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第70話 アポカリプス

『酒無しに達成されし偉業無し』

―哲学者ヘーゲルナッツ―




あたしとヴィトゥスは壁の上に登って、貼り付けになっている囚人達を開放して行くのよ。

暗雲の中から姿を現した狩猟軍団、ヴィルデ ヤークトはゆっくりと舞い降りて来る・・・

また、攻撃が始まるまで時間があるようだわさ・・・

その間に、囚人達を開放させ、地下室へ避難するように誘導するの。

監守達はあたしが催眠魔法をかけ、建物の中で寝かせておいてあるのだわさ!


「マジョリン!身代わり人形を代わりに張り付けておくわよ!」


「それよりも、鉄のカゴに入れられて吊るされている人達を何とかしないと!」


「それは任せてくれ」


壁をすり抜け、フォースタス博士の契約悪魔のメフィスが姿を現したのよさ。

同じく契約天使のフェレスを引き連れてねぇ・・・


「フォースタス博士は秘策を完成させる為に、最後の仕上げを行っている。どうか、それまで耐えしのいでくれ。吾輩は博士の手伝いをする。吊るされた人達はフェレスが助けよう」


「えええ!!いきなり無理だよぉー!!」


メフィスはフェレスを置いて、去って行ってしまったのよ・・・


「おーい!ショタ野郎~!籠のカギは開けれそうかねぇ!?」


「ふええ・・・む、無理だよぉ・・・」


「あきらめるなショタ野郎!!」


「ふええ・・・」


「マジョリン!この鎖、頑丈すぎるし、重いわ!こうなったら、吊るされた人達も守りながら狩猟軍団と戦うしか無いようね!」


「そいつは困った話しだわさ・・・ヴィトゥスは戦えるのかねぇ?」


「正直、わたしは戦う事に魔法を使った事は無いけど・・・例えこの身を失う事になろうとも、抗ってみせるわ!」


「魔力がつきそうになったら避難するのよさ。自己犠牲なんて、損するだけだわさ!」


そういえば、中庭はどうなってるかねぇ・・・


ハスラング将軍がメメシアを蹴り飛ばしたのよさ。

メメシアはすぐに受け身を取って、立ち上がるも、距離があいたこの瞬間、ハスラング将軍が術を唱え始めたのだわさ・・・


「エイ ホー レヴィ ハカ ホー ミフィク ラパッチ パルサ ディヌーラ!」


するとハスラング将軍の背後に、生命の木の図式が浮かび上がったのよさ。


「あの術は何の術かねぇ・・・」


「あれは・・・実践カバラよ!旧約の民の聖魔術、その中でも危険な・・・人を殺す為の術よ!」


「実践カバラ・・・!?もしかして、この監獄に囚われている本、ハスラング将軍はあの本を読んで、そして術を身に着けていたようねぇ・・・」


「しかし、異端を狩る側が、異端扱いされがちな旧約の民の魔術を使うなんて・・・皮肉な話しよ・・・」


ハスラング将軍の周辺に、いびつな形の天使が現れるのよさ。

その、手らしきものには、燃え盛る鞭が握られているのよ。


「ドシズ ア コルボイニク イクマ シェモ!」


ハスラング将軍が呪いの言葉を述べると、いびつな形の天使は奇声をあげ、メメシアに向かって鞭を振ったのよ!

メメシアは鞭に打たれ、吹き飛ばされたのだわさ!


「め、メメシア!!」


「マジョリン!こっちもそろそろ危ういですわよ!狩猟軍団の降下速度が早まってますわ!」


空からおどろおどろしい怨霊達が武器を手に、舞い降りて来たのよ!


「来たわ!マジョリン!」


「全力でやるっきゃないのだわさ!!」


ヴィトゥスは魔力を集中させるのよ!


「吹き飛ばせ!!ガンマカノーネ!!」


強力な魔力弾をぶっ放したのだわさ!

魔力弾は狩猟軍団に命中し、炸裂!

何体か怨霊を吹き消したのだわさ!

あたしも後に続いて魔法の呪文を唱えるのよ!


「シュテルケシュトラール!」


魔力光線を放ち悪霊共を焼き滅ぼしてやるのよ!

だけど、相手の数が多く、進軍を止める事が出来ないのだわさ!


あたし達が魔法を使って攻撃を始めた時、背後から天に響く大きな声が張り上げられたのだわさ!


「デウスロヴォルト!!」


爆裂音と共に一瞬、巨大な十字架が爆発の如く天に向かってそびえ、大地を揺るがしたのだわさ!

メメシアが力を開放したのだわさ!


街の鐘という鐘、小さな鈴に至るまで、あらゆる音を発する物が音を立てて、異常事態を伝え始めたの!

これは人的に行っているのでは無く、メメシアの力の開放によって発生した奇跡なのだわさ!


「マジョリン!危ない!」


ヴィトゥスの声に振り替えると、メメシアの力によって吹き飛ばされたハスラング将軍があたしの近くに落下してきたのだわさ!

ドスンと鈍い音を立てて体を打ち付けたハスラング将軍だけど、すぐに立ち上がって、満面の笑みを浮かべているのよ!


「馬鹿将軍!今、あんたらが戦っている場合じゃないのよさ!街の人達を助ける為に協力するべきなのだわさ!」


「どけ。魔女が我に指図するな!これは我の聖戦である!」


ハスラング将軍は聖なるウォーハンマーを出現させ、それを手に中庭に飛び降りて行ったのだわさ!


「狂ってやがるのよ・・・」


怨霊狩猟軍団が地に迫る!

こんどは天を咲くように稲妻が破壊音を発しながら空を割るように広がり、怨霊狩猟軍団を焼き滅ぼしてゆく!

ハレルの神の雷の力なのだわさ!


「凄いわ!これが勇者の力なのね!?」


「ハレルは真の勇者だわさ!でも、こんなに飛ばして・・・大丈夫かねぇ・・・」


それとは別に、背後から大地を揺らす轟音が轟く!

振り返るとハスラング将軍と破壊天使を相手に戦っているメメシアが、ハスラング将軍の聖なるウォーハンマーの一撃を身に受けた瞬間だったのよさ!

メメシアはそのまま真上に吹き飛ばされ、壁の上にいるあたし達よりも上に上がっていたのだわさ!


「オン!インドラヤソワカッ!!」


宙に浮いたメメシアは、驚いた事に、神の加護を受けた状態で東洋の術を唱え、光り輝く槍を出現させ、それをハスラング将軍目掛けてぶん投げたのだわさ!

中庭が大爆発に飲み込まれ、爆風であたし達は吹き飛ばされそうになるも、なんとか踏みとどまったのだわさ!

どうやら、メメシアはハスラング将軍を倒す為に奇跡は用いらないようなのだわさ。


「マジョリンさん!狩猟軍団が街に!!」


ヴィトゥスが指さす方を見ると、街の人達をさらって宙を舞う怨霊が目に入ったのよ!


「不味いのよ!範囲が広すぎるのだわさ!守り切れないのよ!」


あたし達は出来る事を全力でやるしかないのよ。

兎に角強力な攻撃魔法をぶっ放して、1体でも多くの怨霊を滅ぼすしかないのだわさ!




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