最終話 俺たちの戦いはこれからだ!
すいません、打ち切りです。
数字と労力に見合わないのでここで〆させていただきます。
好きだった方、申し訳ありません。
「ノア、貴殿のコンテナは最大何人まで収容できる?」
――内装に拘らなければ300人くらいでしょうか。
「サツキ、部隊編成の完了状況は?」
「20%と言ったところです。なにぶん急だったものですから……」
「わかった。ヤマト、出撃準備が完了している部隊を乗せて砦へ向かってくれないか?」
「わかった。お前は?」
「私も一緒に行く。その方が士気も上がるだろう?」
「まあな。でも危険だぞ?」
「承知の上だ。命を狙われている以上どこにいても同じ。ならば、英雄である貴殿の傍にいた方がいくらかマシというものさ」
「何度も言うけど、俺はただのドライバーだぞ。アテにしてもらったら困るっつーの」
「サツキ、編成が終わった部隊から行軍開始させてくれ。ヤマト、ノア、向こうで私たちを下ろしたら、すぐさま引き返して残りの部隊の輸送をお願いしたい」
「わかった。だが輸送だけならノア一人で大丈夫だろう。俺も向こうに残るから、輸送はオートパイロットで頼む」
――了解しました。
「何故だヤマト? 後方支援ならばそれほど危険はないのに」
「…………」
大和はアレクを手招きした。
口に手を当て耳元でささやく。
「……年下の女の子戦場に立たせて、大の男が後方待機なんてできるかよ」
「そ、そうか………………ありがとう」
「気にすんな。でも、あんまアテにはしないように!」
ノアはコンテナの内装を変更すると、先行部隊全員を収容。
運転席に大和、助手席にアレクを乗せてオルトリンデ砦を目指した。
街の中心から砦までの距離――およそ50km。
この世界における数百人規模の部隊が一日に動ける距離は、どんなに急いだところで約10キロ。
通常であれば5日はかかる距離を、ノアはたったの30分足らずで到着した。
砦に到着するなり収容していた部隊員全員を下ろし街へと引き返す。
――大和。
「ん?」
――これを置いて行きます。
「おいおい……これって俺が仕事で乗せてたバイクじゃねーか」
――はい。ナビゲートシステムの一部に私の人格をコピーしています。
――小回りが利きますので使ってください。
「会社の物なのに勝手にこんなことしていいのだろうか……?」
――もう戻れないので問題ありません。
――それに、私はそもそも会社のモノ。
――会社のモノが同じ会社のモノをどうしようと勝手でしょう?
「いや、その理屈はおかしい……けど、ありがとう。何かあったら使わせてもらう」
――無機物の私が言うのもおかしいかもしれませんが……ご武運を。
……
…………
………………
こうして、後の歴史で偽神戦争と呼ばれるようになる戦争の第一幕、オルトリンデ砦の戦いが勃発した。
最終的にこの戦争の勝者となる女帝アレクサンドラとその夫となる英雄ヤマトの初陣である。
この戦争を機に我々の世界の文明が飛躍的に発達したことは言うまでもない。
英雄ヤマトを語る際、機械系&工学系分野が毎回注目されるが、私としては料理&農業分野に着目したい。
品種改良という概念が持ち込まれ、我々の世界の食物のクオリティが向上し、美味しい料理が食べられるようになったのは彼のおかげである。
彼と、彼の妻の側近にして我が妹、サツキ=グラバーの尽力に敬意を表し、本記録を閉めさせていただきたい。
著:ムサシ=グラバー『機神技術のもたらしたもの』
古典的なガッチガチテンプレ要素を使ってテンプレじゃないかつ、流行を一切無視した話をやってみるという経験自体は積めたので個人的にはプラスです。
ネット小説はネット小説で楽しいですね。