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第111話 レーベ ウォール マイン シェッツ

『飲酒が技術ならば、知識と努力を伴う』

―社会心理学者エーリッヒ・フロンガス―




まさか、テジーナが魔王軍の仲間!?

え?いや?そんな馬鹿ななのだわさ!?

あんないい子が魔王軍な訳が無いんだわさ!!


「マジョリンさん・・・まさか、こんな所で出会うなんて・・・神様は、残酷な運命を用意するのですね・・・」


「えっと・・・なんでテジーナはこんな所に・・・あ、もしかして、あたし達の援護に来てくれたのかねぇ?」


「マジョリンさん!目を背けないで!私がどの方角から来たか、わかってるんでしょ!」


「え・・・それじゃ・・・1人で・・・」


テジーナは振り返るのよ。

なんかきょろきょろしてるのよ。

そして、壮大な舌打ちをするのよさ・・・


「ついて来ていた仲間は・・・消えました。逃げたのだと思います」


「そ・・そうなんだ・・・」


「マジョリンさん・・・私は魔王軍の」


「ちょっと待って。ほら、今なら目撃者も少ないし、逃げるならほら、今の内なんだわさ」


「マジョリンさん・・・もう、私に、逃げる場所は無いんですよ」


「わかった!あたしがみんなに説明するから、だから、戦うとか止めよう!ね?!」


「私は魔王様に忠誠を誓っているんです!」


必死に止めようとしても、テジーナは戦うつもりなのだろうねぇ・・・


「マジョリンさんが、戦うつもりが無くても・・・私は少なくとも敵将を討たなければいけないのです!」


魔力がテジーナに集まって行くのがわかったんだわさ。

どうやら、あの魔法を使うみたいなのよ・・・


「英知の領域・・・メンデルスゾーン・・・」


簡単にやらせはしないんだわさ・・・


「禁術・・・拒絶魔法・・・ドゥハスト・・・」


「「発動!!」」


その瞬間、全ての音が止まったのよ。

そして、草も風になびく事は無く、弾丸も落馬する騎士も空中で止まり、誰一人として動く事は無い・・・

どういう原理かはわからないが、時が止まったと表現するのが一番しっくりくる状態なんだわさ・・・

そして、その中で、テジーナだけが動いて、走りだしたのよ。

あたしはテジーナの前に出て、進路をふさいだのさ。


「なっ!!なんでっ!!?私の領域に入って来れるの!?」


全ての動きが止まった世界で、あたしとテジーナだけが動いているのよ・・・

テジーナにとって、あたしが動いているのはイレギュラーなのだけどねぇ。


「拒絶魔法だわさ。あたしは全ての影響を受け付けない状態なのよ。でも、制御しているからね。だから、テジーナとお話しは出来るんだわさ」


「マジョリンどいて!その大将殺せない!」


「どかないわ。テジーナの手を汚させはしないんだわさ」


「もう、私は罪を背負っているんです!」


「止めようよ・・・そんな自暴自棄に戦ったって、魔王の為にもならないんだわさ。ほら、悔い改めて、告白して、懺悔すれば許される内に」


「魔王に加担した者、煉獄よりも底の地獄に突き落とされる運命なんです!」


「・・・じゃあ、免罪符買おうよ」


「免罪符如きで救われる話しでもないし、免罪符のおかげで世の中は乱れたのです!」


「・・・まあ、地獄には古代の哲学者達もいるみたいだから、案外、楽しい場所かもしれないから」


「変な慰めは不要です!」


「あたしは・・・あんたと飲んでるあの空間が楽園なんだわさ・・・あたしは、楽園を失いたくないんだわさ」


「私だって、失いたくないですよ!」


「じゃあ、止めよう。ね?」


テジーナは涙を流してあたしの顔に手の平を向けたんだわさ。


「ごめんなさいマジョリン・・・シュテルケシュトラール!」


激しい光線があたしの顔面を包み込んだんだわさ!

正直、拒絶状態のあたしにダメージは無いんだけど、まぶしいとか、やられたとかよりも、悲しい気持ちになったんだわさ・・・

テジーナは走ったのよ。

拒絶魔法を使っているあたしは、重力からも開放されているから、早く移動が出来ないんだわさ・・・

このままじゃテジーナがフィリープ殿下を手にかけてしまうと思ったその時だったのよ。


「デウスロヴォルト!!」


けたたましい声と共に、天高くそびえ立つ光の十字架が出現したんだわさ!


「黙って話を聞いていれば・・・」


メメシアがこの時が止まった空間に介入して来たんだわさ!


「なんで・・・私の領域に入って来れるの!?」


「どんな魔法も所詮、人の産物です。神より授かりました奇跡、このような空間に介入する事など、容易い事なのです」


「あ、あなたは何なの!?」


「わたくしは、マジョリンの仲間です」


「仲間!?関係ないわ!どいて!私はそこの大将を討ち取るの!」


「正直、フィリープ殿下は、教会側として、いなくなってもらうと助かりますが」


助かるんかーい・・・


「不本意に討たれる事は許しません。彼には彼に与えられた天命に従ってもらう必要があるんです。それは、教会世界の為、そして、過酷な未来の先にある希望の為にもです」


「何を言っているのか、よくわからないけど、天命?私は魔王様の為に戦う運命なのよ!」


「ならば、何故、辛そうにしているのですか?悲しみの涙をこぼしているのですか?運命に従える喜びを感じずして、それは何なのでしょうか?」


テジーナは黙ってしまったのよ・・・


「わたくしは、わたくしの最愛の仲間であるマジョリンの友であるあなたを救いたい。あなたが悔い改めての道を進む事を手助けしたい。魔王というしがらみから抜け出して下さい。あなたの為にも、マジョリンの為にも」


「でも・・・でも・・・」


「魔王は、あなたが死んで悲しみますか?」


テジーナは静かに降伏したんだわさ・・・

そして、テジーナの魔法は解除され、時は動き出した。

巨大な2頭の虎は、ハレルとプロテイウス、そして他の兵士達の協力もあって、なんとか倒すことが出来たのよ。

騎士に指揮を下す相手のリーダーは、いくつもの弾丸を身に浴び、ついに落馬した・・・

こうして魔王軍の騎士達は包囲され、殲滅されたのよ・・・




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