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第67話 複雑に絡み合う運命の螺旋

『酒なくして、神を喜ばせることはできない』

―ワカール大帝―




「外にいる聖女、いや、絶対悪魔殺すマンがいるから、吾輩は活動が出来ん。怖すぎるのだ」


悪魔すらビビる相手、今、この魔女監獄の周辺をうろついている存在、それは、あたしの信頼できる仲間、僧侶のメメシアなのよさ・・・


「メメシアは悪いやつじゃないのよさ・・・ただ、悪魔は問答無用で葬るってだけだわさ」


「悪魔にとっての悪魔であるぞ・・・あんなのがいるんじゃ計画は白紙である」


「困ったのよさ・・・じゃあ、天使くんに漂う怨霊の対処を任せるしかないのよさ・・・」


「え?ぼ、ボクですか?・・・できるかな・・・不安だよぉ・・・」


いじいじしてる天使のフェレスに対して、男の娘魔法使いのヴィトゥスは言い寄り始めるのよ。


「あなた、天使でしょ?そんなに弱いの?もっと自信を持つべきだわ。それとも何?ただ羽の生えて頭に輪っかのせただけの、何もできないショタなの?」


何もできないショタって悪口なのかねぇ・・・


「じゃあさ、ショタ天使くん。外のメメシアに、今の状況を説明して来てほしいのよさ・・・」


「ええ・・・怖いよぉ・・・それに、仮にでも堕天使認定されたら、ボク、生きていけないよぉ~・・・」


天使でも、生に執着するのかねぇ~・・・

堕落の要素を感じる天使なのだわさ・・・


「まあまあ、そんなに責めないであげてくれ。彼も彼なりに、頑張ろうとしているんだから」


っと、フォースタス博士がショタ天使くんを弁護するのよさ。


「そうやって博士が甘やかすからそんな天使になるんじゃないですか?もっと、ちゃんとしつけないと、将来が可哀想になるわよ」


「・・・確かに」


もう、何が何だかなのだわさ・・・


「おや、今の騒ぎで、どうやら将軍がこの部屋に向かってきているぞ。メフィスとフェレスは一旦、この場から去ってくれ」


「我が契約者の仰せのままに」


「ボクちん、ぴえんだよぉ・・・」


メフィスとフェレスは姿を消したのよさ・・・


その後、魔女狩り将軍であるハスラング将軍が部屋にやって来たのよ。


「今、外で何か異変が起きたが、汝らが何かをやったのであるか?」


あたしの仲間が悪魔を見つけて奇跡術をぶっ放したなんて、言うと色々厄介そうだから、あたしは黙秘したのよさ。


「今、兵士達が外の異変を調査しに出たのだが・・・ここの部屋にいた兵士達はどうした?」


「話の邪魔だから、私が追い払った」


っと、フォースタス博士は正直に答えたのよ。


「所で、その、来るべき脅威への対策は進んだのかね?」


「ハスラング将軍よ。対策の為に1つ聞きたい。ここで殺した魔女や、それに値する異端者はこれまでで何人になる?」


「さあな。100人から先は覚えていない」


「あなたは、魔女・・・いや、異端者とされた者達を殺し、心が痛む事は無いのかね?」


「汝は目の前に飛ぶ羽虫を叩き殺した所で心を痛めるのであるか?」


魔女狩り将軍は、魔女を人として認識していなかったのがよくわかったのよさ・・・

そして、フォースタス博士はそんな連中と付き合いがあるも、狩られる側の人達に同情的である事もわかったのよ。


「ハスラングよ。この周辺には天に召されぬ魂が多く渦巻いている。さ迷える魂を浄化し、魔女狩りを止めぬ限り、この地・・・この街・・・いや、大司教領に明日は無い」


「死して天に召されぬ魂など、異端である証拠だ。煉獄に叩き落としてやるべき穢れた存在だ。汝よ。異端共を憐れむ事無かれ」


そう言って、ハスラング将軍は部屋を出たのよさ。


「正直、私は間違えていたようだ。話せば分かり合えるなんて幻想であった。そして、やつらはいかなる言葉を用いたとしても、それを理解する事は無いのだ」


魔女狩りの否定。

それはいかなる賢人であっても、困難な事なのが、あたしにもわかったのよさ・・・


「私は、自信の研究の為の資金を得る為に、大司教に近寄って、そしてホロスコープを授けたのだが、こんな聞き分けの無い連中だと知っていたら、近寄る事もしなかったであろう・・・」


「フォースタス博士・・・あんたはさすらいの占星術師として、錬金術師として、世渡りとして、間違えた事はしていないのよさ。ただ、ヤーバンブルク大司教が間違えているだけなのだわさ」


「占星術師として、導けない事は己の不覚であるっ!」


っと、フォースタス博士は大声をあげたのよ。

まあ、気持ちはわからんでもないのよさ。


「マジョリン、君は悪意を感じない良い魔法使いだ。言葉に裏表が無い。ヴィトゥス、君は生まれるべき性別が違った。それで世界の仕組みの探究者となった運命の犠牲者だ。私がなんとかする。2人はここから立ち去るべきだ」


「フォースタス博士、そんな、あたしも一応、勇者と旅する魔法使いだわさ。脅威に立ち向かうつもりだよ。まあ、魔女狩り連中は助けきれないけどねぇ」


「どんな形であろうとも、自分の力が少しでも役に立てるなら、わたしは試練から逃げたりはしないわ。いいえ、わたし、神様から与えられた試練に背いた事、無いんですもの。背き方なんて知りませんわ」


「そうか・・・ならば、協力しよう。そして、3人そろって感謝されよう!」


あたし達は変に意地になってたのかもねぇ・・・

ムカつく連中を守りたいなんて、これっぽちも思っては無いし、そんな連中が手のひらかえして賞賛してくれたとしても、微塵もうれしくなんかないだろうにさ、それでも未知の脅威に立ち向かおうとしているのは、意地としか言いようが無かったのよ。


あたし達はその後も、対策会議を続ける事にしたのよさ。


「ここら辺に魔女狩りで処刑された人達の怨霊が溜まっていて、それがある種の生贄となって、ヴィルデ ヤークトが召喚されるって事よねぇ。その怨霊を消してしまえば召喚が無効にできるという計画は実行不可能な状況になっているのだわさ」


「やはり、難敵に立ち向かう方法を考えるべきなのでしょうか・・・」


「ところで君達、錬金術に関しては、どれ程に知識があるか?」


「あたしの師匠はある程度は知っていたけどさ、そこの所はあんまし教わらなかったし、まあ、学んでる時は興味無かったからあまり覚えてもいないのよさ」


「わたしは少しだけありますわ。旅の錬金術師から教わったのですけど、教わった内容は医学的な話しよ。水銀があればなんでもできるっておっしゃっていたわ。そう、その方もマジョリンさんみたいにお酒が大好きでしたわよ」


酒好きの錬金術師か・・・これは信用できるねぇ。


「その錬金術師は何と言う名だったか?」


「名前は・・・ケルスって名乗っていたわ。本名じゃないと思うけど、わたしに医術を教えてくださった大切なお師匠様の名前ですわ」


「ケルス・・・あいつか・・・」


「何か、お師匠様の事、御存じで?」


「いや、噂しか聞いた事が無い。敵が多い人間だとな。まあ、私も他人の事を言える立場ではないがな」


「ねえ、マジョリンのお師匠様って、どんな方だったのかしら?」


「あたしのお師匠さん・・・イルゼって名前の田舎の魔法使い兼、薬草医師民間医師だったのよさ。地元じゃ有名なヘクセンマイスターなのよ。でも、他所で名が通ってるわけじゃないけどねぇ・・・」


「ふ~ん」


「聞いておいて塩対応かい・・・」


かなしいわぁ~・・・




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