を二枚重ねにして受け止める。




「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」




乱れのない真備の攻撃。刹那はまさかここまでやるとは思わっていなかった。


凪の言葉に惑わされることなく繰り出された攻撃の数々はもう俺の攻撃パターンを完全に狂わせている。ただでさえ凪の言葉に悩まされる刹那にはやりにくいものがあった。




「真備!!今よ!!右手にもてるだけぶち込みなさい!!」


「おう!!くらえ“懐虫”!!」




だがそれでも凪の指示がばんばんと飛び交う。そして今度はその指示通りに真備はナイフの頭を持つ虫。“壊虫”のもととなる式紙を撃ち込んむ。


これが刹那が戦闘をやりにくいもう1つの理由。刹那にはある弱点があったのだ。




「い…い…いやあぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!虫!!虫!!むしぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!???」




――ザシュッ!!!!!!




飛んできた五体の壊虫。それを最早、刹那は発狂しながら切り裂く。




「虫…!!虫…!!虫…!!殺す…!!殺す…!!殺す…!!」




どこか完全にいってしまっている刹那は雪化粧を構えると壊虫の発信源。つまり真備に切りかかる。だがしかし、その前に立ちふさがるのは――




「そうはさせないわよ!!羽前流式紙術!!」




――ザ――――ッ!!!!!!!!




攻撃した後、無防備な真備の前に小いさな何かが地面を滑るようにして現れる。その手には真備の壊虫と似通った呪文が書かれた紙。


だがそんな突然の乱入者にも刹那の攻撃は止まることはない。虫を見て発狂してしまった今の彼女。そんな彼女にあるのはただ1つの言葉。




「どけえぇええええ!!!!」




虫を作り出した本人の真備に対する純粋な“憤怒”だけであった。


だがその前に立ちふさがるのは者それは守りの羽前流式紙術をマスターした羽前家の“姫”




――ガ―――ンッ!!!!!!




「―――“虚空”―――」

――――"こくう"――――




刹那の攻撃は突然真備の前に現れた謎の壁の前になすすべなくふさがれる。


そしてもちろん真備の前に現れた小さな何かとは――“羽前凪”その人だった。




「な…なにっ!!」


「そこだ!!“懐虫”!!」




突如として現れた謎の壁。それに気を取られた刹那の隙を真備は見逃さなかった。目の前に現れた心強い味方の凪。


そんな凪と凪が創りだした壁――結界を飛び越えると、真備は新しい式紙を放つのだった。





「もう…いやだあぁああああああああああああああああああああああ!!!!」




完全に発狂してしまっている刹那は叫びながら雪化粧を二枚、三枚と舞うように重ねていく。その姿はまさしく天女のような美しさであった。




――ガキンッ!!




まるで金属と金属がぶつかり合ったような音がする。その後、破虫はただの紙へと戻っていく。


ハラハラと舞い落ちる式紙。それを見ながら刹那は涙目で呟くのだった。




「うぅ…もういやだ…」






凪side



「…なんて硬さなの?」




あたしはさっきから目の前で起こっている光景に驚かされてばかりだった。


懐虫はもともとナイフが変化した式紙だ。普通なら布はもちろん、鋼鉄すらズタズタに切り裂くことが可能なほどの破壊力を持つ。


だけどそれをあの子は雪化粧――羽衣でふさぎきっていたのだ。驚くなと言われるほうが難しい。


あたしは背中に冷や汗が流れるのを感じる。やっぱりあたしたちは今危ない所に立っているのだ。




「…姉貴」


「わかってるわ…あたしが隙を作る」




鋭い真備の言葉。あたしはその言葉に応えるように頷くと式紙を取り出して一気に駆け出した。




「“虚空”!!」




あたしの言葉と共にあたしの目の前に壁に似た結界――虚空が現れる。そしてあたしはそのまま刹那に向かって突撃していった。




「…っ!!なめるなあぁあああああああああああ!!!!」




対して刹那は雪化粧を構える。そうね…そうこなくっちゃ!!


さぁ刹那!!今からはあたしとあんたとの我慢比べよ!!




「行くわよ刹那あぁああああああああああ!!!!」


「調子に乗るな!!!!鮮血を散らせえぇええええ!!!!」




――ガシアァアアアアアアアアアアャン!!!!!!




激しい衝撃と一緒にあたしたちはぶつかり合った。




「はあぁああああああああああああああああ!!!!!!」


「うりゃあぁああああああああああああああ!!!!!!」




あたしは力いっぱい踏み込む。華奢とは言え、悔しいけどあたしより肉付きがいい体の刹那。


あたし自身、大の男も蹴り飛ばせる自信はある。現に今日の不良どもは全員ぶっ飛ばせていた。だけどあたしは脚に思いっ切り力を込める。じゃないと負けてしまいそうだった。



――でも…まだあたしは負けられない。まだ負けるわけには…いかないんだからあぁああああ!!




「くそっ!!いい加減に……諦らめ…やがれ…!!往生際…悪いぞ…!?」


「はん…!!あんたこそ…さっさと…降参…しなさい…!!痛い目見るわよ…!!」




お互いに苦しそうにそう言い合うあたしと刹那。透明な結界に何度も何度も薄い羽衣を打ちつける刹那。相手の表情ははっきりと見えた。


そっか…向こうも苦しいのね…だったら行けるわ――あたしは刹那の顔を見ながらも周りの気配にも気を配る。そう…真備と立てた作戦の進行具合を確かめるために…。


もう少しね――




「いやよ…あたしはあんたに絶対勝つんだから…!!」




真備の動きを確認。よしあと…5秒。




「ふざけんな!!俺が勝つに決まってんだろ!!」




そう言ってられるのもあと少しよ?あと…4秒




「あたしは――いや。あたしたちは勝つわ」




大丈夫。あたしたちならできる。あと…3秒




「何で!!何でだ!!その自信はどこから来るんだ!?」




さすがに焦ってきたわね刹那?あと…2秒




「自信?そんなもんないわよ。あたし達にあるのは確信。それだけよ…だってね刹那――」




そう…あと1秒だけ持てばあたしの勝ち。だってあたしは2人で1人。最高の双子陰陽師なんだから。だから…あたしたちの勝ちまであと1秒――




「この押し合いはね…もう終わるからよ」




――ガバッ!!!!!!




ニヤリと笑みを浮かべたあたしは“虚空”の結界を消すと同時に横飛びをして刹那との押し合いから離脱した。




「う…うわっ…!?」




すると刹那は見事にあたしのいたほうに倒れ込む。まさかここまで作戦通りになるなんてね。自分でも高笑いしてしまいそうだわ。




「いって…何すんだ!!」



でもあたしは哮るその思いを押さえ込んで、冷静に告げる。


この勝負の決着を――




「刹那。凪払わせてもらうわ…あなたの意識をね」




あたしがそう呟いたとき近くの木のてっぺんから何かが飛び出す。


それは鳥ではない。鳥なんかより何倍も大きくて、鳥みたいに蒼空なんか飛べやしない。だけど鳥みたいに可憐な美しさはないけど――勇ましい力強さがあるその姿。


そしてその何者かの右手には“壊虫”とはまた別の術式が書かれた式紙。それが握られていた――




「いっけえぇえええええええ!!!!真備!!!!」


「羽前流式紙術!!!!」




あたしの声に応えるように真備はその式紙を投げた。これが真備とあたしの持つ式紙の中でも最も攻撃力がある式紙。


だけどその性質上高いところからしか攻撃できない式紙の切り札とも呼べる式紙。


その名は――





「―――【鉄槌】―――」

―――“てっつい”―――




――ドカアァアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!




そして真備が繰り出した紙は巨大な拳となる。その一撃は地をも叩き割り、その一撃は森をも引き裂く轟音を轟かす。


そんな一撃が刹那のほうに落ちていった。





真備side


俺たちの作戦はこうだった。刹那の羽衣――雪化粧を打ち破るにはそれなりの攻撃力がいる。


だから俺の攻撃の中でかなり高い攻撃力を持つ鉄槌を出すことにした。


だけど鉄槌は上空から落とさなければいけない式紙。そのため俺はなるべく上になるべく高いところに移動しなければいけなかったのだ。


姉貴の役目はその間の時間稼ぎと刹那の目を俺から放さすこと。そして作戦は成功した。




「…真備。終わったの?」


「…たぶんな」




心配そうな姉貴の声。俺はその声にそう答えたがはっきり言って刹那を倒した確証はなかった。


なぜなら鋼鉄を引き裂く懐虫を防いだやつだ。それに鉄槌を実際に使うなんて初めて。どうなってるかなんてわからない。


俺は怖かった。仕留めたとしても、仕留められなかったとしても――あの拳の先に待ち受けるものが――




「そろそろ下ろすか。警戒しろ姉貴」


「…そうね。分かったわ」




俺は警戒しつつも鉄槌を解除しよう近づく。緊張の一瞬。だがその緊張は崩れ去るのだった――




――ピシッ!!ピシッ!!




「…う…うそ!?」


「…っ!!姉貴!!下がれ!!」




叫んだ。俺はただひたすら叫んだ。鉄槌にひびが入ったその瞬間に驚きを隠せなかった俺は叫ぶことしかできなかった。




――ドガシャ――ン!!!!!!




そして鉄槌は崩れ去る。拳の形を維持できなくなった鉄槌はもとの紙へと戻る。バラバラに散りゆく紙。その中央にて羽衣を構える美少女がいた。




「………」




刹那の目はすわっていた。その可憐な体にはかすり傷がちらほら見えるが俺の肩ほどの深いものはない。


俺は恐怖した。刹那のその乱れた姿に――




「お前ら…」




刹那の声は最初のフレンドリーさはなかった。いや。もうあれは声なんてものじゃない…あの声はにあるのは――




「許さない…鮮血を散らして…死ね」




“殺意”だけだった。




「【静寂の雪 風花】!!」―――“かざはな”―――




――シュルシュル…!!




刹那はその言葉を唱えると羽衣を――雪化粧を体に巻きつける。真っ白な雪化粧に俺の血がついた刹那の服に覆い被さる。


すると――




「…っ!?消えただと!?」




俺の目の前にいた刹那は跡形もなく消え去り見えなくなったのだ。


俺と姉貴は慌てて辺り一面を見渡す。だが刹那の姿はなかった。消えたのだ本当に。


姿だけじゃない。走るときの音。刹那にある気配。それにさっきまでビンビンと伝わってきていた殺気。それすらも感じなくなった。


そこにあったのはただ静かな“静寂した空間”それだけだった。



「…逃げたのか?」




あまりにも何も感じない。本当に最初から何もなかったかのようなその空間。だが俺がそう呟いたそのときだった。




「きゃあぁああああああああああああああ!!!!!!」




姉貴の叫び声が俺の耳をつんざいたのは。




「あ…姉貴!?」




俺は急いで姉貴がいる後ろを振り向く。そしてそこにいたのは――




「1人…鮮血の血。いただきました…」




目がいってしまってペロペロと指について血を妖美な表情で舐める刹那と…。




「姉貴…ナギねぇ…!?」




左肩から血を流して膝を付くナギねぇだった。






凪side



「くっ…!!」




油断した。気配がなくなったあたしは油断していた。だけどそこに刹那が現れた。


ただ一度の気配もなく。ただ一度の影もなかった。それでも彼女は突然現れたのだ。あたしのすぐ目の前に――




「ナギねえ!!」




真備があたしの名前を叫びながら刹那に殴りかかる。でも少しだけ遅かった。




「…【風花】」




刹那は再び雪化粧を身にまとう。すると彼女はまたしてもその姿を消し去るのだった。




――ブンッ!!!!!!




「くっ!!」




真備の拳が空を切る。本気の攻撃だったのか真備が空を切る音はとてつもなく激しかった。


そして真備は攻撃を外した勢いそのままであたしのほうに近づいてくる。




「ナギねえ!!」




あたしに寄ってきた真備は大声であたしを呼ぶ。だけどそんな隙はない。


あたしはその声に少し微笑むと真備に活を入れた。




「真備!!あたしは心配いらないから、早く警戒しなさい!!早く!!」




叫ぶあたし。だがそこであたしは体が凍りつく。なぜならあたしの警告は無駄になったからだ――




――ヒュウゥウウウ…




風がふく。森の木々が一斉にざわめき始めた。それと同時に真備の首もとに一枚の布がかかる。


そう…それは雪化粧。そしてその布の端をを持つのはもちろん――




「もう一人…」




真備の背後に現れた刹那。彼女は完全に無機質な――無表情な顔で真備の首にかかった雪化粧を握る。



――だ…だめ…



あたしは知っていたあの動作。刹那がそのまま真備の首にかかった布を引けば真備の首から血が吹き出すことを…。



――い…いやぁ…



そして刹那の持つ手に力が入るのが見える。あたしは…もう我慢できなかった。




「やめて…お願い…やめてえぇええええええ!!!!!!」




あたしは必死になって叫んだ。叫んでも無駄だと思った。だけど叫ばずにはいられなかった。


絶望の中。あたしの叫びは無情にも響いていく――










だけどあたしの声は…………届いたのだった。










――パチンッ!!ザンッ!!




指を鳴らす音。それと何かが空気を斬る音が森中に響き渡った…。




――ガンッ!!




そして何か光るものが雪化粧を木に打ちつける。


それはあたし達の救世主となる希望の光なのか?それともさらなる試練を知らせる絶望の光なのか?まったく分からなかった。




「…何をやってるんですか…刹那!!」




そのかすれかすれの声にあたしは振り返る。灯りがない森の中。その姿を見つけるのは難しそうに思えた。


だけど…あたしはすぐにその姿を見つけられた。なぜならその声の持ち主は――




「…っ!?なんでお前がここにいるんだ…レリエル!!」




その声の持ち主は――光り輝く“弓”を持っていたからだ。




           `


作「さて今回はちょっとした小話をお送りしたいと思います。題して――


第1回【時に至る軌跡】


この作品は俺。作者の提供でお送りしまーす!!」


日「わーわー!!イエーイ!!パフパフ!!――ってなんで俺1人なんだよ!?」


作「いや待て日向!!今回はぶっちゃけると日向メインだから日向しか呼べなかったんだよ!?」


日「は?なんで?」


作「はい。実は今回は第1回ということでこの作品に至るまでの経緯をお送りするからでーす!!」


日「…で。それが何で俺しか呼べない理由なの?」


作「まぁ理由はいろいろありますけど。一番の理由はこの作品全てにおいて最初に考えたのが主人公の"不知火日向"だからです」


日「…なるほど。つまり今回話すのは時の秒針を考えるまでの経緯。そしてそれ=俺という人物像ができるまでの経緯ということか」


作「はい。ということでさっそく行きたいと思いま〜す。


――最初にこの作品。というより日向の設定を考えたのは自分が部活中にランニングしてるときでした」


日「なんでそんなときに考えてんだよ!?」


作「で。中学剣道部だった俺はとりあえず刀使いの中学生ということを妄想しました。これが日向の始まりです」


日「相変わらず。こういうのは安易だよな…」


作「まぁその辺は気になさらず。でも最初は日向もいろいろ違ったんだ。


例えば名前。最初の日向の名前は【飛渡日向】ちなみに"ヒュウガ"と呼ぶほうだったんだ」


日「へーそうだったのか」


作「でも一番の違いはやっぱり口癖かな?」


日「問題nothingか?」


作「そう。実はこの口癖。このサイトに書き始めてからつけた設定なんです」


日「ななななんだってー!?じゃあその前の俺は――」


作「キャラとしてはっきり言って薄かったな」


日「Σ( ̄□ ̄)!?」


作「じゃあ日向が言葉を思わず絵文字にしてしまうほどショックを受けたところで次回予告いきます。時の秒針。次回は――


レリエルの登場により真備と凪。それに刹那の間に嵐が吹き荒れる。


“風”は舞い上がり禁断の花園へと誘い。


“雷”はただひたすら破壊し続け大地を引き裂く。


次回【風神と雷神】」


日「問題nothingだぜ!!」


日「うーん。次の設定は誰について話すんだ?」


作「はい。次回はメインヒロインの知恵理の設定をお送りしていきます」


知「うん。よろしくね〜」



次回に続く!!

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