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どうも、異世界召喚に巻き込まれた勇者です、勘弁してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

異世界召喚に巻き込まれた一般人の小出安 小田。そんな小田が授かったスキルはツッコミ。そしてこれは、巻き込んだ側の勇者一行が敵を肥料化スキルで打ち倒していったり(農家)、呪術で使う藁人形ごと直接魔物に刺して倒したり(呪術師)する中ツッコミによって異世界を救おうとする勇者の物語である

僕は小田。どこにでもいるような普通の男子高校生である。


さて、ここで突然ながら問題です!!

17歳の夏、そんな青春真っ只中な僕らは今とあるところを訪れています。さて、どこでしょう!海?山?それとも花火を見に夜の河川敷に繰り出してたり…????




しかし、残念―!全部ハズレです!

正解は…

どっかのお城の「謁見の間」ってやつです!!


もちろん授業でこんなところに来るわけもなく、当然みんなでどこかのお城に遊びに来ているわけでもない。

なぜこんなことになっているのか。



それは突然の出来事だった。


「――――――60度で――――――で、ここが45度になるーーーーーーーーー」

期末試験も終わり、クラス全体が夏休みの気配に少しだけ浮足立っていたある日。

いつもうるさい数学の先生が問題を解いているのを見ながら、窓の外を見る。



そんな時だった。強い光が目の端に映る。まぶしっ!そう思い、鏡を持っている奴を睨もうとして何かがおかしいということに気づく。


「な、なんだ!!なんだよ、これ!!ま、魔法陣……!!?しかも広がってる!!」

誰かがそんなことを叫ぶ。その言葉を皮切りにパニック状態になる室内。そして、パニックと魔法陣が教室内を完全に包み込んだと同時にひときわ強い光が放たれ、僕らはその光に飲み込まれたのだった。



「………ここは?」


謎の光に包まれ気を失っていたようだ。ゆっくりと目を開け、明らかにきらびやかな天井に驚く。

「…知らない天井だ。」

なんて、アニメの世界でしか聞いたことのない言葉をつぶやきながらゆっくりと体を起こして辺りを見る。

そこには僕と同じく倒れるクラスメイトの姿があった。どうやら彼らも僕と同じように目を覚ましたらしい。既に起き上がっている者もいる。



「**!!*****!!!!!!!!!!」

遅れて聞こえてくる誰かの歓声。慌ててそっちのほうを見ると高い位置に座り金の王冠をしている偉そうなオジサンとその近くにいる本を持つイケオジに剣を持つイケメンに杖を持つイケメン。そしてフードをかぶっていて今も騒いでいる10人くらいの変な集団。





「おい、今回はどこの国だ!急に呼び出すなんて!!」

「またかよー、しゃーないな!!よっしゃ、煌輝!今回もサクッと解決しちまおうぜ!!」

「お、またかぁ!なら、また頑張りますかぁ!沙織も一緒に頑張ろ!」

「またなのね…、はぁ…。仕方ない、頑張りますわ。雫も頑張りましょ。」



そして、倒れている僕らとは違い、しっかりと立つ4人。天王寺煌輝、五里龍之介、八重山雫、そして御子柴沙織。彼らは何故か平然とした顔つきで、普通に会話をしている。



???????いやいやいやいやいや…。……。……。意味わからんて。

パニックにも近しい狂喜乱舞の集団を見た後に、これがまるで日常の一部であるかのように平然と振る舞うクラスメイト。そんな非日常に


「勇者様!よくぞおいでくださりました!!どうかこの世界をお救いください!」

更に非日常が降り注いだ。


かくして僕らはこのどこかともわからない謁見の間とやらにいるというわけである。





そう、僕らは俗にいう「異世界召喚」とやらをされた煌輝ら4人に巻き込まれたらしい。


召喚されたのは、僕も含めて全部で30人。煌輝によるといままで何度もこんなことがあったらしい。しかし、他の人が巻き込まれたのは初めてだという。


この国の王様の説明、そして煌輝達による説明を受けたクラスメイトの反応は様々だった。

明らかにテンションが上がる奴、不安そうな顔をする奴、ほくそ笑む奴。女子の中には仲のいい同士で抱き合いながら泣き出す奴もいた。




うわー、これっていわゆる異世界召喚物じゃん!!

かくいう僕は少しだけテンションが上がっていた。そりゃそうだ、勇者は煌輝で、勇者パーティーは煌輝達4人なのだ。そして僕らは死なないようにすればいい。



ラッキー、ヌルゲーだぁ!!!

僕自身、この手の小説が好きなだけあり、こういう小説のテンプレは知っている。勇者様は強くみんなを導き、そしていじめられっ子は何故か闇落ちか実は強いキャラかの2択。そして、基本的に立ち回りさえミスらなければモブは死なない!!!!つまり、僕の安全は今保証された!!


説明が終わり、ざわつき始めたクラスメイト。そんな中煌輝が声を上げる。

「みんな!一回落ち着いてくれ!!」

き、きたぁ!!



僕は内心で大声を上げる。そう、これは召喚物あるあるその1である、「クラスの中心人物がクラスをまとめる」だ!!そして、このままスキル確認とかジョブ確認とかが来て、クラスの中心人物が勇者になってその周りの奴らが聖女とか剣聖とかになる!!


「俺がその勇者だ。一応、10回以上召喚され、この4人で魔王を倒してきた。だが、今回は何故か他の奴らまで召喚されている。どういうことか説明してもらおうか!!」


わぁお!勇者様って以外と優しー。そんなことを思ったのもつかの間、フードをかぶっている集団から一人が進み出てくる。



「そ、それは私から説明させてください!!」

そういいながらその人はフードを外す。艶やかな金髪ロングに青い瞳、色白なのに決して不健康には見えない、陶器のようになめらかな肌、そしてまるで芸術品科の如く整った容姿。



「私はこの国の第2王女サンドラです」

キター!あるあるその2!!!美少女の王女様!!


「勇者様どうか我々をお救いください!!」

からのその3!!涙目声の訴えかけ!!!


「私たちにはもう時間がないのです!!」

からのその4!!もう時間がない発言!!!!これはコンボが決まったぁ!!!!!!


「この世界は魔王によりバグってしまったのです!!!」

からのそのg・・・。



ん?今のもう一度。


「ですから、この世界は魔王によりバグってしまったのです。制御できていたはずの魔法が制御できなくなり、その結果がこの度の巻き込まれ召喚なのです」





……OK、オーケィ、完全に理解したぜ。

こんなのテンプレにないんですけどぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!


全力でツッコミそうになり、慌てて抑える。そう!ここでツッコんだら負けなのだ!!!





「幸いにも、異世界召喚された皆様にも、スキルによる特殊能力とジョブによる能力補正は備わるそうです。そこで、これから皆様に宿ったスキルとジョブの鑑定をしたいのですが、よろしいでしょうか」



おっと、それは僥倖。それなら僕らもスキル鑑定とやらを受けられるということか!!

ちょっとだけ楽しみだなぁ!魔法は使ってみたい!!



そんなのんきなことを考えていると煌輝が前に立つ。

「ならせめて俺たちからお願いします。俺たちなら慣れてるから、万が一があっても問題ない」

そんなイケメンなセリフを放つ勇者様に対し女子からは黄色い悲鳴、男子からは喝采の声が上がる。



そうして、水晶に手を触れた彼のスキルとジョブは…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【名前】 天王寺 煌輝

【レベル】100

【ジョブ】農家

【スキル】農業レベル100

     聖剣召喚

     聖剣術

     聖魔法

光魔法

     闇魔法

     炎魔法

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





なんでやねん!!!とツッコミたいのをぐっとこらえてみて見ると、やはり勇者なのだろう、聖剣術に聖魔法なんていう勇者しか使えなさそうなスキルがある。しかし、しかしだ。



なんで農家やねぇぇぇぇぇん!!!!しかも、農業レベル100って何!!!!!!

いっこだけレベル表記があるって意味わからんやん!!!!!!!!!!!





叫びたいのをぐっとこらえて周りを見ると、他の奴らもツッコミたいがバグっていなければ多分こいつが勇者だし…みたいな顔で黙っている。





「ま、まぁバグってるから仕方ないって煌輝。たまには俺が勇者だっていいだろ?」


そんなフォローにもなっていないフォローをした龍之介は巫女で、ショックで沈む二人の肩をそっと叩いていった八重山さんは呪術師。


「し、雫ならスキルが無くっても剣で戦えるわよ!!」

と励ました御子柴さんが剣聖。綺麗な伏線回収過ぎるだろ!!!!とツッコミつつ他の奴らのスキルにもツッコミを入れているうちに僕に順番がまわってきた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【名前】 小出安 小田

【レベル】1

【ジョブ】勇者

【スキル】ツッコミ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



は?????勇者!!!!????


「いや、なんでやねん!!!」

とうとう声出して突っ込んでしまったぁぁぁぁぁぁ…。そう思い前を見ると前方に深い傷跡が出来ているではないか!



「おお、勇者様!!もうスキルを使いこなしていらっしゃるなんて!!」


ん?スキル?????

そういわれて僕はスキル欄を見る。そこに書かれているのはツッコミの4文字。


なるほどね、ツッコミが武器と…



……。…。……。つまり、そういうことか…。どうやら、僕はこの全力でボケてくる世界をツッコミで攻略しなきゃいけないらしい。

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