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第94話 集いし勇者達

『泥酔したまへ。君は後悔するだろう』

―思想家キムチゴール―




あたし達は使いの人に案内されて、宮廷の中庭に来たんだわさ。

見事な薔薇園で、いにしえの勇者達が激戦を繰り広げたとは思えない程、綺麗な中庭だったんだわさ。


ケーフィルヒルトさんがおちおち出てきたのだわさ。


「今日、勇者連隊に招かれし勇者達が集う」


ざわめくんだわさ。


「はずでしたが!」


これるんだわさ。


「3組の勇者パーティーから連絡が届きました」


連絡、それってなんなのだわさ?


「1組は・・・」


みんな、静かに聞くんだわさ。


「新大陸に行って冒険する為、不参加とのこと」


がっくし・・・


「もう1組は、魔王軍の襲撃を受け、勇者が死亡した為、参加できず」


ざわめくんだわさ。


「もう1組は・・・」


どうしたって言うのだわさ・・・


「改革派思想に目覚めた為、聖書に記載されていない勇者を続ける意味が無いと判断し、勇者を辞職したとの事」


ええ~・・・


「でも、改革派に目覚めたなら、ルザーを警護しに来るって選択はしなかったのかな?」


っと、ハレルがいい質問したのよ。


「えっと、手紙には忠告文も記載されていまして、もし、ルザーに何かあれば、神聖帝国に対して強く抗議しますとのことですわ」


それ、反逆宣言みたいなものでは?


「それでは、今いる者達での計画を発表する。まず、諸侯とルザー一行の護衛について」


っと、シグルフリードが説明しようとした時だったのよ。


「やっぱ、オレがお前の指示に従うのはなんかシャクにさわる」


っと、突然生意気ほざき始めた野郎がいたんだわさ!


「デイトリー・・・今回の重要な任務は神聖帝国の未来を左右するんだぞ」


デイトリー・・・このふざけた野郎がもう1人のシュヴァイツァーラントの勇者なのねぇ!?


「正直、神聖帝国の未来とか、どうでもいいってわけで、むしろ、混乱していてくれたほうがシュヴァイツァーラントの為になるっつーか?」


じゃあ、なんで来たし!?


「オレは強いやつと戦えるって聞いて来たんだ。それ以外はどうだっていい」


なんか、もう、連携が取れてないんだわさ・・・


兎に角、この会議で、シグルフリードは宮廷周辺の警戒を続け、ヴィンケルリートは諸侯の出入りを警護、デイトリーは街周辺での魔王勢力狩り、あたし達は街中の警護を担当する事になったんだわさ。


無事に、何も起こらないまま終わればいいけどねぇ~・・・


あたし達は街を見廻って見る事になったんだけど、まあ、あちこちに衛兵がいて、正直、見廻ってるあたし達が不審者みたいなんだわさ。

だから、何か異変が起きた時に駆け付けれるようにしたほうがいいと考え、街の中心の広場に待機したんだわさ。


「おや、勇者達よ。久しぶりじゃのう」


っと、声をかけて来る見覚えのあるのじゃショタがいたのだわさ。


「・・・・・・・ん?」


「余の事を覚えておらんのか?」


「あ!フィーリプ殿下!」


フリーデスラ方伯こと、フィーリプ殿下だったんだわさ。


「まさか主らが警備の勇者達に参加しているとはのう、少しは出世したものじゃ」


「でも、こんな所で何しているのですか?」


「余も帝国議会に出席するのじゃ。帝国の未来を決めるべく重要な議会である」


すると、大聖堂から、大きなラッパの音が鳴り始めたのだわさ。


「え?何?終末の始まり?!」


「あれは、重要人物が到着した事を知らせるラッパじゃ。そうじゃのう。終末の始まりかもしれぬ」


「重要人物なら、何か起こるかもしれないから、近くに行って、警戒した方がいいよね?!」


っと、ハレルは冷静な判断をしているようだけど、てんぱっている。


「まあ、彼は人気者じゃ。近寄れぬと思うぞ」


そう言い残して、フィーリプ殿下は去って行ったのよ。

あたし達は街の入り口に近づくも、人混みが激しくて、それ以上近寄れなかったのだわさ・・・


いったい、誰が到着したと言うのだろうかねぇ・・・



...................

天を突くように大きなラッパの音が鳴り響く・・・

ルザー達はようやくウォーム市に到着したのだった。

彼等は街の人達から、歓声を受けたり、罵声を浴びさせられたりと、ウォーム市民も意見が分かれているようだった。

意見の食い違いから、殴り合いを始める市民もいて、衛兵が彼等を力づくで止めていた。

ルザー達は市が用意した屋敷に滞在する事になった。


しかし、ルザー達に休息の時間は無かった。


「おじゃましまーす」


っと、ルザー達の滞在する屋敷に突然、来場者が訪れる。


「え?だ、誰?!」


「スタッフー!スタッフー!」


「いやいや、わたくしはサクソンラント選帝侯から頼まれて来ました、いわゆる使いの者です」


みんな、安心する。


「選帝侯より、この資料を託されています。帝国議会開催までに問題が無いか確認をして欲しいとの事です」


それは、『国民のグラヴァミナ』と題された、教皇や教皇庁への苦情書であった。


「・・・これを私が?」


「はい。グラヴァミナの代表者はあなた、ルザー様となっています」


「そんな、勝手に名前を使わないで欲しい・・・」


「でも、以前から話題になっていましたこのグラヴァミナに関して、ルザー様も何回か提言している書を出していると聞きましたよ」


いわゆる、話題性のある事に関しての書を出す、ある意味、売名行為をルザーはしていたのだ。


「まあ・・・確かに・・・そう・・・だけど・・・」


汗をたらたら流すルザー・・・


「もしかして、単純に売名の為に書いたなんて、言いませんよね?あの~、ルザー大先生がぁ~?」


この使いの者も結構なウザ絡みをしてくる。


仕方が無く、ルザーはグラヴァミナに目を通す事とした。


「おじゃまするぞ」


っと、また1人、ルザーにアポなしで訪ねて来た少年が現れた。


「え?だ、誰?!」


「余はフィーリプと申す」


すると、弁護士のジョナスは彼が誰だか気が付いた。


「フリーデスラ方伯殿下!?」


「そうじゃ」


ジョナスはルザーに耳打ちする。


「フリーデスラ方伯こと、フィーリプ殿下は、サクソンラント選帝侯と仲がいい諸侯の中でも有力な人物ですよ。粗相のないように」


「余はこの国の未来の為にも、そなたの意見が聞きたいのじゃ」


その後、フィーリプ殿下に話していると、他にも諸侯の使いやら、なんやらと集まって来て、ルザーに休息は無かったのだった・・・


「もう、宗教改革はこりごりだよー!」

...................




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