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第82話 トブぞ!

『多くの酒で少しを語るより、少しの酒で多くを語れ』

―サモヌの賢人 ピタゴルァヌ―




城伯の息子のオトゥールくんとレギンくんは、人の姿からドラゴンの姿ったのだわさ。


「凄い、こんな大きなドラゴンに変化するなんて」


「これが本来の姿だっつーの」


ドラゴンの背中に乗るって、そのまま背中に乗っかるんだと思っていたんだけど、座席付きの大きなカゴがあって、それに乗って、背負って飛んでもらうってやつだったのよ。

2つカゴがあって、あたしらは2組に別れたのよさ。

あたしとメメシアの載ったカゴはオトゥールくんが背負ってくれて、ハレルとプロテイウスと猫男爵が乗ったカゴはレギンくんが背負ってくれたのよさ。


ドラゴンは大きな翼を羽ばたかせ、空に向かって飛び立ったのだわさ。


「ペガサスより、ずっとはやいのだわさ!!」


かなりの上空を飛んで進むのよ!


「さ、寒いのよ!」


空高い所は気温も低いのかねぇ?


「マジョリン、大丈夫ですか?こういう時は、精神統一をして、外界の感覚を遮断するといいですよ」


「あたしゃあんたみたいな修行僧と違うのだわさ・・・」


「無我の境地にいれば、火もまた涼しいのです」


「いや、今、温まりたいのよさ・・・」


「寒い時はカゴの中の引き出しにひざ掛けが入っていますので、お使い下さい」


「ありがとうオトゥールくん。あんた、気が利くドラゴンだねぇ~」


「そんな、当然の事ですよ」


オトゥールくんはイケメンドラゴンなのだわさ。


なんやかんやでフランコノファードの近くの森の中に着陸したのだわさ。

ドラゴンのまま、街に入ると流石に大騒ぎされるだろうしねぇ~・・・


カゴは森の中に隠して、オトゥールくんとレギンくんは人の姿に戻ったのだわさ。



☆☆



あたし達は長い長い橋を渡って、フランコノファード帝国自由都市に入ったのだわさ。

神聖帝国屈指の大都市だけあって、建物も立派だし、人の数も多いのよ。


「こんな大きな街、今まで見て来た街が小さく思える程に多きのだわさ!」


「そんな事言っていると田舎者に思われるぜ」


「まあ、どうあがいてもあたしゃ田舎者の魔法使いで、あんたは田舎者のドラゴンなんだわ」


「っへ!」


「レギン。これから偉い人に会おうとしているんだ。もっと真面目な態度を取りなさい」


「兄貴は普段からいい子だからなんも感じねぇと思うけど、オレはいい子でいると疲れるんだぜ。だから、いい子であるべき時だけいい子やりゃ~問題ねぇ~んだし、そうさせてもらうぜ」


「まあ、確かにレギンの言う事も一理あるのだわさ。肩はってばかりいると、疲れてしまって、帰って失礼になってしまうのよねぇ~」


「魔女さんわかってる~」


「マジョリン、あなたはもっとシャキッとするべきです」


「ふぇ~」


しかし、街に入ってみたはいいものの・・・


「どうすれば宮中伯に会えるのかねぇ?」


「えっ・・・あっ・・・うぅ・・・」


「ハレル、いきなりコミュ障にならないで欲しいのよさ・・・」


こんな感じであたし達は途方に暮れてたんだけどさ・・・


「マジョリンさん?」


っと、聞き覚えのある声にあたしは~・・・振り返るっ!

そこにはロバを引いた見覚えのある砂漠のショタの姿があったのよさ!


「マカフシくん!?」


「やっぱりマジョリンさんと、仲間の皆様でしたか!お久しぶりですね!」


前にとある村をトロールの襲撃から一緒に守った事のある、トケツスタンの魔法使いであり、火縄銃の名手、マカフシくんだったのだわさ!


「まさかこんな所で会うなんて思わなかったのよさ~」


「ですよね~。実は、前に移住する事になった旧約の民が、この街の一角に引っ越す事になりまして、その引っ越しの手伝いとかしていたんですよ」


「そうだったのねぇ~。お疲れ様だわさ~」


「ちなみに、マジョリンさん達は何しにいらっしゃった所ですか?」


「それがねぇ~・・・」


かくかくしかじか、あたしはマカフシくんに説明したのだわさ。


「宮中伯に会う為に・・・」


「いやぁ、あたしも無茶な事だって思ってるのよさ~。本当、突然いきなりそんな偉い人に会えるわけなんてねぇ~・・・」


「宮中伯と資産取引関係にあります旧約の民の方を紹介しましょうか?宮中伯と私的にも付き合いのある人なので、仲介してくれると思いますよ」


わあお、まさに持つべきものはコネだわさ!


「マカフシくん!すごく助かるのよさ!お願いなんだわさ!」


すると、レギンがマカフシくんにめっちゃ近寄って・・・


「なんで教会の敵に頼らなきゃならねぇんだ?どう見ても異教徒、カイ教徒だろ?」


「あ、こう見えてもボク、教会の信者ですよ。ちゃんと洗礼も受けていますよ」


「・・・信用できねぇな」


「そうですか。それは残念ですね」


やばいのよさ・・・トケツスタンの名射手と、ドラ息子ドラゴンが一触即発状態なのだわさ!

火薬庫状態なのだわさ!


「レギンさん。彼はちゃんと教会の信仰者です。わたくしは彼のお祈りの仕方を見た事があります」


「見た事あるのねぇ~・・・」


「ええ。一時とは言え、共に戦う仲になる前に確認の為に、こっそり覗き見させて頂きました」


「ボク、覗き見されてたの・・いや~ん」


「そうか、そのユーモアセンスも込みで、カイ教徒ではないと判断してやるよ」


「うわ~、ボク、君は苦手だな~。爬虫類みたいな目をしているんだもん」


「せっかく収まった所に火種をまかないで欲しいのよさ~」


さてさて、どうなる事やら・・・




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