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第87話 中世の終末、近世の夜明け

『深酒は、経験されるべき現実である』

―思想家キムチゴール―




朝、メメシアは寝ていたはずなのに、ゲッソリしていた。

ずっと悩んでいたようで、妙な悪夢にうなされていたそうなのだわさ。

メメシアが言うには、フィーリプ殿下はある意味、魔王になりかねない人物であるとの事だわさ・・・

それなのに、怒涛の論破ラッシュしちゃったのねぇ~・・・

今の所、魔王と対立をしっかりと表明し、魔王討伐軍の要請を神聖帝国へ行ってはいるものの、宗教改革の政治利用を模索している傾向が見えるとの事で、現魔王の考える事に似ているかもしれないそうなのだわさ。

なお、神聖帝国は南方で続く戦争や、対トケツスタンを意識して、魔王軍討伐には全然動かないのが現状という、魔王を軽く見過ぎている状況なのだわさ・・・

現在の皇帝は、相続の関係で太陽の沈まぬ国をも統治する事になってしまって、1人の皇帝がまかなう規模を遥かに超えてるんだとも言えるのだわさ。


でも、あたし達がやるべき1番の目的は果たせたのだわさ。


「ドラゴン城伯領、そこには手付かずの自然が残っていると聞いた事があるのう。さぞかし、狩りも出来る事であろう」


「方伯さんよ。ウサギから鹿、イノシシまで狩りしたかったらうち来なよ。オレがいい狩場まで案内してやるぜ」


ドラゴン城伯の息子達とフィーリプ殿下は妙に仲良くなったのだわさ。

いい外交が結べてよかったのよねぇ~。


でも、メメシアが危惧している事が事だけに、単純によかったって言っていいのかは・・・まあ、後世の人が勝手に考える事なのだわさ。


なお、マカフシくんはニコニコ笑顔なんだわさ。

上手く商談がまとまった上に、今後も上手く取引を続けれる関係を築けたからだろうねぇ~・・・


「そうそう、マカフシくんさ~。銃で脇に車輪が付いてて、火の粉が出るやつってなんなのだわさ?」


「おや、そんな銃を知ってるなんて、マジョリンってオタク?」


「いや、違うのさ。前にそういうのを見た事があって、気になっただけなんだわさ」


「それはホイールロック式って呼ばれている銃だね。火縄じゃない分、撃ちやすいんだけど、メンテも大変だし、1丁の金額が凄く高いんだよ。ちなみに、ホイールロック式を発明したのって、神聖帝国の技術者だって噂だよ?」


「あ、うちの国で発明されたのを、他所の国の人に聞いているって状況なのねぇ~・・・」


「そういう事だよ。まあ、とある天才画家が発明したって噂もあったけどね」


「画家が銃を?そんな馬鹿なぁ~」


「いやぁ・・・やつはやばい天才だったんだよ・・・」


まあ、それは置いておいてだわさ。

フィーリプ殿下が、ドラゴン城伯宛と、ダイムラー辺境宛の手紙をハレルに手渡したのだわさ。


「勇者よ。余の言葉を彼等に届けて欲しいのじゃ。頼んだぞ」


「はい。任せてください」


「それと、メメシア殿。そちとはまた、話しがしたいぞ。次は・・・そうじゃな。95の論題の著者が書いた自由に関してじっくり話し合おうのう」


「・・・は、はい」


メメシアの顔色が悪いから、その自由ってのも、何か教会側に都合が悪い話しなんだろうって事はわかったのだわさ。


あたし達はフィーリプ殿下の邸宅前で、殿下とお別れし、街の入り口でマカフシくんとお別れしたのだわさ。

長い長い橋を渡って、森の中に隠したカゴに乗って、あたし達はドラゴンに変化したオトゥールくんとレギンくんに運ばれて、ドラゴン城伯領へ戻ったのだわさ。

帰りの空は、行きよりも綺麗に見えたんだわさ。

何かやり遂げた充実感・・・

・・・ん?

・・・・あたし、何かやったかねぇ?

・・・・・・まあ、いいかねぇ~。



☆☆



あたし達はドラゴン城伯の城に到着。

ドラゴン城伯にフランコノファードで、フリーデスラ方伯こと、フィーリプ殿下と会い、交渉して来た事を話したのだわさ。

そして、託された手紙を城伯に渡したのだわさ。

ドラゴン城伯は手紙を読むと、あまりいい顔をしなかったのだわさ・・・


「重要な手紙、届けてくれてあいがとう。正直、この内容はまだ、公には出せぬ事だ。とても重要な手紙であった・・・」


そんなに言われると、かえって気になってしまうんだわさ・・・


城伯はお礼にと、あたし達に金塊を渡そうとしてくれたのだけど、メメシアが丁重に断っちゃったんだわさ・・・

ただ、代わりに、資金に困った時、すぐに援助をしてくれるって約束をしてくれたのだわさ。

また、飛び地である領地の森をもらったんだわさ。

こうして、ハレルは領地持ちの勇者になったんだわさ。

まあ、本当に森なんだけどねぇ・・・


「お体に気を付けて、旅の無事を祈っています」


「魔女さん。また遊ぼうぜ!」


オトゥールくんとレギンくんともここでお別れし、あたし達は城のある山を下ったのだわさ。

山のふもとでは、ドワーフ達、苔の民達、そしてドワーフとエルフの愛の子ラブの子のドワエルーフの司祭のウィットリが歓迎してくれたのだわさ。

あたし達は、この人達の生活を守る事ができたって事なのよ。


「・・・何か、忘れている気がするのだわさ」


なんだろう・・・

何かが途中からいなくなってる気がするんだわさ・・・・


「あ!猫がいないんだわさ!!」


いつからいなくなったのか、どこではぐれたのか・・・

まったく見当がつかないのだわさ!


「まあ、猫ですし、なんとかなりますでしょう」


「そうだ。猫だから気まぐれなんだろうぜ」


「男爵だし、大丈夫だと思うよ」


みんな・・・


「・・・そうだわさねぇ~」


さよなら猫男爵!

言いそびれたけど、あんた、いい猫だったのよ!




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