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第99話 改革者に安息は無い

『酒は決して悪を生まぬ。悪を生むのは誤謬の観念である』

―ジャン≒ジャック・ジャソー―




帝国議会が閉幕したんだわさ。

だけど、まだ諸侯の間で色々話し合わなければならない事があるみたいなんだけど、カロリンガー5世だけ、都を離れて行ってしまったんだわさ・・・

彼は日の沈まぬ国の国政にも追われているようなのよねぇ~・・・

やっぱり、1人の人間が統治する領地の範囲を超えている人なんだわさ・・・


そして、宗教改革者のルザーも、今日で都を離れる事になって、あたし達勇者連隊の役目もこれで終わったんだわさ。

ケーフィルヒルトは連隊解散の挨拶をして、それなりの報酬が出たんだわさ。


「しかし、はるばる来て、巨人しか倒せなかったなんて、寂しい結果だぜ」


っと、デイトリーは不満を漏らすのよ。


「それだけ活躍したのならいいだろ。こっちは出くわしもしなかった」


っと、さらに不満そうなヴィンケルリート・・・


「はいはい、ってか、活躍できる場があるとすると、今後は改革派がいいかもな。オレ、改革派になろうかな~なんってな~」


「そうなったら、一番に相手になってやろう」


「おっかねぇ~。森林諸州の伝説の一番槍は冗談が通じなくて困るぜ。オオカミ少年の口も貫きそうだ」


この2人、あんまり仲良く無かったのねぇ~・・・


デイトリーとヴィンケルリートは、魔王討伐には向かう事は無いそうで、この後はシュヴァイツァーラントに帰ってしまうみたいなんだわさ。

まあ、あたしの妙な感なんだけど、シュヴァイツァーラント内ももしかしたら、宗教改革問題があるのかもしれないのよ。

彼等がこの帝国議会警備に参加したのも、改革派の動向を視察する意味があったのかもしれないねぇ~・・・

特に、森林諸州出身のヴィンケルリートからすれば、神聖帝国皇帝カロリンガー5世は仇である一族の者だろうしねぇ~・・・

まあ、余計な考えなんだわさ。


あたし達は、フィーリプ殿下の使いに呼び止められて、殿下がまた話がしたいと言っているみたいで、もうしばらくウォーム市に滞在する事になりそうなんだわさ。

まあ、メメシアはすぐに出て行きたい気持ちでいっぱいだろうけどねぇ~・・・



...................

ルザー達はウォーム市を後にした。

ルザーに与えられた猶予は3週間。

その間に国外に出なければならなかった。

彼はまず、帰路につき、自宅についたとしても急いで出て行く準備をせねばならないだろう・・・

ルザー達の乗る馬車の周りには、20人の騎乗した騎士が囲っていた。

警備なのか、下手な事を起こさないように見張りなのか・・・


「兄さん・・・例え、帝国が敵にまわっても、ボクは兄さんの味方だよ」


「それは兄さんではなく、最愛の人に告げる言葉だぞ」


「ルザー。力になれずすまなかったな」


弁護士のジョナスは自身の限界を思い知らされていた。


「落ち込むなジョナス。君がいてくれて助かった。君の力が無ければ、あの場に立つ事すらできなかっただろう」


街から街へ、大急ぎの移動であった。

そして、フランコノファードを過ぎた辺りの事だった。


馬車が止められたのだ。


「どうした?何が起きたんだ?」


近くの騎士に尋ねるルザー。


「あなたはここでじっとしていてください。魔王軍の兵です」


「何!?魔王軍の兵だと!?」


それは、ルザーをさらおうと企むジッヘンハイムとその部下達であった。

護衛の騎士達は隊列を組み、ジッヘンハイムの兵士達を近づけまいとする・・・

しばらく緊張の時間が過ぎた・・・


「かかれ!」


ジッヘンハイムの声に一斉に走り出す魔王軍の騎兵部隊!

それに対応し、護衛の騎士達も槍を前にして突撃した!

激しいぶつかり合い!

護衛の騎士達はトーナメントでも名をはせる手練れの集団であった為、強靭な魔王軍の騎兵に対しても劣る事は無かった!

ジッヘンハイムの騎兵は引き下がる!

それを追う騎士達!

すると、魔王軍の伏兵が姿を現す!

手には火縄銃や石弓が握られていた!

激しい一斉射撃!

しかし、手練れの騎士達は止まらない!

馬は火縄銃の炸裂音にもならされていて驚かず、騎乗の騎士達はすばやく身をそらせて弾丸や矢が当たりにくい体制をとる!

魔王軍の槍兵が前に出て構えた!

まるで槍の柵が出来たかのように騎士達の進路に立ちふさがる!

しかし、騎士達は臆する事は無く突き進んだ!

魔王軍の槍を押しのけはじき上げ、へし折り、重装甲の騎士達が魔王軍の兵士達を蹴散らしてゆく!

乱戦だった!

しかし、ジッヘンハイムの目論見はそこでは無かった!

騎士達を十分に引き寄せた所で、ルザー達が乗る馬車に向かって、身を潜めていた軽騎兵達が襲撃した!

馬車周辺には騎士達の付き人などがある程度武装していたものの、自分達の身を守るので手一杯だ!

ルザーの馬車に騎兵が迫った時、どこからともなく矢が降り注ぎ、魔王軍の軽騎兵達を射抜いたのだ!


別の兵団が出現したのだ!

護衛の騎士達は増援が来たのだと思った。

しかし、この兵団、魔王軍を追い払った後、馬車を襲い始めたのだ!


「な、なんだこいつらは!」


ルザーは腕を掴まれた!


「兄さん!」


「逃げろ!お前らは逃げるんだ!」


ルザーは弟とジョナスを蹴り、馬車から外へ無理やり出した!

2人は周りの謎の兵団に怯え、そして走って茂みに身を隠した!

別の馬車に乗った学生達も慌てて逃げて、茂みに身を隠している!


「離せ!馬鹿!止めろ!やめっ!!ぎゃあああああっ!!!たすけてぇぇえええっ!!!」


ルザーは罵声と悲鳴をあげつつ、謎の兵団にさらわれて行ってしまった・・・


「兄さん!!」


ジョナスは弟を止めた。


「大丈夫だ。きっと、彼等はルザーを守ってくれる!」


ジョナスには心当たりがあった。

サクソンラント選帝侯だ。

そして、彼の感は当たっていた。


さらわれたルザーはサクソンラント選帝侯の領内にかくまわれる事となったのだ。


ルザーをさらう計画に失敗したジッヘンハイムは兵を引き上げ、次なる計画の為に領内へ戻った。


ルザーがさらわれたという噂はあっという間に広まった。

ただ、誰にさらわれたかは一部の者にしかわからず、ルザー死亡説まで流れる始末だ。

この混乱が、帝国を揺るがす大騒動へとつながって行くのである・・・

...................




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