第81話 ドラゴンの食卓
『のんあるに酒を混ぜて変化をつけるのは良い事だ』
―神学者ビーコン―
食卓は、アーモンドミルクで雑穀を煮たてた甘いお粥と、カタツムリのスープ、白いパンがそれぞれの前に出され、テーブルの真ん中にはいろんな果物が盛られた皿と、ヘーゼルナッツや干したイチジクが盛られた皿が置かれたのよさ。
豪華とは言い切れない感があるけども、おしゃれな感じの食卓だったのよさ。
「そうだな。我が領地自慢のミードがある。是非、ご堪能頂きたい」
っと、城伯は言ったんだけど、
「申し訳ございません。まだ、大事な話がありますので、飲むわけにはいきません」
って、メメシアが断っちゃったのだわさ・・・
ドラゴン城伯の領内のミード、蜂蜜酒、気になるのだわさ・・・
「そうであるか・・・」
城伯は少し寂し気な感じなのよ・・・
「あ、あたしが飲むのよさ!」
気が付いたらあたしはそう言いながら手を挙げていたのだわさ。
「マジョリン!っめ!」
「くぅ~~ん・・・」
メメシアに止められちゃったのよ・・・
「しかし、ズィーベン同盟を止める為にはどうすればよいか、領内を見せて安全性を証明するのはどうかね?」
城伯の意見に首を横に振ったのは猫男爵だったのよさ。
「それではやつらが言いがかりを見つけるだけぞなもし。やつらは言いがかりの達人である上に、いかに攻め込むかを考えさせるだけぞなもし」
「では、そのズィーベン同盟をまとめる人と直接話し合ってみるのはいかがでしょうか?」
っと、ハレルが言ったんだけど、猫男爵はあまりいい顔をしなかったのよ。
「同盟の実行部隊を率いるのは若く、野心の溢れる騎士連中である。加盟はしているが、実際に権力があり、同盟に対して侵攻の考えを止めさせれる事が出来る人物・・・」
猫男爵は考え込んでしまったのよ。
「ちなみに、ズィーベン同盟に加盟している偉い人って、どんな人がいるのでしょうか?」
「・・・ヤーバンブルク大司教」
「あ、それ以外で」
魔女狩り大司教の名前がこんな所で出るなんて、不吉だわさ・・・
「他か、若きフリーデスラ方伯、それとファールツ宮中伯であるな」
「ファールツ宮中伯・・・選帝侯の1人ではないか。彼が加盟していたのであるか?」
「加盟と言えども、名義で登録してあり、ある程度の資金援助を行っているような感じであるぞなもし。資金援助をする代わりに、自信の領内で問題を起こさぬようにさせているのだ」
「じゃあさ、ファールツ宮中伯に事情を説明すれば、上手く止めてくれないかな?」
「選帝侯に簡単に会えると思っておるのか?」
「でも、やれる事はやってみないと、どうなるかわかりませんよ」
妙に強気で出るハレルだわさ・・・
「これは止めないと、魔王に立ち向かうべき人達が魔王と同じような事、やってはいけないと思うのです」
ハレルは勇者としての意見を述べていたって感じなのねぇ・・・
「行こう!ファールツ宮中伯領へ!」
「いや、ファールツ宮中伯が領内にいるとは限らん。フランコノファード帝国自由都市にいるかもしれん」
フランコノファード帝国自由都市、そこは地域政治と経済の中心都市で、とても発展した神聖帝国皇帝直属の都市なのだわさ。
「そこへ行って、ファールツ宮中伯に会って話してきます」
ハレルは意気揚々と語るも、誰しも難色を示すのよ。
ゲッソリするくらいに難色示す顔を晒すのよ。
「わたくしはハレルの意見に賛成します。」
っと、メメシア。
「ズィーベン騎士団同盟とドラゴン城伯の対立を喜ぶのは誰でしょうか?魔王です。国内の混乱を発生させる要因を廃除する為に、選帝侯たるファールツ宮中伯には協力して頂けねばなりません」
「もっともな意見であるが・・・」
「それに早くしなければ、ズィーベン騎士団同盟がいつ仕掛けて来るかもわかりません。彼等は着々と準備を進めているはずです」
城伯は考え、そしてメメシアを強く見たのだわさ。
呼吸を止めて一瞬、真剣な目をしたんだから、あたしだったらそっから何も聞けなくなっちゃうのだわさ。
「そこまでして、我が領の領民を守ると言ってくれるそなたらを信じずにどうするのかと、我は自分をしかりつけたい気持ちになった。そなたらに全てを託す。フランコノファード帝国自由都市までは、我が息子達がお送り致そう」
そう言って城伯が手を叩くと、部屋に2人のイケメン美男子が入ってきたのよさ。
「紹介する。長男のオトゥールと次男のレギンだ。2人の背中に乗って飛べば、あっという間に到着するぞ」
「え!?イケメン美男子におんぶされて移動するのかねぇ!?」
「ドラゴンの姿になって、それに乗って飛んで行くって意味だ・・・」
残念・・・もっとあんなことがあるんじゃないかって思って、こんなはずじゃなくてねぇ・・・しゅんとなってしゅんとなって・・・ば~か~だ~ねぇ~・・・
「おい。オヤジ。なんでオレ達がやらないといけねえんだよ」
「レギン、そんな事を客前で言うんじゃない。感じ悪いぜ」
「はぁ・・・兄貴は何でもオヤジの言いなりのいい子で、嫌になるぜ・・・」
長男のオトゥールくんは優しい系で、次男のレギンくんはヤンチャ系ってやつかねぇ~・・・
「オレ達じゃなくて、妹達に行かせた方がいいんじゃねぇの?リュンとローフンにさ~」
「折角の機会だ。お前らも同行し、交渉する場を学ぶと良い」
オトゥールくんはかしこまっているけど、レギンくんは不満がある感じなのよ。
果たしてどうなる事やら・・・




