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第20話 夜は長いナイフにご用心

『夏草や酒飲みどもが夢の跡』

―さすらいの詩人、М・バーショウ―




あたしは酒場で、もう1組の勇者達が、あたし達に逆恨みして襲撃してくる事を知ったのよ。

慌てて宿に戻って、とにかく誰か起こさないとって思って、部屋をノックしたのさ。


「何?」


白い寝巻姿のメメシアが目をこすりながらドアを開けたのさ。


「やばいよ!サレム達があたし達を襲撃するよ!」


「・・・っていうか、あなた、なんでそんな恰好しているの?」


しまった。

あたしは変装した修道士の姿のままだったのよ。


「あ、こ、これは・・そんな事より!」


「落ち着きなさい。部屋に入って」


メメシアに招かれ部屋に入る。


「私達とは別の勇者達であるサレム達が襲ってくる?その話し、どうやって知ったのかしら?」


「え・・・そ・・・それは・・・・」


あたしは返事に困ってしまったのよ。

こっそりみんなにばれないように酒場に行ったなんて、メメシアに言ったらこっぴどく叱られるからさ・・・

でも、そんな場合じゃないってのにさ・・・


「おやおや、何かこそこそと修道士がいたと思えば、ハレル達に告げ口をしに来ていたとはな」


振り返ると、寝室のドアを開けてサレム達が入ってきたのさ。


「まあ、目撃者がいたら困るんだよね~。可哀想だけど、お前もここでくたばってしまうのさ。まあ、葬儀で花ぐらいは添えてやるよ」


サレム達が剣を抜く。

そして、あたし達に斬りかかろうとかまえた瞬間だった。


ドゴォーン!


激しい破壊音と共に壁に大きな穴が開き、プロテイウスの姿が現れた。


「な、なんだ貴様!」


サレム達はプロテイウスの姿を見て、身構えたさ。


「オレは昔、傭兵(ランツクネヒト)をやっていたもんでな・・・殺気には敏感なんだぜ・・・」


プロテイウスの体から溢れ出る戦いの気迫。

その気迫に押されてサレム達の持つ剣の切っ先が震えているの。


「小僧共、そんな玩具捨てて、拳でかかってこい」


「う、うるせえ!これは勇者が許された聖剣だぞ!」


サレムはプロテイウスに斬りかかるも、プロテイウスは片手でサレムの剣をつかみ取り、そして空いた片手でサレムをぶん殴った。

サレムはぶっ飛び、壁にめり込んだの。


「き、貴様・・・」


サレムの仲間達はあたし達に向かってくる。


「この女達がどうなってもいいのか!?」


どうやらあたし達を盾にするみたいだわさ。

するとメメシアがサレムの仲間をぶん殴ったのよ。


「なっ!貴様!何する!」


「喝ッ!」


メメシアは気力でサレムの仲間達を吹っ飛ばしたのさ。


「に、逃げるぞ!」


だが、プロテイウスが1人も逃がさなかったの。

全員殴り倒しちゃったのさ。


騒ぎに気が付いたハレルがやって来た時にはもう、意識を失ったサレム達を縄で縛り上げている時だったのさ。


意識を取り戻したサレムの仲間の1人がプロテイウスを見て何かに気が付いたようだったのよ。


「お前・・・噂には聞いたことがある・・・鋼鉄巨人のダルベルトじゃねえか?」


「小僧。そいつは過去に死んだ。オレはプロテイウスだ!」


プロテイウスは発言者をぶん殴り、またおねんねさせたのよ。


「ありがとうプロテイウス。こいつらをどうするかは明日の朝、ベルメルワグマ伯と話し合う事にしよっか?」



☆☆



翌朝、ベルメルワグマ伯に事情を説明し、サレム達は地下牢に監禁する事になったのさ。

ただ、勇者が不祥事を起こした事が街の人達に知られたら、街の人達を不安にさせるだけだと判断され、一部の関係者のみが知る秘密の事とされたのさ。


その後、サレム達がサボって討伐していなかった教会に潜む、わりとキックが強い悪魔を撃退して、今日も日が暮れた。


夜、プロテイウスが相談があると言って、なんか知らんけど2人で街の小さな酒場に行く事になったのよ。


薄暗い店内、他の客の顔はよく見えない。


でも、各々の会話をしているのが聞こえる程度。


あたし達はとりあえずビールと、つまみにチーズを注文したのよ。


まあ、ビールは濁りってて、この街のビールにしてはあまり良いものではなかったし、チーズは妙に干からびてたよ。


「所でさ、相談って何さ~?」


「ああ、みんなにも詳しい事は話していなかったんだが、オレは昔、傭兵をやっていた時、今と違う名前を名乗っていたんだ」


「あ~、サレムの仲間がなんか言っていたやつ?」


「そうだ。オレがいた傭兵団はな、あまりいい傭兵団じゃなかった・・・いや、いい傭兵団ってのも聞いたことがねえがよ・・・」


「な~に~?若い頃やんちゃしてたわけ~?」


「そうだな。認める。傭兵団にいる限り、道徳に反した暴力的な行動をして、それを強さであると、仲間達に知らしめなきゃ生きていけなかったんだ」


「ほぉ~、男社会の悪い面が出てるねぇ~・・・」


「それが嫌で止めたんだが、今日のサレム達を見て、過去の自分を思い出しちまってよ・・・オレは本当に今の仲間達と一緒にいていい人間なのかって思っちまってさ・・・」


「へぇ~、プロテイウスも悩む事あるんだねぇ~」


「なんだよ。悩み無さそうに見えていたか?」


「いいんだけどさ、悩んだりして~。でも、過去にどんな事があろうとも、あたし達は今のプロテイウスを大事な仲間だと思ってるし、それを知ったとしても関係は変わらないよ。言いたく無い事なら、無理に言わなくたっていいんだしさ」


あたしはビールを飲みきって、手を付けていないプロテイウスのビールのグラスを取り上げたのよ。


「相談料~。ビール1杯、安いよ~。あ、チーズは食べてもいいよ~」


「何が食べていいよだぜ。こんな干からびた干し草みてぇなチーズ」


「所で、なんでメメシアじゃなくてあたしに相談なのさ?」


「だって、メメシア怖ぇじゃん」


「あ~、同意~。」


相談なんて少しの間で終わってさ、後は雑談してたんだわさ。




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