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初恋の人をNTRされた僕はマッチングアプリで出会ったグラマーなのっぺらぼうとつきあうことになりました。  作者: 白鷺雨月


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第三十四話 麻里子の誕生日

 十一月十一日は麻里子さんの誕生日だ。

 この日、誕生日プレゼントともとれる良い報せが僕たちのもとに届いた。

 この日は麻里子さんの誕生日ということで、僕は有休休暇とり、彼女の家にいた。

 丸一日、麻里子さんと誕生日は一緒にいるつもりでいた。


 その報せがあったのは午前十時すぎのことだ。

「はい、わかりました。よろしくお願いします」

 そう言い終わったあと、麻里子さんはスマートフォンをリビングのテーブルに置く。

 ふーと巨乳を揺らし、大きく息をはく。

 キッチンでコーヒーを淹れていた僕はそれを持ち、リビングに行く。

 コーヒーを麻里子さんの前に置く僕に彼女はにこやかに笑みを向ける。いつ見ても垂れ目が可愛らしい笑みだ。

 どうやら良いニュースがあるようだ。

「どうしたの?」

だいたい予想はつくけど、僕は訊いてみた。多分、時期的に新作の企画会議の結果だろうと思う。

「夏彦さん、決まりましたよ。新年一月発売のアートシティでの連載がきまりました」

 満面の笑みで麻里子さんは僕に報告した。

「よかったじゃない」

 僕は椅子に腰かける麻里子さんにハグをした。亜麻色の髪からは柑橘系の良い匂いがする。麻里子さんの匂いを嗅ぐと心が落ち着くな。猫を飼っている人が猫吸いをするように僕は麻里子吸いをするのだ。

 そのあと、麻里子さんがチューしてとおねだりするので、僕たちは大人のキスを五分ほど楽しんだ。


「今月中には第一話を仕上げなければいけませんけどね」

 麻里子さんは美巨乳の前で腕を組んだ。ボインが腕に乗っているね。

「あと二十日もないのか」

 僕は壁のカレンダーをちらりと見る。

 一応企画会議に出すにあたり、ネームは作られているとはいえ時間が少ないのは違いない。

「大丈夫?」

 僕は麻里子さんの隣に座り、コーヒーを一口飲む。ミルク多めの甘いコーヒーだ。

 麻里子さんは砂糖をいれただけのコーヒーだ。

「た、たぶん……」

 麻里子さんは自分の巨乳に顔をうずめた。

 うーん、これは困ったときの麻里子さんだな。


「まあまあ、まずは連載決定おめでとう」

「じゃあ頭撫で撫でして」

 僕は麻里子さんの頭をなでた。こうすると彼女は落ち着くらしい。女子の頭をなでるなんてイケメンでもない僕がやっていいことではないけど、麻里子さんがそう望むならなでなでしよう。

「はー夏彦さん成分がたまっていきます」

 麻里子さんはふんにゃりと顔を緩めている。そういえば彼女って僕と一緒にいるときは表情豊かになるんだよな。

 前にそれを佐渡綾乃先生に相談したら、僕にかなり気を許しているからだという。顔喪失症からの完全回復も近いということだ。


「落ち着いたら、お昼たべにいこうか?」

 僕は麻里子さんと一緒にお昼を食べにでかけた。

 最近できた近鉄奈良駅近くの和食屋さんだ。ここの魚料理は絶品なんだよな。とくにアジフライが僕のお気に入りだ。

 平日のお昼前だというのにお店はけっこう混んでいた。

 僕は定番になりつつあるアジフライ定食を麻里子さんは日替わりのお刺身定食をたのんだ。

 僕は料理が届く前にトートバックから小さな紙袋をとりだして、麻里子さんに手渡した。

「麻里子さん、誕生日おめでとう」

 僕は彼女の可愛い垂れ目を見る。

「開けていいですか?」

 うれしそうな微笑みを麻里子さんは僕にむける。

 僕はうなずく。

 麻里子さんは紙袋から小さな青い箱をとりだす。

 そこには指輪が入っている。

 僕が難波の5℃C(ごどしー)で買ってきたシルバーのリングだ。中央でねじれていてメビウスの輪のようなデザインになっている。

 麻里子さんは指にはめたリングを天井のライトにあてて、見つめている。

「とても可愛いわ。大事にしますね」

  麻里子さんはリングをずっとみつめている。よほど気にいったと見える。

 そうこうしているうちに料理がきたので、僕たちはそれをいただくことにした。


 明日からはまた麻里子さんは漫画制作に集中することになる。きっとあの修羅場よりもさらにひどい日々になるだろう。僕も全力で彼女を支えようと思う。

 麻里子さんはほっといたら文字通り寝食を忘れてしまう。こちらサイドがある程度コントロールしてあげないとね。でないと体を壊したら、元も子もない。

 でも誕生日ぐらいは好きに過ごそう。



 夜になると麻里子さんの自宅に竹河不由美と猫矢夢乃さん、それと阿良又浩司もやってきた。それそれ食材をもちあっての焼肉パーティだ。

 僕が食材をお皿にならべていると竹河不由美が手伝うわと言ってきた。

 この日の竹河不由美はデニムのジャケットにスカートといったスタイルだ。ワイルドな感じになりがちな服装だけど竹河不由美だとなんだかスタイリッシュだ。

 僕は野菜を切ってならべた大皿を彼女に手渡す。

「連載きまってよかったわね」

 竹河不由美は「ペルソナ・プリンセスナイト」の原作者だ。きっと感慨深いものがあるだろう。連載にあたり竹河不由美の名前も原作者として載せられる。

「ありがとう。あんたのおかげで仕事の幅がひろがりそうだわ」

 竹河不由美は切れ長の目を細める。本人は糸目だといって嫌がっていたが、美人の笑顔だと僕は思う。

「もともと竹河が才能あったからだよ」

 僕は竹河不由美に言った。

「うんうん、私はただ物語を作るのが好きなだけ。あんたが引き合わせてくれなかったらコミックの原作なんてやれなかったわ。だからありがとう」

「そう、じゃあありがたくお礼は受け取っておくよ。それと最初の締め切りは今月いっぱいなんだ」

 竹河不由美は天井を見る。どうやらスケジュールを計算しているようだ。

「それって大丈夫なの」

 きれいな竹河不由美の顔に不安の色がかげる。

「麻里子さんは大丈夫っていってる」

「完熟メロンの大丈夫ってあてにならないわ」

 たしかに竹河不由美の言う通りだ。

 ネーム制作も大丈夫っていってたけどあの修羅場であった。睡眠時間三時間が三日間ほど続いた。

「なにか手を考えなくてはいけないわね」

 竹河不由美の言う通り、なにか手を考えないといけないな。

 とりあえずこの日は皆でパーティを楽しもう。

 僕たちはリビングに行き、食材をのせた大皿を並べた。

 パーティはもりあがったけど、心には一抹の不安が残り火のように心にくすぶった。

 



 

 

 

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