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第107話 若武者方伯

『純粋な喜びは勤労後の酒である』

―哲学者カント―




魔王軍の包囲が解かれ、魔王軍は退却し始めた・・・

そして、魔王軍撃退に一役買ってくれたフリーデスラ方伯こと、フィーリプ殿下がトレビレンシス市に入場したんだわさ。

フィーリプ殿下は大司教に会って、何か会議をはじめたのよ。

その会議に、あたし達も招かれたんだわさ。


「勇者ハレルよ。マジョリンよ。メメシア殿。久しくあるのう。おや、プロテイウスはいかがした?」


「フィリープ殿下。プロテイウスは負傷して、今はまだ、安静にしています・・・」


「そうであったか。早い回復を願うばかりじゃ」


「フィリープ殿下。我々に何か重要な話があると聞きましたが・・・」


「そうじゃ。余の軍に参加してもらいたいのじゃ」


「フィリープ殿下の軍に?」


「そうじゃそうじゃ。魔王軍を叩くなら今がいいチャンスなのじゃ。余は魔王軍、あの憎きジッヘンハイムを討ちたいのじゃ。協力して頂きたいのじゃ」


メメシアは悩んでいる様子だったのよ。

改革派思想のフィリープ殿下と組む・・・

メメシアは立場的に悩んで当然だったんだわさ。


「メメシア殿。今は教会勢力の事で悩む時ではないぞ。神に歯向かう不届き者を討ち倒す事は思想が食い違えども、行うべきではないか」


確かに、殿下の言う通りなんだわさ・・・

共通する敵、敵の敵は味方的なやつなんだわさ。


「メメシア・・・ボク達は、魔王を倒す事が目的だし・・・組んだとして、ボク達が改革派思想を受け入れた事にはならないと思うよ」


ハレルがメメシアを説得した。


「そうですね・・・人類の脅威を廃除する為の同盟です・・・フィリープ殿下。あなたの魔王討伐軍に参加しますが、我々は我々の思うよにやらさせて頂きます。よろしいですね?」


「よいよい。魔王を倒す為じゃ。それ以上に意味は無い」


こうして、あたし達はフィーリプ殿下の魔王討伐軍に参加する事になったんだわさ。


「ジッヘンハイムは我々が追撃してくる事をむしろ望んでいるかのように籠城戦へ持ち込むであろう。彼はそこで我々を撃退すれば、諸侯にその力を知らしめる事ができると企んでおるはずじゃ。やつの考えを打ち砕いてやろうぞ」


「しかし、フィーリプ殿下・・・何か妙にノリノリじゃないかねぇ?」


「マジョリン。わかってしまったかね?余は魔王に、ジッヘンハイムに恨みがあるのじゃ。我が若くして方伯を継承したからと、散々領地を脅かされて来た・・・払った和解金も多い。余はやつらを討ち、奪われたものを奪い返すのじゃ!」


それは、気合いが入るわけねぇ~・・・



☆☆



その夜、フィーリプ殿下に誘われて、殿下が泊る屋敷にあたし1人で向かったのだわさ。


「よく来てくれた。こうして一緒に飲むのは久しいのう」


屋敷の広間では、殿下とお付きの人達がお酒を用意して待っていたんだわさ。


「フランコノファードでの飲み会は、ドラゴン城伯の息子もいたり、トケツスタンの商人のショタもいて、賑やかでしたねぇ~」


「ああいう賑やかなのも悪くないが、余はマジョリンとさしで飲んでみたかったのじゃよ」


あたしはソファーに腰をかけると、フィーリプ殿下はあたしの真横に来たのだわさ。


「ここら辺も西の国のいい酒が入るから、酒飲みとしてはうれしい事ではないのか?」


「いや~、あたしは酒飲みですが、基本はビール派なもんでねぇ~・・・でも、色んなお酒を飲む事はうれしい事ではあるけどねぇ~」


あたしの前に、ガラスのゴブレットに注がれたブラントワインが置かれたのよ。


「これは樽で熟成された良いブランデーじゃ。おっと、ブラントワインと読んだ方がわかりやすいかのう?良い畑で育った良い葡萄を使って作られる最高品質のブラントワインじゃ」


「そんな高級なお酒・・・あたし、味わかるかしらねぇ~・・・」


「マジョリンの評価が聞きたいのじゃ」


まあ、そこまでお願いされるならねぇ~・・・

グラスに注がれただけの状態でも、すごくいい香りが漂うのよ。

まるで琥珀のような色、お高い事を考えると、まさに飲む宝石のようなのだわさ。

グラスを持って、口に近づけると、その香りも強く感じるの。

そして、1口・・・


「これは・・・果物のような甘み・・・それも洗練されたべたつきの無い甘みで、どこから出てるのか不思議な感じさえするのよさ。そして、アロマな香りがもう、脳天にまで広がるような感覚・・・飲んだ感じ、強いお酒だけあって、熱い感覚が喉の奥から胃まで感じるんだけど、それがとても優しい暖かさに感じるのよ。もはや、飲む宝石に間違いないんだわさ」


「やっぱり。マジョリンの解説は聞いていて楽しいのう」


っと、フィーリプ殿下は笑顔で、あたしがグラスを持つ手を握ったのよ。


「えっと・・・これは何かねぇ~?」


「人肌の温度で少し暖かくすると、味が変化するのじゃよ」


「味辺?!」


そう言われて、しばらくフィーリプ殿下の手が、あたしの手を包んでいるのよ。

妙に体は密着して、あたしはドキドキなんだわさ。


「そろそろ、飲んでみるのじゃ」


言われるがまま、あたしはもう1口・・・


「確かに、さっきよりも香りが、フルーティー感が増したんだわさ!」


「そうじゃろ?」


美味しいお酒、流石フィーリプ殿下なんだわさ。

この後も色々飲んで、あたしゃとてもいい気持ちなんだわさ。


そして、気が付けば、あたしゃベッドの上で寝ていたのよ・・・


「・・・頭痛いのよさ」


なんか、服も何処に行ったのか・・・

あたしゃ~裸で寝ていたみたいなんだわさ・・・

となりでもぞもぞっとして、フィーリプ殿下が布団から顔を出したのよ・・・


「おはようマジョリン。昨夜はお楽しみでしたのう」


「・・・お酒飲んでいる所以降、覚えてないのだわさ」


すると、殿下はあたしに抱き着いてきたのよ。


「だったら、思い出させてあげようぞ」


色々思い出させられたんだわさ・・・


あたしは昨晩、調子に乗って飲みすぎて、リバースしてしまい、服が汚れた状態でつぶれてしまって、服を脱がされ、ベッドに運ばれて、殿下が心配だからと付き添ってくれていたとの事だったんだわさ。

殿下の服まで汚してしまったのよねぇ~・・・


「ごめんだわさ・・・」


でも、殿下は優しいから、許してくれたのよねぇ~。


その後、メメシアからはこっぴどく叱られたんだわさ・・・




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