第Ⅲ話 全てを疑え
第Ⅲ話 全てを疑え
「ぶぎゃ!」
思いっきり飛んだ結果、悪趣味なトビラらしき物にぶつかった。
するとオルクスさんが
「あっ、ちょっとおろして。」
と言った。いやいや今の私はうつぶせ状態なワケで、
おりる…というか抜けるなら勝手にすればいいじゃないか。私がそんな事を
思っているとオルクスさんは
「いや、そう思うなら放してよ。力が強すぎて抜けれないんだよ。
まあ足を犠牲に抜けることはできるけどそれじゃいくら活字でも
13禁になりかねない。」
と言った。ああ、そうか。私は常識の中では異常なのだった。
私は素早くオルクスさんを解放し、オルクスさんの後ろに立った。そして
「ここですか?」
私はオルクスさんにたずねた。だがオルクスさんはコクリと
頷いただけだった。んじゃあ開けるかな?と私がその悪趣味なトビラに
手を伸ばした時、オルクスさんが
「ちょい待ち」
と笑顔でいった。コワいから笑うのやめてくださいよ。
私は手をピタリと止めた。
「どうしたんですか?」
本当にどうしたのか、という気持ちだ。なので私は真顔で返してあげた。
「真顔っていうかそれは冷顔と言ってもいいだろう。
本当に目が死んでいるよ。あと君がそのトビラをさわると、
一瞬で砕けてしまうだろう?」
と、目が細い女が言いやがった。はいはいわかりましたよ。
まったく、地獄には私に耐える物質がないのかね。
「暗違ちゃんに耐える物質はこの世にも、その世にも、あの世にも無いと
思うけどね。」
マジかよ。私は一体誰をサンドバッグにすればいいのだ。
「その悩みを解決する方法は一つしかない。邪神をふくろに包んで、
サンドバッグならぬゴッドバッグにすればいいのだ。」
なるほどゴッドバック!ヒャッハー!早速邪神をふくろづめにしよう!
「テンション上がっている所悪いけど、その前にいくよ。」
私が世紀末の野郎みたいに喜んでいると、オルクスさんが言った。
私的には「お前はもう死んでいる」と言われた気分だ。
私が北斗の拳ネタを使っているとオルクスさんに
「暗違ちゃん、たぶんそのネタは一部の人には
伝わるかどうかわからないよ」
と言われた。いや北斗の拳ネタは万国共通だろ!
北斗の拳を知らぬ者人にあらずだろ!
私がそういう北斗の拳愛を語っていると、
「まあいいんだよ、そういうことは。」
オルクスさんに軽く払われた( ノД`)シクシク…。
たしかに黙読之神もそろそろあきてきたころだろう。
「んじゃあ早く開けてくださいよ。」
これは私。
「いや、その前に僕のこと…立場について教えたいと思う。」
そしてこれはオルクスさん。いや、別にどうぞ。
「じゃあ、簡単に言えば僕はエンマ機関では落ちこぼれだ。
多分僕が邪神を処刑することに特化しすぎたからと思う。
だから僕の部隊にいるヤツはけっこう個性的だ。
だが決して怒らないでくれ、君が怒ると世界が終わる。」
なんだそれは…と思ったが、あながち冗談じゃないのだろう。
しょうがない、がんばるか。
「そうしてくれると助かるよ。」
オルクスさんは安心したように言った。
あのーちょっと待って、オルクスさんの安心した顔…
めっちゃ可愛いんだけど!あ~首いてえ。
オルクスさん身長高いんだよな。
「ありがとねー。暗違ちゃん。」
なっ!?顔には出してないつもりだったが、
活字では全て伝わってしまう。
「ワケわかかんなないことと言いいいわないで
はやくああけえっけてよ!?」
めっちゃ動揺した。ほんと恥ずかしい。超赤面だよ。消えてしまいたい。
「はいはい、じゃあ行こうか。」
いやまて、こういう時は忘れろ。ぽん・ぽん・ぽん!
私が記憶の断捨離を行っていると、オルクスさんはあの悪趣味なトビラの
ドアノブを引いていた。引きトビラかよ。そしてそのトビラの奥に
私が見た物とは…
廃墟。
見渡す限りの廃墟。
なんというか、単純に人がいなくて壊れたビルとかっていうよりかは、
戦争とか、ミサイルとかで壊れた所って言う風だった。
黙読之神がいる世界にある所に例えると、軍艦島みたいだった。
そしてここでやっと私は思いだした。オルクスさんに案内されて来た、
ここはどこなのかという疑問を…まあある程度予想はついているけど、
「あー、それについては申し訳なかった。説明不足だったね。
ここは我々エンマ機関の拠点だ。」
うん、まあ想像通りだ。
というか、少し気になる事があった。なので訊いてみた
「ところでなんで閻魔様とか人がいないんですか?」
そう、閻魔様や人が1人(柱)もいないのだ。
「ああ、部屋にでもこもってるんじゃない?」
なるほど、オルクスさんの口調から察するに、よくある事なのだろう。
「それよりこっちだよ。」
私はオルクスさんに言われるがまま、一軒の廃ビルらしきところに入った。
なんかデジャヴみたいな気がするのは私だけだろうか。
「デジャヴとかは前世とかに関係してるらしいよ。」
オルクスさんがそう言った。なるほど前世ね。
この場合生前と言った方がいいだろう。しまった!話が脱線してしまった。
よくあるよね、こういう事。時よ戻れ!
…入った。そして階段を下り、地下78階(最下層)にたどり着いた。
そして‐78階のドアを開けようとする前に私は思った。
その1 このドアは私の力に耐えきれないのではないか。
その2 このドアの向こうはどこなのか。
と、だが今までの経験で私のカンはかなり当たるという事が
分かったので、テキトウに予想してみる。
まず多分このドアは私の力に耐えきれないだろう。
そしてドアの向こうはオルクス部隊とやらの拠点だろう。がオルクスさんは
「うん、後半は合ってるね。1000点満点中500点だよ。」
と言った。500点か~、100点満点中だと50点だよな~、って半分間違ってる⁉
後半は合ってる…って事はこのドアは私の力に耐えられるだと⁉
「うん、くわしい事はあとで話すけど
ウチのマッドサイエンティストに作ってもらったんだ。
日常生活ができないと困るしね」
ウチというのはオルクスさんの部隊の事だろう。というか、
マッドサイエンティストって(笑)なんだそりゃ。
あ、いや案外いるのかもな、私みたいな異常なヤツがいる所だしな~。
「じゃあ開けていいですか?」
「あ?うん。」」
私は彼女の部隊のドアを押した。がびくともしなかった。
いや少しきしんだかもしれない。引きドアかよ。
なので引いた、そしたら開いた。なんかラップみたいになってしまった。
とりあえずそのトビラの奥にはなにがあったかというと、
まず最初に2段ベッド、
次に1段目に腰をかけて筋トレをしている筋骨隆々の男の人、
そして2段目にねっころがってゲームをしている女の人、
またハンモックに立ってマンガらしき物を読んで
ケラケラ笑っている男の人に、
PCをなんかめっちゃカタカタしてる女の人や、
もくもくと机で武器らしきものを作っている男の人がいた。
たぶんこの人がマッドサイエンティストだろう。
まあ、テキトウだけど。
「みんな~!新入り連れてきたよ~。」
オルクスさんが言った。
するとゴロゴロしてたハズの人達が一瞬でキリっとした。
で、キリッとした人達は全員コンクリの地面に立った。
そしてそれを確認したのか、
オルクスさんは話し出した。
「じゃあ、紹介をしていくよ。」
そういうとオルクスさんはあの筋骨隆々さんを指をさして
「最後までチョコ…もとい衝撃たっぷりなメンバー紹介だけど、
最初は君だ。」
と言った。そしてそのまま言葉を続ける。
「この子は黒鬼でね。チームの中ではまとめ役だ。
他の子とは違って元々私の部下だったんだよ。これは豆ちしきだけど
黒鬼は『疑』の鬼なんだ。
ちなみにこの子は黒鬼が国旗に聞こえるってことでフラッグと
よばれているよ。」
なるほど。ってそれもう一種のいじめでは?
私がそんなことを思っているとオルクスさんはフラッグさん?の
のとなりにいるゲームをしていた女の人を指さして説明をはじめていた。
「この子は簡単に言えばスナイパーだよ。
雰囲気がシモ・ヘイへに似てるから別世界線とかのシモ・ヘイへだと思うよ。
で、この子は私がスナイパーをスパイナーと言ってしまった事から
スパイナーって呼ばれてるよ。」
…一つ問おう。あなたはシモ・ヘイへさんの雰囲気を知っているのか?
というかスパイナーってどんな入力ミスですか。私がそんなことを思っていると
「メタいですね。暗違さんは、」
と、ハンモック立ち読みの男の人が言った。
「どなたですか?」
私はオルクスさんに訊く。するとオルクスさんは反応した。
「ああ、この子はジャック・ザ・リッパ―の別人格だよ。
実はジャック・ザ・リッパ―には多重人格説…
というか実際にジャック・ザ・リッパ―は多重人格なのだけど、
この子は精神は一般的だけど戦闘技術はもろ大量殺人鬼のアレだから
けっこう使える。ちなみにサイコパスな方のジャック君も他の部隊にいるよ。」
ジャック・ザ・リッパ―か。できれば会いたくないなあ。
「安心して、君の方が強いから。」
オルクスさんが言った。
なんか一瞬ジャックさんの顔に戦慄が走ったような気がしたのは気のせいかな?
「で、この子はジャックだ。
シリアルキラーからシリアルでも良かったんだけどね。
なぜかジャックになった。まあこの子は実質、
ジャック・ザ・リッパ―じゃないのだから、
ジャック・シリアル…とでもしておくとしよう」
そんな簡単に人の名前を変えない方がいいのではないだろうか、
とも思ったが本人が何も言わないなら別にいいのだろうと納得した。