青春、爆発する3日間
文化祭前日。
体育館に集合した全クラスと部活がざわついている。
ステージに立った教頭先生が書類を掲げ、こう言った。
「急遽、今年の文化祭では “新企画” を導入する!」
ざわ……!
そして貼り出された紙には――
【全団体に「罰ゲーム要素」導入を義務化】
──協力:罰ゲーム同好会
「ちょっと待てぇぇぇぇ!!」
俺(春人)は叫んだ。
七海が満面の笑みで手を振っている。
「文化祭をもっと楽しくするために、提案したの♡」
「提案で採用されていい内容じゃねえよ!!」
亮(エロ友達)は大喜び。
「いやぁ〜偉大だよ七海ちゃん! 今年の文化祭、エロい罠仕掛け放題じゃん!」
「お前は本気で黙れ」
一方、春乃(ツンデレ妹)は腕を組んで言う。
「兄貴。どうせバカな罠仕掛けて女の子とどうこうするんでしょ。
監視するから」
「どうして俺だけ被害者扱いなんだよ!?」
七海はくるくる回りながら宣言した。
「今年の文化祭テーマはね――
“青春は罰ゲームの連続” だよ!」
体育館中がざわついた。
俺たちのクラスの出し物は
七海の「ちょっとしたデスゲームがやりたい!」という悪魔の案によって、
【恋愛迷路】
・最後の部屋で「意中の相手」と出会えたらクリア
・途中に罰ゲームブース多数配置
・ペアはランダム自動選択
という、地獄のテーマパークが誕生した。
迷路の扉が開いた瞬間――
「春人!ペアよろしく〜!」
亮が絡みついてきた。
「なぜだ!!どうしてこの世にランダムなんてものがある!!」
「いや〜春人と二人きりの暗い迷路とか最高にムラムラ――」
「やめろォォォ!!」
そんな地獄の中、別ブースでは…
ブース:『禁断の10秒見つめ合い部屋』
七海 vs 春乃
扉が閉まり、二人きり。
七海は笑顔で言った。
「春乃ちゃんとは一度ここで向き合いたかったの」
「な、なによ…!」
「春人くんの妹としてじゃなく、
“春乃ちゃん自身”とね」
春乃は戸惑うが、七海にじっと見つめられると
顔が真っ赤になって震える。
「な、なんでそんなに優しい顔で見るのよ!!」
七海はそっと言う。
「だって、妹としてじゃなくても…
春乃ちゃんは、私にとって大切だから」
春乃の目に涙が浮かんだ。
「……そんなの言われたら……
嫌いになれないじゃんか……」
二人はゆっくり視線を交わし続ける。
”10秒間” が、永遠みたいにあたたかかった。
ブース:『好きな人を叫べ』
俺+亮ペアがたどり着いた先。
壁には大きな文字:
【ここで「本気で好きな人」叫ばないと前に進めません】
亮がニヤニヤして俺を見た。
「春人〜、叫ぶの? 七海ちゃん好きって。
いやあロマンチック?
それとも俺の名前叫ぶ?」
「叫ぶわけないだろバカ!!」
そして俺は深呼吸し、
迷路中に響くように叫んだ。
「――七海が好きだ!!
誰よりも!!
世界で一番!!」
亮が涙ぐんだ。
「お前……本気の叫び、かっこよすぎる……!」
「なんでお前が感動してんだよ!!」
扉がガラッと開く。
七海がそこに立っていた。
頬を染めて。
「……聞こえちゃったよ?」
俺の心臓は、迷路より危険だった。
文化祭のラストイベントは
生徒全員参加の大ステージ。
七海が司会としてマイクを握る。
「みんな〜文化祭楽しんでくれた?
最後は、罰ゲーム同好会からのサプライズです!」
天井から吊り下がる巨大スクリーンに映し出されたのは…
全生徒の“今日の罰ゲームの記録写真”
悲鳴があがる!!
俺も全力で頭を抱えた!!
「な、なんであの黒歴史レベルの写真まで!!」
「だって青春でしょ?」
七海が無邪気に笑う。
そして七海はステージ中央に立ち、真剣な顔で言った。
「罰ゲームってね。
“恥ずかしいこと”じゃなくて――
勇気を出す理由をくれるものなんだよ」
会場が静まる。
「誰かが誰かを好きって気持ち。
守りたい気持ち。
近づきたい気持ち。
全部、罰ゲームみたいに怖いのに……
みんな、踏み出してくれてありがとう」
七海は俺を見た。
俺も七海を見返した。
その瞬間、
ステージ脇から春乃が出てくる。
隣には亮。
春乃は深呼吸し、マイクを握る。
「兄貴。
……兄貴が七海さんと一緒にいるの、最初は嫌だった。
怖かった。
置いていかれると思った」
場内が静まり返る。
春乃は涙をこらえ、続けた。
「でも今は……
兄貴が笑ってるなら、誰といてもいい。
……私も、一緒に笑えるから」
俺は胸が熱くなる。
亮が後ろからそっと春乃の頭を撫でる。
「いい子だね、春乃ちゃん。
……春人、妹泣かせんなよ?」
俺はうなずいた。
そして七海が、涙の笑顔で言った。
「春人くん。
あなたの周りにはね、
“好き”って言ってくれる人がこんなにいるの」
一歩、俺に近づく。
「だから今度は――
あなたの口で聞きたいな」
俺は七海の手をそっと握り、
「七海。
俺は……
お前が大好きだ。
ずっと一緒にいたい」
会場が割れんばかりの歓声に包まれた。
春乃も泣き笑いし、
亮は男泣きしながら叫ぶ。
「青春って最高だなぁぁぁ!!」
七海は俺の胸に顔を埋めて、小さくつぶやいた。
「ねえ春人。
罰ゲームって、ほんとはね……
“好き”を伝えるための魔法なんだよ」
文化祭の照明が二人を包み、
俺たちの物語は新しいページへと進んでいく。




