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4.お金の価値とギフト、そして依頼


 冒険者ギルドに行き、リナアルアさんが言っていた二階の資料室に向かう。

 僕にはこの世界の常識が足りない。ギルド長が着服したという書類を盗むにはある程度の信頼が必要だ。怪しまれないためにも情報を集めないと。


 色々な資料を見て分かった。まずはお金、貨幣だ。

 貨幣には種類があり価値としては下から銅貨と大銅貨、銀貨と大銀貨、金貨と大金貨がある。主に使うのは銅貨から銀貨のようで、それ以上の大銀貨、金貨、大金貨は貴族や王族が使うみたいだ。ちなみに貨幣はガルドと呼ぶらしい。


 それからギフトに関するもの。

 ギフトは神様から与えられる不思議な力で、それを女神教が管理している。女神教の教会で祈ればギフトが与えられ、強力なギフトであれば貴族になれたり、王国軍のために王都に行くこともあるみたいだ。

 稀にギフトを与えられない者やギフトが弱い者もいるが、その人たちは基本的に庶民だそうだ。

 そして、ギフトは遺伝することもある。親と同じギフトが子に与えられることがあり、他にも親のギフトが混ざったような新しいギフトを与えられることも。


 そこまで調べて僕は資料室を出た。とりあえずお金とギフトのことが分かったから依頼をしなくちゃ。宿に泊まるお金、稼がないと。


「ヒノさん、本日はどうされましたか?」


「リナアルアさんが昨日言っていた下水道の掃除と孤児院の依頼を受けたいんですけど」


「わかりました。では、それぞれの依頼の詳細を話しますね。孤児院からの依頼では主に子供の相手をしてもらい、神父とシスターの手伝いをして欲しいそうです」


「なるほど。ちなみに報酬はどのぐらいなんですか?」


「えぇと、ちょっと待ってくださいね。……孤児院の依頼は銀貨四枚ですね。神父とシスターの評価次第で報酬が追加されます」


「下水道の方は?」


「そちらは冒険者の皆様がしたがらないので報酬がどんどん上がって、今は銀貨六枚に大銅貨八枚ですね」


「そうなんですね。ありがとうございます」


「いえいえ。それで下水道の詳細なんですが、低級の魔物が棲みついているそうで倒してほしいそうです。それと、下水に浮かんだゴミの回収ですね」


「なるほど、ゴミの回収ですか。低級の魔物というと?」


「スライムですね。一応、スライムコアは討伐証明になりますしギルドで買い取りもしてますから」


「買取価格は?」


「銅貨一枚ですね」


「わかりました。先に下水道掃除の依頼をしたいんですけどいいですか?」


「構いませんよ。では、冒険者カードを」


「どうぞ」


 そう言って冒険者カードを渡すとリナアルアさんは奥に行き、数分もしないうちに戻ってきた。


「お返ししますね。それと、下水道の場所です。それでは行ってらっしゃいませ」


 ギルドを出て、渡された地図を見ながら下水道の入り口に向かう。


「ここか」


「アンタが依頼を受けた冒険者か?」


「まぁ、はい。これ、冒険者カードです」


 冒険者カードを見せると下水道の管理人は僕の体を見て言った。


「そんなにひょろくて大丈夫かよ、装備もしてねぇし。ま、依頼をこなしてくれればいいけどよ。ほらよ、魔力灯とゴミ回収用のトングにゴミ袋だ。壊すなよ? それと、鍵。中に入ったら閉めろよ? 魔物が出てくるからな」


「わかりました」


 フェンスで囲まれた入り口を開けて、中に入り鍵を閉める。なくさないように収納に入れておくか、冒険者カードも入れておこう。

 階段を下っていくと暗い下水道が見えてきた。この魔力灯? どうやって付けるんだろう? 『鑑定』。


‐‐‐‐‐

『魔力灯』

魔力を用いて明かりをつける魔道具。取っ手のとある部分に触ると、勝手に魔力が吸い取られる。

‐‐‐‐‐


 やっぱり鑑定しょっぼ。


 取っ手のとある部分……これか? なんかお腹のあたりから暖かいのが吸い取られてる感じ。ちょっと気持ち悪い、けど周りが見えるようになった。

 レンガ調の石壁があって真ん中には下水路、両端に通路があって降りてきたここは……左側の通路みたいだ。歩いていくと下水路にゴミが浮いていた。

 渡されたトングを使ってゴミを袋に入れる。下水路にはいっぱいゴミが浮かんでいてトングで取るのも一苦労だった。少し腰が痛い。

 そういえば範囲を聞いてなかったな。奥に行き過ぎると迷うし、ここらへんで切り上げるか。


 そう思って入り口に戻ろうとすると何かゲル状のものが現れた。なんだこれ? 『鑑定』!


‐‐‐‐‐

『スーエッジスライム』

ブルースライムから進化したスライム。汚水を好む。

‐‐‐‐‐


 これがスライム。ブルースライムから進化、ね。進化っていうのはよくあることなのかな? 帰ったら調べよう。今はとりあえずこのスライムを倒さないと。


 とはいっても、どうすれば? 武器も持ってきてないし……あれ、もしかして僕ちょー無防備なのでは? 防具も武器もない。あるのは下水路に浮かんでたゴミの入った袋とトングと魔力灯だけ。絶体絶命?

 いやいや、落ち着け。確かに入り口に戻るにはスライムを倒さないといけないけど……いったん体制を整えるために逃げよう!

 待ってろスライム! 必ず倒してやる!



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