表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/123

第108話 決戦の要城

『飲酒とは、恐れるべきものと恐れなくていいものを曖昧にできる知恵』

―哲学者プランクトン―




――――包囲を解いて、退却をはじめた頃に、多くの騎士が離反した。

ジッヘンハイム指揮下の魔王軍は大きく戦力を失ってしまい、城にたどり着く頃には約4,000と、半数以下にまで落ち込んでしまった。

しかし、魔王直属の親衛騎士団の出撃要請が通り、援軍が合流した。

魔王親衛騎士団の総数は500であり、数字的に大きく変化が見られない。

ただ、親衛騎士団を名乗るだけあり、練度は高く、重要な戦力と位置付けられた。


ジッヘンハイムの城、コロシュタイン城は改築に改築を重ねた強固な城である。

山頂に建てられた大きな城であって、難攻不落と言って過言ではない。

まさに、岩の塊りのようだ。


約4,500の兵力は、城やその周辺に駐屯し、来るべく敵を迎え撃つ準備を整えていた。


「魔王は何処にいるんだ・・・」


不満そうに部下に尋ねるジッヘンハイム。


「魔王様は、その、さらなる援軍を求めて、山岳の国へ赴きました!」


それを聞いたジッヘンハイムは総代に舌打ちをしたのだ。


「まあよい。魔王本人が不在ならば、オレが代理の魔王だ」


そこへ、親衛騎士団の軍団長ヨトゥン・パイパーと、剣士のメルダースがやって来た。


「ジッヘンハイム殿。魔王様はお怒りだ。騎士が集まったからと、攻勢に出る決断が早すぎたのだ。本当に味方に入れるべきは農民達だったのだ。帝国全土の農民達に反乱を起こさせる事が目的だったのだ」


パイパーの強い言葉に、ジッヘンハイムはパイパーを睨みつける。


「農民がどれだけ反乱を起こそうが、国はひっくり返らん!騎士が集まった時こそ、攻め時だったのだ!」


パイパーはあきれている様子。


「それで、この結果だ。ジッヘンハイム殿、集まった騎士は今、何処にありや?何処にありや?・・・世界は知らんと欲す」


パイパーの挑発的な態度に、ジッヘンハイムは怒り、パイパーの胸倉を掴んだ。

しかし、パイパーは冷静で、剣を抜こうとしたメルダースを片手で制止する。


「ジッヘンハイム殿。冷静にして下さい。敵は私よりも下劣な言葉であなたを罵るでしょう。激情に流され、判断を間違えてはなりません」


ジッヘンハイムは手をはなし、下がった。


「城の守りはあなたに任せます。私は包囲する敵を討って出ましょう」


「っへ、親衛騎士団なんて言う、魔王のお飾りに何ができるんだか」


「出来る事をお見せしましょう。そして、敵の包囲が崩れた所を、城から兵を出し、包囲を完全に崩壊させるのです。よろしいですね?」


「っは?!勝手にやれ!」


パイパー達は立ち去って行った。


一連の会話を見聞きしていたハルハート様は困っている様子。


「友よ。あの親衛騎士団の団長は気に食わない野郎だが、彼の作戦に乗るしかないようだ」


「っは?!このコロシュタイン城の守備力は世界一イイイ!あんな野郎に頼らずとも愚かな諸侯共の鼻をへし折ってやる!」


ここに来ても意見が対立するなんて・・・

魔王軍はどうも、個々の意見が強すぎるようです・・・


私は気になって、パイパー達の後をつけてみた。

すると、2頭の巨大な虎がパイパー達を出迎えていたのが見えた・・・


「魔王の魔女よ。この虎は私がちゃんとしつけてある。下手に噛みついたりせぬ。安心するとよい」


2頭の虎は大人しくパイパーに撫でられている・・・


「この虎は・・・魔獣ですか?」


「そうだ。ケーニッヒティーゲルと言う。召喚できる魔獣の中では最強クラスの魔獣だ」


「それは、重要な戦力ですね」


「その通りだ。私はこの戦い、全力を持って戦わせてもらう」


どうやら、親衛騎士団が頼みの綱のようです――――



あたし達はフィーリプ殿下の率いる軍に合流したんだわさ。

プロテイウスは歩けるまで回復したものの、まだ、本調子ではなかったんだわさ。


「オレは・・・役に立っているのか・・・」


それに、戦って負けた相手をメメシアが力の差を見せつけるように叩き潰した事も気にしているようで、重度のしょんぼりメランコリーなんだわさ。


「プロテイウスの良さは・・・その、力だけじゃないんだわさ」


「力が劣るオレは無だ・・・」


「えっと、その、ほら、プロテイウスは他にもいい所、あるんだわさ!例えば・・・例えば・・・」


「・・・出て来ねえじゃねえか」


これでは全然、フォロー出来ないんだわさ・・・

すると、フィーリプ殿下が近づいて来たのよ。


「プロテイウスよ。世界にはどうあがいても乗り越える事の出来ぬ大きな山があるのじゃ。ただ、小さな山でも登にあたって、遭難する者もおる。何も世界の一番の高さを登れずとも、十分凄い事なのじゃ。そなたはそこらの兵が10人束になってかかっても打ち倒す力がある。それも奇跡術も使わず、魔術にも頼らずだ。それでいて弱いと嘆くなんて、そなた以下の者に失礼であるぞ」


プロテイウスは黙り込んでしまったのよ。


「トーナメント試合なら1対1であろう。しかし、そなたに求められるは戦働きじゃ。どう立ち回って敵と戦うかを熟知しておるそなたが戦力外になるなど、あり得ぬ事じゃ」


流石殿下、いい事を言うんだわさ。


「所で殿下。魔王軍の居城を攻めるのは、殿下の軍以外にあるのですか?」


「ファールツ宮中伯の軍も参戦してくれる。これで我らの軍は、帝国内において最強であろう」


そうなのねぇ~・・・これで、魔王軍に勝てるようなんだわさ。


「徹底的に叩き潰そうぞ。余は、魔王に勝る」


おっと、フィーリプ殿下、黒い部分がにじみ出ちゃってるんだわさ・・・

でも、危ない男、嫌いじゃないのよさ。


「マジョリン・・・メスの顔になってますよ。みっともない・・・」


メメシアに痛い所、突かれたんだわさ。


「・・・マジョリン、殿下と何かあったの?」


ハレルもチクチクとたずねてくるのよ・・・


「変に気にし過ぎなんだわさ」


もうねぇ、火遊びぐらい、したってねぇ~・・・

まあ、実際はガチで、ただあたしがゲロっただけだったんだけどねぇ・・・




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ