第57話 まさに健康ランド
『酒の魂は腐敗である』
―道徳哲学者ソクテラス―
あたし達はとある町に入ったのよさ。
そこは色んな人達が行き交う賑わいのある町だったのよ。
町は結構賑わっていて、大きな教会もあるのよさ。
「大聖堂ってあんな感じなのかねぇ?」
「いいえ、もっと大きいです」
「はぇ~」
市場には屋台が出ていて、いろいろなものが売っているのよさ。
折角だから、色々見て回る事になったのよねぇ。
パン屋や雑貨屋、カバン屋に靴屋・・・
「そういえば、ハレルの靴、そろそろ限界じゃないかねぇ?」
っと言うのも、これまでの長旅、歩いた距離はかなりのもので、各々の靴は治しながら歩いてきたんだけど、ハレルの靴は流石に替え時だと思うのよ。
「確かに、そうですね・・・わたくしが修復していますが、流石に新しいのにしたほうが歩きやすいですよね?」
「う・・・うん・・・」
「でも、屋台で出ているような作り置きの靴は信用できませんから、ちゃんとした靴屋で作ってもらいましょう。これからも長く歩きますから」
あたし達は靴屋に向かったのよさ。
靴屋では、ドワーフが働いていたのよ。
「いらっしゃい。靴をお求めで?」
「はい。彼にあう靴をお願いします。長距離歩くので、頑丈で、なおかつ動きやすい靴をお願いします」
ドワーフはハレルに近寄って、靴を見る。
「ひどくはき古した靴だな・・・ちょっと見せてくれ」
ハレルは靴をぬいでドワーフに手渡したのよさ。
「ふむ・・・かなり綺麗に修復をし続けていたのだな。愛を感じる」
ハレルは少し、恥ずかしそうだったのよさ。
ハレルの靴をなおすメメシアはまるで、お母さんのように見えるのよねぇ~。
「よし、オレが新しい靴を作ろう。1晩でやってやる。ただ、金額は高いぞ。いいな?」
「はい。その分、信用してもいいのですね?」
「っは!なめるなよ。金額以上の仕事をしてやる」
新しい靴が出来るまで、ハレルはスリッパを借りたのよさ。
その後、一応、宿の手配をしたのよさ。
今回は4人1部屋だったのよさ。
「いらっしゃい。1泊でいいのかい?」
「まあ、それで」
「お客さん達は温泉に来たんじゃないのかい?ここの温泉はちょいと有名でね。数泊して楽しむ人が多いんだよ」
「温泉ですか?」
「そう、大きい温泉があるんだ。騎士の見習いはそこで泳ぐ練習もするし、美肌美容効果があると、結婚前の女性も来る。まあ、女性の中にはイケメン騎士見習いと近付けるチャンスって考えているやつもいるみたいだけどね」
しかし、そうと聞いたらその温泉に行ってみたいものだわさ。
「そうですね。身を清め、大聖堂へと向かう神聖な旅路へつくのはいい考えです。行きましょう」
っと、メメシアからもOKが出たのよさ。
まあ、あたしらの裏のリーダーはメメシアって感じだわさ。
大浴場は大きな宮殿のような建物にあったのよさ。
どうやら教会が運営しているようで、身体と精神を清める温泉だとのこと。
昔、この町の守護聖人が杖を突いた所から湧き出た神聖な温泉とのことらしいのよ。
あたし達はさっそく更衣室で着替えたのよさ。
温泉に入る時の服は、ここでも前掛けだったのよさ。
まあ、下にはパンツははいてるんだけどねぇ~。
教会が運営するにはちょいと、刺激的な感じ?
でも、身動きとりやすいからいいかねぇ~。
着替えて大浴場へ行くと、そこは大きな湖のような浴場だったのよさ。
真ん中には噴水があって、温水が噴き出ているのよさ。
男女問わずに入浴・・・
いや、泳いでる人もいるし、ちゃぷちゃぷと隅っこで集まって会話を楽しんでる人達もいるのよさ。
「せっかく泳げるんですから、ハレル。泳ぐ練習をしましょう」
「え・・・あ、ボク1人で泳げるよ・・・」
っと、顔を赤くするハレルの手をひいて、大きな温泉に入って行くメメシア。
あたしも後を追って、温泉に入ったのよさ。
温度はあまり高くないけど、低すぎない感じで、長時間つかってられるっていうより、泳いだりして楽しむのに最適って感じの温度だわさ。
「オレも、しばらく泳いでなかったから泳ぐ練習してくるぜ」
っと、プロテイウスは素早く泳ぎはじめたのよさ。
まあ、あたしはのんびりとしてようかねぇ~・・・
すると、タライを浮かべて、そのタライに何か飲み物を乗せて、それを温泉の中で飲んでいる人が目に入ったのよさ・・・
ちょうど従業員の人が床磨きをしていたので聞いてみたのよ。
「あれはワインです。あったかい赤ワインですよ。シナモンやクローブなどの香辛料も配合してまして、体の内側もあっためる健康的にいいワインです」
そうなのねぇ・・・それは気になるのだわさ。
あたしはそれを頼んでみたのよ。
桶に乗った陶器のグラスにワインが注がれて、それを温泉にプカプカと浮かべるのよ。
あたしもプカプカと温泉に浸かりながらあったかいワインを1口・・・
うん、甘いワインだわさ。それに香辛料の香りなのか、普通のワインとは違うコクというか、風味の奥行を感じるのよねぇ~・・・
・・・まあ、あたしは赤なら甘くない方が好きだけどさ。
「メメシア~・・・だから、ボク1人で泳げるって~」
メメシアに手を引かれ、バタ足の練習をさせられるハレルが見えるのよさ。
顔を赤くして、まあ、あの大きなパイパイが目の前にあるんだから、年頃の男の子は恥ずかしってなるもんよねぇ~・・・
「ほら、もっと背筋を伸ばして泳ぐのですよ」
「ちょっと休憩する~」
すると、メメシアはハレルを抱き寄せたのよさ。
「いいですか?足が付く水深ですが、溺れる時は溺れるのですよ。気を付けなければなりません」
湿った布地越しの大きな胸に顔を密着させられたハレル・・・
刺激が強いねぇ~・・・
「メメシアぁ~・・・ちょっと、もうちょっとゆっくりしようよ・・・」
「ダメですよ。せっかく泳げるんですから、ちゃんと練習しましょう」
あ~、あれはハレルの今後の性癖が心配だわさ~。
「ふう、泳ぐと気分がいいぜ~」
泳いで一回りしてきたプロテイウスがあたしの隣にやってくるのよさ。
「お、なんかいいの飲んでるな?オレはミネラルウォーターが欲しいぜ」
「そこの従業員に聞いてみたら?あるかもだわさ」
プロテイウスもあたしのように、タライにミネラルウォーターの入ったグラスを乗せてプカプカとさせはじめたのよさ。
「いいぜ。健康になってるってのがわかるぜ。オレの筋肉が生き生きしている」
「そりゃよかったねぇ~。でも、何処で泳ぐの覚えたのよさ?」
「そりゃな、オレの剣の師匠から教わったんだ。まあ、傭兵隊の隊長をしていた師匠がな、泳いで体を鍛える事を教えてくれたんだぜ」
「そうなのねぇ・・・役には立ったのかねぇ?」
「運がいい事に、役に立ったことは無い。まあ、戦地でそんな事があって、装備身に着けたまま泳いで生き延びれるかなんて、確率は低い事だからな。役に立たなくて幸せだぜ」
「そうなのねぇ~。所で、メメシアのあの教え方、どう思うかねぇ?」
「ありゃ~・・・ハレルの今後の性癖が心配になるな」
「あ~、あたしも同感だわさ~」
その日は温泉を思いっきり楽しんで、夜には宿でぐっすりだったのよさ。
そして、次の日の早朝、珍しく妙に早起きしたのよね。
まだ、外は薄暗く、メメシアの歯ぎしりと、プロテイウスのいびきがするのよさ。
二度寝しようかなって思った時、ハレルがあたしの所にこっそりとやってきたのよさ。
顔を真っ赤にして、目には涙を浮かべてるのよさ・・・
「ま・・・マジョリン・・・どうしよう・・・おねしょしちゃったぁ・・・」
・・・おや?
おやおやおやぁ~~~???
なんたるショタハプニングイベント。
どんな夢を見ちゃったのかねぇ~・・・
まあ、みんなが起きる前にこっそりと、パンツ洗って、魔法で乾かしてあげたんだけどねぇ~・・・
やはり、メメシアの水泳指導は刺激が強すぎたようだったのよねぇ~。




