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第77話 魔法使いの友達、略して魔友

『必要性は可能性の飲み仲間である』

―サモヌの賢人 ピタゴルァヌ―




あたし達はダイムラー辺境伯に呼ばれ、ベンズガルトの辺境伯の宮殿に来たのだわさ。

さっそく、宮殿の応接間に招かれ、そこでダイムラー辺境伯とご令嬢のメルセデスお嬢様と対面したのだわさ。


「勇者と仲間の皆様、よく来てくださった!助かります!」


「辺境伯殿下。急な事態と聞きまして、クリンゲルさんに頼んで無理して召喚獣を使って参りました。クリンゲルさんには召喚に必要な対価をお渡し願います」


っと、ハレルがメメシアに言われたように辺境伯に告げたのだわさ。


「よろしい。クリンゲルには特別、謝礼も出そう」


辺境伯がその後、語るには、ズィーベン帝国騎士団同盟から、ドラゴン城伯の不審な動きの報告がなされたとの事だったのだわさ。

ドラゴン城伯の領地は神聖帝国内の特別区とされていて、何人たりとも手出しは出来ないように条約が結ばれているそうなのよ。

辺境伯はドラゴン城伯とある程度関係を築いていたようで、領内のドワーフ達が作る高品質な金物製品の取引が行われているとの事。

すなわち、ドラゴン城伯の恩恵を辺境伯領内の人達は受けているそうなのだわさ。

ズィーベン同盟がドラゴン城伯に攻撃を仕掛ければ、伯爵領もただでは済まないとの事なのよ。

辺境伯は何かと忙しいそうで、あたし達がドラゴン城伯の所へ行って、話を聞いてきて欲しいとの事なのよさ。

城伯の腹の内を探るには、単純に使いの者を送るだけでは無理だとの事・・・

勇者という、法と秩序と教会の番人が行ってこそ、対等に話が伺えるだろうとの事なんだわさ・・・

まあ、そう上手く行くといいけどねぇ~・・・


話しは長くなってしまったもんで、この日は辺境伯の屋敷の客室で泊る事になったのよさ。


豪華な夕食を出してもらったんだけどねぇ~・・・

あたしの手の届かない所にあった料理、薄いクレープ生地に肉が巻かれた料理がとても気になったんだけど、手が届かない上に、辺境伯の目の前にあるものだから取ってくださいとも言い出せず、もやもやしたまま終えた夕食だったのよ・・・

それに、お酒も出なかったしねぇ~・・・


夜、メメシアの歯ぎしりの音、プロテイウスの大きないびき、ハレルは相変わらずこんな騒音の中でもぐっすり寝ていたのよ。

あたしはちょいと夜風にあたろうと外に出たのよ。


「やあマジョリン。寝つきが悪いようであるな」


「クリンゲルか~。仮面を付けていないから、何処の貴族のお嬢様かと思ったのよ。まあ、寝つきは悪いけどねぇ~・・・」


「顔に付いてはそんなに褒めるな。恥ずかしい。しかし、寝つきの悪い時は、ちょいと1杯、飲みに行くのが賢人のやり方では無いかね?」


「いいねぇ~。行こうかねぇ~」


っと、あたし達は松明を片手に夜の街へ出たのだわさ。

遅くまでやってる酒場に入ったのよ。


「マジョリン。この店で、ラズベリービールというものが入荷したそうだ。我はそなたとこの珍しいビールが飲みたくてな。是非、マジョリンの感想を聞かせておくれ」


「いいのよさ~。あたしゃどんな酒でも感想は出て来るのよさ~」


早速店員を呼んだのよ。


「ラズベリービールを2つと、ブラートシュトルーデルを1つ」


っと、クリンゲルが注文したのだわさ。

しばらく待つと、ラズベリービールが到着したのだわさ。

色は赤色のビール・・・

香りから甘酸っぱさを感じるのよねぇ~・・・

あたしとクリンゲルはとりあえず乾杯してさ、

さて、どんなものか、まず1口・・・


ゴクリっ・・・


「お・・・おおっ!酸っぱい!すっごい酸っぱいのに、とげとげしい酸っぱさではないのよ!だから、むせるような事も無いのだわさ。それに苦みも無く、変に甘くもない、さっぱりしているんだけど味があるのよ。美味しい酸味なのだわさ!」


クリンゲルも1口飲んで、笑顔なのだわさ。


「マジョリンの言う通りである。やはり、マジョリンが言葉にして味を語ってくれる事で、美味いものがより美味く感じるものだな」


「そんな、褒められたもんじゃないのよのさ~」


「感じる事を言葉で表す、とても良い才能であるぞ。マジョリンは感性が豊で、羨ましい限りである」


「お客さん、ブラートシュトルーデルお待たせ~」


っと言って、店員さんが料理を持って来たのだわさ。

それはなんと、あたしが夕飯で食べれなかった薄いクレープ生地に肉が巻かれた料理だったのよ!


「ええっ!あたしが食べたかったやつじゃん!ブラートシュトルーデルって言うのねぇ~・・・」


「夕食の時、そなたの視線がちらちらとこの料理に向いていたのがわかってな、ちなみに宮殿のよりも、ここのブラートシュトルーデルの方が美味であるぞ」


「クリンゲル、ありがとうなのだわさ。あんた、本当にいいやつだわさ!」


「感情を動かす魔法使いがこれくらいの気遣い、出来なくてどうする」


きゃー、クリンゲル、イケメンなのだわさ!

女子だけど、イケメンなのだわさ!


「クリンゲルって、隠れ王子属性あったのねぇ~」


「隠れ王子?なんだねその、国が滅んで絶賛逃亡中のような王子は」


「おとぼけ属性もあるの、忘れてたのよさ~」


「それは褒めてるのかね?」


「そういえば、クリンゲルは鉄仮面被ってるけど、あれ、被らない方がかっこいいのに、なんで被ってるのかねぇ~」


「ああ、それは、マギャロでありながら、先祖はクマノニアという自分のアイデンティティを大事にしたいと思ってな。まあ、クマノニアの文化の話しなんて、父母も、祖父母も何も語ってくれなかったから、見せかけにすぎぬのだがな」


「そうなのねぇ~。ちなみにツラがいいのもクマノニアの関係?」


「クマノニアの騎馬族は美女を拉致して嫁にしたから、その名残と言っていい」


「まさかのヤベエやつだったのねぇ~」


なんだかんだ、久しぶりに会った友達との飲みは、会話も弾んで楽しかったのよさ。




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