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第36話 瀉血はやめとけって

『二杯目の酒を飲む事は、二つ目の魂を得る事』

―ワカール大帝―




踊り病から解放された町の人達は無事に踊り病から解放されたのよ。

まあ、全員寝込んでしまったんだけどねぇ・・・

近隣の村や、修道院から救援に駆け付けた人達が、やつれきってしまった町の人達を看護しているのよさ。

ハレルも疲れ果てて、町の宿で寝込んでしまったのよさ・・・

後、医師もかけつけてくれたんだけどねぇ・・・


「勇者さんは力を使い果たして倒れたと・・・万が一の為に瀉血(しゃけつ)、悪い血を抜いておきましょう」


「殺す気か?!」


厄介な医者だわさ・・・

血を抜く事しか能が無いのかねぇ・・・?


「勇者さん、医療費はオレが負担します。どうか血を抜いて健康になってください!」


っと、卑しい貴族系のおっさんがそんな事言っているんだけどさ、余計なお世話なのよねぇ・・・


「うちの息子を助けてくれた勇者さんにお礼がしたくてどうか、どうかー」


「うっさいんだわさぁー!お金は町の人達の為に使いなよさー!みんな倒れ込んじゃっているんだからさ~」


っと、あたしは貴族のおっさんと医者を部屋から追い出したのよさ。


「マジョリン。あの悪しき魔女、ただで逃げ帰ったと思いますか?」


「破天荒な素振りにしては用意周到だったのよさ。だから、下手に反撃してくるようなリスクを負うとは思わないのよねぇ・・・多分、絶対勝てる状況で、相手を散々いたぶる事をやるタイプだと思うのよさ」


「オレは簡単に踊らされちまったからな・・・その悪しき魔女相手にどう立ち回れるか・・・」


プロテイウスは自分が活躍できなかった事に少し落ち込んでいるようなのよねぇ。


「プロテイウスがかかったあの魔法、あれはよっぽどの魔力を必要とするし、準備にも相当時間をかける魔法なのよさ・・・それにかかったのは仕方がない事なのよさ・・・」


「そうですね。ですが、魔法に対抗できるようになりたいとお考えでしたら、わたくしが霊操の方法を教えますよ」


「本当か?やってみるか・・・霊操ってやつを」


宗教勧誘かねぇ・・・?


「それと、魔力に対抗する力が身に付く聖水を売っている修道会を知っています。わたくしが仲介しまして、特別価格で売ってもらえますよ」


うん、怪しい販売だわさ。


「しかし、これから魔王軍と本格的な対決に入って行くのです・・・今回以上に厳しい戦いが沢山起こるはずです。わたくし達は今以上に強くならねばなりません」


「そうだねぇ・・・」


ハレルはその後、回復したんだけど、今日はこのまま宿で泊る事にしたのよさ。

夜になって、みんなはぐっすり寝ていたのよさ。

あたしは毎度のように宿を抜け出して、酒場を探してみたのよねぇ・・・

まあ、町の酒場は閉まっていたんだけどさぁ・・・

なんと、広場に屋台が出ていたのよさ。


広場にテントを張って、ヴルストを焼いていたり、飲み物を提供したりしているのが見えるのよ。

野外に出されたテーブル席には、救援に来たであろう近隣の村人や、修道院の人達が飲んだり食べたりしているの。

これはもう、楽しいに決まってるのさ!


屋台でヴルストを焼いているおばはんに声をかけたのよね。


「ヴルストをくださいな~」


「あいよー!」


お皿に焼きたてのヴルストを2本、コォルの漬物を脇に添えてくれたのよさ。


「あと、お酒ってあるのかねぇ・・・」


「お酒ね~、あの向かいのテントで出してるけど、あまり品揃えは期待しない方がいいよー!」


「さよですか~」


あたしは向かいのテントに向かったのよ。

でも、途中でザイブリンゲ(サケ科の川魚)の串焼きを売ってるのが見えたもんで、ついつい1本購入しちゃったのよねぇ~。

そして、一旦空いてる席にそれらを置いて、酒売りのテントへ行ったのよ。


「すみませ~ん、お酒、何があるのかねぇ~」


「はちみつワインのメットと、赤ワインと、後は酒成分の無いデュンビールだね」


う~ん・・・普通にビールをぐびっといきたかったんだけどねぇ~・・・

魚もあるから赤ワインは考えて無かったのよさ・・・

せめて白があれば・・・・


「じゃあ、メットと赤ワインをくださいな~」


あたしは陶器のグラスに注がれたメットと赤ワインをもって、席に着いたのよ。

まあ、仕方がないねぇ・・・


まずは、赤ワインを1口味見なのよねぇ~・・・・

・・・・・うん

みずみずしいではない水っぽい感じ・・・

甘みは無く、渋みはそこそこだけど味も香りも薄く、のっぺりとした感じ・・・

酸味もなければさっぱり感も無い・・・・

いいワインじゃないのよさ・・・

何と言うか・・・ワイン風味の水・・・?

水は言い過ぎだけど、そう評価してしまう程なのよ。


メットの方はどうかねぇ・・・1口飲んでみるのよさ・・・

うん、甘い・・・

悪い酒じゃないんだけどさ・・・・

食事にあう感じじゃないのよねぇ・・・

こいつはまいったねぇ・・・


でも、ふと思いついたのよさ。

この赤ワインにメットをちょこっと注いで混ぜて見るとどうだろうか・・・

そんでやってみたのよさ。

そしたらワインの味にコクが出たのよさ。

水っぽさが解消されて、ワインらしくなったのよねぇ。

これはよき発見だわさ。


ヴルストを食べながら、赤ワインを飲む・・・

うん、悪く無い。

やはり、肉料理には赤ワインなのよねぇ。

お互いのうま味を引き立て合う組み合わせなのよさ。

不思議な話しで、肉料理に白ワインをあわせると肉の臭みが協調されて、魚料理に赤ワインをあわせると魚の臭みが協調されてしまうのよねぇ。

白ワイン赤ワインの棲み分けがしっかりしているってのは面白いよねぇ~。

世の中は上手く出来ているものなのよねぇ~。


ヴルストを食べ終え、赤ワインも飲み干してしまったのよさ。

メットはまだ残ってるのよねぇ・・・

ふと思いついたのよ。

あたしはデュンビールを購入してさ、残りのメットと混ぜたのよ。

さて、吉と出るか、凶と出るか・・・1口飲むのよさ・・・


ゴクリ・・・・


美味い!

メットがデュンビールに上手く溶け込んで、デュンビールをビールに変えたのよさ!

なんというか、コクのあるビールよねぇ。

デュンビールにある、酒じゃ無い感じを消し去って、お酒っぽくさせてるのよ。

まあ、普通のビールと何か違う感じの味だけど、悪くはないねぇ・・・


これでザイブリンゲの串焼きにかぶりつくのよさ。

白身魚の淡白なうま味、ニンニクやレモンも香りも付けてあって、とても美味しいのよさ。

これは、ビールが進むのよねぇ~。


いやぁ、あまりいいと思わなかった酒も、組み合わせで良くなるし、酒を美味しく飲むって事は知恵がいるものだねぇ~。

こういう知的な冒険、嫌いじゃないのよさ~。


そうだねぇ・・・

今回のあの変な魔女には苦戦したけど、相手の相性が悪かった感じもあるしねぇ・・・

やり方によってはもっと上手く立ち回れたのかもねぇ・・・

組み合わせは万物においてあてはまる事だねぇ・・・


そんな事を思いつつ、あたしは宿に戻ったのよねぇ~。

おやすみだわさ。




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