表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/11

第4話 交通事故ドラゴン

スパロボのオリジナル第一話っぽく書いてみました。

 アクセルの横に出てきた新たなペダルを左足で()()むと大和のトラック――今は人型に変型した『ノア』の足裏(あしうら)と、先ほどまでコンテナだった背中に背負(せお)ったバックパックから青色の火(?)が()き出す。


 ノアは大和とアレク、サツキを乗せたまま高度を上げ、竜騎兵(りゅうきへい)たちと同じ視線(しせん)の高さになった。


「ノア、今さらだけど質問だ……これどうやってるの? 俺、さっきのビームや電磁(でんじ)兵器(へいき)と同じく、バーニアなんて()んだ覚えないんだけど……?」


 ――エンジンを私の能力で構造(こうぞう)から変型させました。

 ――炎のように見えるのは火ではなく魔力です。

 ――(おも)に風の精霊(せいれい)に力を()してもらっています。


「なるほど……よくわからんがそういうものだということは理解した。あとこの変型だけど元に戻れる? この形態(けいたい)、戦う分にはいいけど生活するにはメチャクチャ不便(ふべん)だからそこが心配なんだが……」


 ――大丈夫です。あなたのパーソナルスペース(およ)びコンテナの中身は時間と空間の精霊に(たの)んで一時的に別次元へ避難(ひなん)させています。戦闘終了後、元に戻りますのでご安心を。


「よかった……まさか運転席で三人も寝泊(ねとま)りするわけにもいかないから本当に良かった……」


「大和! しゃべっていないで前に集中しろ!」

「魔力の収束(しゅうそく)を感じます! 攻撃が来ます!」

「安心しろよ、お二人さん。運転中のドライバーってのは安全第一なんだ。言われなくても(つね)に集中している!」


 ――火炎球(ファイアーボール)


 正面の竜騎兵たちが魔法を(はな)った。

 一瞬の時間差で背後(はいご)(ひか)えていた竜騎兵が上方へ移動すると、(なな)め下に向けてブレス攻撃を()り出す。


 前方と上方からの炎による同時攻撃。

 大和はアクセルとホバーペダルを同時に踏み込み、一瞬(いっしゅん)で彼らの背後を取った。

 攻撃、不発。


 ――な……!? い、いつの間にわれらの背後へ!?

 ――何という速度だ!


 竜騎兵たちの中で動揺(どうよう)が広がっている。

 この(すき)(のが)さず大和は一撃入れることに決めた。


「ノア、現在使える兵器を教えてくれ」


 ――了解しました。現在実行可能な兵器は……ありません。先ほどの防御(ぼうぎょ)反撃(はんげき)にかなりのエネルギーを使用してしまいました。リチャージまであと数分かかります。


「OK、わかった。なら直接(ちょくせつ)ぶん(なぐ)るのは?」


 ――問題ありません。


「了解!」


 取るべき手段が決定した。


「アレク! サツキ! 舌を()むなよ!?」


 大和がペダルを踏み込んだ。

 竜騎兵団の最後列に一瞬でベタ()きすると、ノアの(うで)を思いっきり()()かせた。

 魔力を()びた鉄塊(てっかい)に顔と腹を殴られ、ワイバーンが絶命して墜落(ついらく)する。


 ――くそぉっ! よくも仲間を!

 ――これでも食らえ!


「当たるかよそんなもん!」


 大和が大きくハンドルを切る。

 ノアが大きく左に飛んで、余裕(よゆう)を持って攻撃をかわす。


 ――おのれ! 魔力弓(マジックアロー)だ! 嵐のように浴びせるのだ!

 ――魔力弓! 魔力弓! 魔力弓! 魔力弓!


「遅い!」


 バックギアに入れてアクセルを踏む。

 一瞬でノアは大きく後退(こうたい)し、魔力弓の射程外(しゃていがい)脱出(だっしゅつ)した。


「実際の矢ならこうはいかなかっただろうけどな。魔法は個人の資質(ししつ)に左右される……威力(いりょく)や速度も個人で(ちが)うから()けるのなんて簡単だぜ。なあ二人とも?」


「う……………あー」

「話し、かけないで……くだ、さい……は、()きそう……」


 大和が後ろを見ると、アレクとサツキはぐったりしていた。

 急速(きゅうそく)な横G&縦Gのせいで三半規管(さんはんきかん)をやられてしまったらしい。

 乗り物()いする異世界人の図。


「ノア、 そろそろ二人がやばそうだ。早く終わらせないと後部シートがえらいことになる」


 ――私としても吐瀉物(としゃぶつ)(よご)されるのはご遠慮(えんりょ)したいところです。


「敵兵力の残存(ざんぞん)は?」


 ――残り三十七。


「兵器類のリチャージは?」


 ――現在八十パーセント。使用しますか?


「ああ。ただし使うのは電磁バリアのほうだ。ノア、電磁バリアを展開(てんかい)してくれ」


 ――攻撃をよけられるのに展開する必要はないと考えますが?


「誰が回避(かいひ)に使うと言った? 電磁バリア急速展開! ブースト機能(きのう)もフルスロットルだ!」


 ――ゴオオオオオオオオォォォォォッッッッ!


 大和の声に合わせ、ノアの身体(からだ)は青白く発光。

 足裏と背中のブースターから野獣(やじゅう)雄叫(おたけ)びのような爆音が上がる。


「行くぞ! 目標、目の前の敵全部! 異世界トラックらしく一人残らず()ね飛ばせ!」


 クラッチを踏んでギアを変更(へんこう)

 最高速の六速に入れる。


 青白く発光しているノアが強力な、触れた瞬間黒焦(くろこ)げになる電磁場を(まと)って竜騎兵たちへ特攻。


 ガインッ! ガインッ!――と、行っては戻り行っては戻り、上下左右、三次元上のあらゆる方向から何度も何度も、敵の姿が見える(かぎ)り体当たりを繰り返した。


 三十七騎もいた竜騎兵たちはノアの速度に対応できず、人間もワイバーンも例外なく、全員黒焦げになった後に撥ね飛ばされて粉々になり、空の藻屑(もくず)となって存在をこの世から消した。


「名付けて、超電磁(ヴォルテック)特攻(スタンピード)。トラックらしい派手(はで)な必殺技だろ?」


 ――トラックは人を撥ねるものという認識(にんしき)(あらた)めてください。

 ――トラックへの大きな風評被害(ふうひょうひがい)です。


「悪い悪い、異世界転移なんてさせられちまうとな?」


 敵の残存数はゼロ。

 戦闘終了を確認。

 大和は大きくため息をつくと、シートの背もたれに()りかかった。


 ――大丈夫ですか大和? ずいぶんとまいっているように見えますが?


「ああ、大丈夫。大丈夫だよ……ただ、ちょっとな」


 自分たちは全員無事生き()びた。

 だがしかし、その結果自分は人を殺した。


 そのことは受け入れなければならない。

 受け入れ、割り切る。


「ノア、変型を()いてくれ。今日は早めに休みたい」


 ――了解しました。ごゆっくりお休みください。


 光に(つつ)まれ、ノアは元の2トントラックの姿に戻った。

 大和はシートベルトを(はず)すと、先ほどから静かな後部座席を確認する。


「……休む前に掃除(そうじ)かな? においが充満(じゅうまん)したらえらいことになる」


 ――そうしていただけると助かります。


 気絶(きぜつ)した二人のシートベルトを外す。

 大和は二人を(かつ)ぎ上げ、屋根裏(やねうら)のベッドに寝かせようとした。

 そこで大和はアレクの違和感(いわかん)に気づく。


「ん?」


 ――どうしました大和?


 汚れた服を脱がそうとした時だった。

 大和は自分が大きな勘違(かんちが)いをしていたことを知った。


「ノア、こいつ……女だ!」


 服のボタンを外した瞬間、その下に(かく)れていた大きな胸が自由を求めて飛び出したのだ。

 文字(もじ)通り、ボロンッて。

 こんな大きな胸を押さえつけていたら、そりゃあ苦しいし酔うだろう。


「男女の主従(しゅじゅう)かと思ったら女同士かよ……そこでお家騒動(そうどう)とか……もう、お約束すぎるなあ」


性別を隠した美少女ヒロイン好きなんですよね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ