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命乞いから始まる魔族配下生活

【100p突破記念ss】デュークに看病される

作者: 望月 かれん

約1200字の短いお話です。

魔王城にいた頃の小ネタ。デュークさんとモトユウの日常を少しだけ。

本編の補完程度で、重要なネタバレ等はありません。お気軽にどうぞ。


 「熱い……」


 目を覚ましてすぐに口に出た。頭はズキズキと痛むし、熱のせいで視界が霞んでいる。どうやら風邪をひいたみたいだ。


 「やっぱ、疲れが溜まってんのかな」


 魔王城に来てから何かと動きっぱなしだった。ちゃんとした休息はしていなかったので、ツケがきたのだろう。 


 (何もできねぇ。大人しく寝るか……)


 大きく息を吐いた時だった。

バタバタと騒がしい音がして、何も知るはずもないデュークさんがいつものように転がり込んでくる。


 「ヤッホ~!モトユウちゃ〜ん!」


 (来るよな……。感染るかどうかわからないけど、とりあえず近くに来ないように言っとこう)


 「あんまり、近づかない方が、いいです……」


 途切れ途切れに答えた俺を見て珍しくデュークさんが目を丸くした。


 「どしたの?」


 「カゼ、ひいたみたいで……」


 すると一気に距離を詰めて額に手のひらを押し付けてくる。しかしすぐに離して、何回か小刻みに振った。


 「あっつ⁉なるほどー、だから顔赤いのかー」


 (逆に何だと思ってたんだ⁉)


 心の中でツッコミながら不安に駆られる。高熱なのだろうか。

熱で寝込むのも久しぶりなので自分では把握できない。


 「そんなに、熱いんですか?」


 「おう。ヤケドするほどではないけどな〜。

  じゃあ今日モトユウちゃん、何もできないんじゃないー?」


 「そう、ですね」


 (しまった!言わなきゃよかった!絶対何かされる!)


 言ってから後悔する。おそるおそるデュークさんを見ると、相変わらずニヤニヤしながら俺を眺めていた。


 「な~に〜モトユウちゃん、心配事?」


 「い、いえ……。デュークさんは、誰かの看病とかしたことあります?」


 「ない。だって俺等カゼひかないし。

  こういうときってどーしたらいいのー?」


 「額を冷やしたいので、水に濡らした布とか持ってきてもら――」


 「リョ〜カ〜イ!!」


 言い終わらないうちにデュークさんは部屋を飛び出していった。

 

  (早っ!?ちゃんと理解してくれたよな⁉)


 不安で鼓動が早くなってくる。ただでさえカゼの症状があるのにバクバクと音が響いて気分が悪い。

 少しして最初と同じように廊下を慌ただしく駆けながらデュークさんが戻ってきた。直後、顔面に水が滴っている布を当てられる。

 

 「うぇっ⁉」


 (冷たい!……けど、これぐらいがちょうどいいか……)

 

 「ホイ、モトユウちゃん。こんなんでいいの〜?」


 「はい……ありがとうございます」


 布の位置を額にずらしながら答えるとデュークさんは満足そうに笑った。


 「で、他は?」


 「他……」


 (食料って言いたいところだけど、肉を大量に持って来られても困るしな。

食欲もないし)


 「とりあえずは、大丈夫です」


 「そ〜お〜?」


 どこか不満そうに言うとデュークさんはベッドの端に腰かけた。そして俺に顔を向ける。


 「じゃあ今日はずっとここに居よ〜っと」


 「デュークさん、忙しいんじゃ……」


 「俺のことはいいから、休め休め」


 笑顔で言われると言い返す気もなくなる。それになんとなく1人では心細いので、居てくれるのはありがたい。


 (やっぱり世話好きだよな、デュークさん)


 数分も立たずに俺は深い眠りにおちていった。

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