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第42話 廃塔と盗賊

『最愛の酒を飲む事はありえない。勿体ないから』

―詩人デキソコナイソン―




あたし達は、とある村が何かに襲撃されたと聞き、その村へ向かったのだわさ。


村の家々の戸はすべて破壊されていて、部屋も全て荒らされている状況だったのよ。


「一晩のうちにこんな事に・・・私の妻も、娘も、息子もいなくなっていたのです」


それはそれは、大変なのだわさ・・・


「でも、一晩の内にこんなひどい事に・・・でも、誰か気付いた人はいなかったのですか?」


「それが、こんなに荒らされていたのに、誰一人として、目を覚まさなかったんだ・・・」


「夜間の見廻りをしていたやつも、どこかに消えちまったんだ」


「それは奇妙な事が起きているのだわさ・・・」


「ワウワウ!ハフハフ!」


「なんだこの犬は・・・野犬か?どっから来た?」


村人はしつこく吠える犬を追い払おうとするも、犬は離れる事は無かったのよ。


「家財も奪われ、女と子供達もさらわれ、もう、俺達にはビールしか残っていない・・・」


「ほう、ビール・・・」


「マジョリン。反応しない。不謹慎ですよ」


「へ・・へい・・・」


「ビールと言っても、酒成分の無い、飲料用のデュンビールなんだが・・・」


「それは悲しいのよ・・・」


「マジョリン。変な所で悲しまない。コンプラ違反ですよ」


「へ・・へい・・・」


そこでハレルがふと、何か思いついたのよさ。


「今から犯人を追えば、さらわれた人達を助け出せるかもしれない!」


「でも、どうやって?」


「ワウワウ!!」


「あたしが足跡追跡魔法を使えばいいって事ねぇ?」


「うん」


「くぅ~~~ん・・・」


あたしは魔法の呪文を唱えるのよさ。


「シュプールフェファルゴ!」


あたしは村の中を歩き回った多くの足跡が見えるようになったのよさ。


「見えたよ。結構な人数の・・・人間の足跡なのだわさ・・・」


「何?相手は人間なのか!?」


「ただ、この異様な事態、人間は人間でも、何か魔法を悪用しているのかもしれないねぇ・・・」


あたし達は足跡を追って、森の中へ入ったのよさ。

しばらく歩き続けると、古い塔の建物が見えたのよ。


「足跡はあの塔に続いてるのよさ・・・どうするのよさ?」


「行きましょう。さらわれた人達を助け出すなら、早くにこしたことはありません」


あたし達はこの古い塔に向かったのよさ。

その塔の入り口の所で、3人の汚い姿の男が焚火をしていたのよさ。

あたし達はこの男達から話を聞き出そうと、声をかけようとした瞬間だったのよ。


メメシアは9つの異様な形の合唱を連続で組み、呪文を唱え始めたの。


「ノウマクサンマンダバザラダンセンダマカロシャダソワタヤウンタラタカンマン!」


すると、男達は悲鳴を上げ、まるで石像が倒れ転がるように、硬直した状態で倒れたのよさ。


「フドー金縛りの術です。下手に動く事はできませんよ」


メメシアは硬直した男の頭を踏みつけながら、男達に聞いた。


「昨夜、村に盗みを働いたのはあなた達ですね?」


突然の事にパニックになっているのか、男達はぎゃーとかうわーとかママーとかうーうーとか声を上げるばかりなのよさ・・・


「はっきり答えぬと、舌を抜きますよ?」


怖いねぇ・・・メメシアは怖いねぇ・・・


「お、オレ達は下っ端で、塔の見張りをしていただけだ!親分達がやったんだ!勘弁してくれ!助けてくれ!」


「その親分とやらは何処にいるのですか?」


「捕えた女子供を連れて、どこかへ行っちまったんだよ!しばらくここには戻らないそうだぜ!」


「わかりました。では、しばらく黙っていてください」


「そんな、体が動けないのを治してくれ!」


「喝ッ!!!」


ドン!


メメシアは気迫だけで男達の体を強く圧迫させたのよさ。

男達の体は少し地面にめり込み、完全に意識を失っているのよさ・・・


「ハレルとプロテイウスはこの者達を縛り上げてください。わたくしとマジョリンは塔の中を散策します」


あたし達はこの、廃塔に入ったのよさ・・・

中は隅々に藁の寝床やら、雨漏りよけテントみたいなのが張ってあったりして、汚い感じだったのよ・・・

階段を上って、一番上の部屋に入ると、そこはちょいと綺麗な感じにしてあって、でも、棚には頭蓋骨が並べてあって、壁のあちこちに汚い魔法陣が描かれていたのよさ・・・


「マジョリン。この部屋から、犯人の親分がどんな術を使っているのか、判断できるかしら?」


「いわゆる悪魔契約系の魔法よねぇ・・・そっち方面は、学ぶだけでも異端とされるもんだから、ちっとも触れてないのよさ・・・」


「わかりました。では、この中で、異端では無い魔法的な情報を得る事はできますか?」


あたしは周囲を見渡して、本棚に何冊か本があるのを見たのよさ。


「この本に何かヒントがあるかもねぇ・・・」


あたしは本を見たのよ。

書いてある事は、基礎魔法や、魔法陣の説明の本とかだったのよさ。

しかも、どれもホコリがかぶっていて、しばらく読んでいない本だってわかるのよさ・・・

まあ、物的証拠として、あたしは基礎魔法の本と、魔法陣の本、魔法哲学書の3冊をカバンにしまったのよさ。


「マジョリン。手紙がありました」


「手紙?」


「魔王と共闘するという内容の手紙ですね」


「なんと!魔王と共闘!?」


「魔王の配下では無く、共闘です。これはおぞましい事です。この犯罪集団の親玉は、それなりの実力者と考えてもいいでしょう・・・」


こいつは厄介な事になったのよさ・・・

あたし達は塔から出て、この事をハレルとプロテイウスに伝えたのよ。


すると、森の奥から何かが近づいてくる気配がしたのよさ。

皆で身構えたのよ・・・

親分達が帰って来たのか・・・


ガチャッガチャッっと音が近づいてくるのよ・・・


それは、鎧を身に着けた騎士達だったのよさ。

騎乗した騎士が1人、軽装の騎兵が5人やって来たのよ。


「村の連中から聞いた。勇者とその仲間達であるか?」


「はい。そうです」


「我らはこの地の領主に仕える騎士である。ここからは我らに任せ、勇者達は帰ってくれ」


いきなり現れて、いきなり去れとは、これいかになのよさ・・・

多分、余所者に手柄を取られたくないってやつなのよ・・・

領内とは言え、盗賊団を討伐するという手柄を上げれれば、こういう下級騎士は少しでも出世の足掛かりになるのかもしれないしねぇ~・・・


「しかし、よくこの場所がわかりましたね」


「ここら辺で潜伏するに適しているとすれば、この廃塔か、これより北の洞窟かだからな。我らにとって、ここら周辺は庭のようなものだ」


「捕らわれた村人達がまだ、見つかっていません。多分、その北の洞窟にいるのかもしれません」


「そうか。後は我らに任せよ。後、50人の兵がここに集まる予定である。兵がそろい次第、その洞窟に向かう。勇者達はその捕えた者を村に届けてくれ。村にも兵士が派遣されている。彼等に引き渡せ」


随分と上からもの申す騎士だわさ・・・

あたしらは仕方が無く、捕まえた盗賊の下っ端を叩き起こし、縄でつないで歩かせ、村に戻ったのよ。


どんな相手かわからないけど、なんとかできるものかねぇ・・・




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