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第109話 攻城戦場のアーマゲドン

『飲酒については争う事しか出来ない』

―哲学者カント―




ファールツ宮中伯の軍と合流したんだわさ。

そこで、あたし達は勇者隊を率いていたケーフィルヒルトと、騎士であり勇者であるシグルフリードと再会したんだわさ。


「おや、勇者ハレルとその仲間達ではないですか」


相変わらず、ケーフィルヒルトは調子がよさそうなんだわさ。


「それと・・・その、め、メメシアさんも・・・」


でも、何故かメメシアを前にして、顔を真っ赤にするケーフィルヒルト・・・

やはり、褒美とは言え、50回以上もキスをした相手、百合の花が咲きそうなんだわさ。


「ケーフィルヒルトさん。あなたも魔王軍討伐に参加して下さっていらしたのですね。とても、心強いです」


「あら、メメシアさん。わたくしがいれば、負ける事はありえません事よ~」


「また、活躍した者に褒美を与えるのですか?」


ケーフィルヒルトはさらに顔を赤くしたのよさ。


「こ、今回はありませんわ!ま、魔王軍を討伐した事が名誉ですもの!それこそ、今日と言う日を、子に、孫に自慢し続ける事ができる。最高の名誉ですわ!」


もはや、褒美にキスをする事は、ケーフィルヒルトにとって、黒歴史のようなんだわさ・・・

黒歴史のスパンが短いけど、黒歴史なんだわさ。



☆☆



山頂に魔王軍が籠城する城が見える所まで来たんだわさ。

討伐軍は平原に陣を構えたのよ。


「城の周辺にも多くの兵がたむろっているようじゃのう」


「フィーリプ殿下。この状況、どうやって攻め込むつもりなのかねぇ?」


「まあ、見ておれ。この前、マカフシが手配してくれたいい物があるのじゃよ」


すると、大地を揺らすが如く、大きな爆裂音が鳴り始めたんだわさ!

フィーリプ殿下の軍の大砲が一斉に火を吹いたのよ!


「最新の砲じゃ。鉄の塊りをあの城にぶち当てて、破壊しつくしてやるのじゃ」


山頂の城の周辺から土煙が上がるのよ。

何発か命中があったみたいなんだわさ。

その後も大砲はどんどん弾を撃ちだして、城や、城周辺に着弾しているのが見えるんだわさ。


「従来の砲よりもかなり性能が良いのう。この飛距離、そして弾の着弾範囲、どれをとっても一流品じゃ。もはや、時代は火砲じゃのう」


フィーリプ殿下の軍が砲撃を加え続ける中、ファールツ宮中伯軍も砲撃の準備を整え、そして、砲撃を開始するも、弾は山の麓に着弾し、城に届いていないのよ。

これが大砲の性能の違いなのねぇ~・・・


「これじゃ益々、オレみたいなやつが意味をなさなくなるな」


っと、皮肉を漏らすプロテイウス・・・


「攻城戦は長期戦になるものだったんだが、これじゃ城が役に立たない。まさか、山の上にある城を平野から一方的に攻撃できるなんて、相手も思っていなかっただろうな・・・」


一方的に砲弾を浴びる魔王軍の城を眺めて、なぜだか少し、悲しい気持ちにもなったんだわさ。

大砲という凄い兵器の出現によって、色々変えられているようで、あたし達のこれから行うはずだった戦いが変わってしまったようで、妙な気持ちだったのよねぇ~・・・



――――激しい轟音、城が揺れる衝撃。

包囲軍の砲撃は凄まじい・・・

山城は砲撃に対して有利な位置だと思っていたが・・・

敵の使う大砲は、これまでの大砲よりも威力が高いようだ。

砲弾はたやすく城壁を貫いたのだ。

早くも負傷者が出ている・・・

砲弾が城に命中する度、石片が、砲弾の破片が飛び散り、籠城する兵士達を襲う。

回廊は血に染まり、生臭い臭いがたちこんでいた。

こんな砲撃が続けば、籠城し続ける事は困難だ。

そう思った時だった。


外でブイジーネがけたたましく吹き鳴らされた。

魔王親衛騎士団が出陣したのだ。

あの大砲を討つ為に、親衛騎士団は馬を走らせる・・・

親衛騎士団に続いて、城の周辺にたむろする兵も続いた。

親衛騎士団の団長、ヨトゥン・パイパーは演説し、兵士達を奮い立たたせ、多くの兵を引き連れて行く。

兵力は大きい。

上手く当たれば突破出来ない事は無いだろう。

彼等はまさに、魔王軍の希望だった。


「た、大変だ!ジッヘンハイム様が!」


兵士の悲鳴のような叫び声。

神は我らに味方をしてくれない。

私は慌ててジッヘンハイムがいる広間へ走った。

天井に大きな穴が開いていて、2、3人の兵士だったものが転がっている・・・

そして、砲弾の破片を身に受けて、負傷したジッヘンハイムが横たわっていた。

砲弾の破片は鎧を容易く貫いている・・・


「手当をする!はやく彼の鎧を脱がして!」


彼に今、死なれては困るのだ。


「手当などいらぬ。少し、驚いて転んだだけだ」


そう言うと、ジッヘンハイムは立ち上がったのだ。


「ジッヘンハイム様!手当をしないと!」


心配する私の意見を聞かず、ジッヘンハイムは兵士から戦況を聞いている。


「テジーナ。彼はそういう男なんだ」


「ハルハート様・・・でも、結構な深手のはず・・・」


「彼は負傷していないふりをする。それが戦場において、彼の役目なんだ」


意地で戦うつもりなんて・・・

ジッヘンハイムはそういう所、妙に頑固で困る・・・

もはや、親衛騎士団の攻撃が上手く行く事を祈るばかりだ――――




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