第Ⅰ話 静寂の始まり
yama
思えば、ここ一ヶ月は平和という物を感じていない気がする。まあいいか、戦争の中で平和を求めるというのも変な話だからな。いや、どっちだ?平和を求めて戦争をしているのだから普通か?ああ、違う。別に平和じゃないのか、求めている物は。それが物なのか者なのかは分からないが。最早どうでもいい。今更悔いても、もうどうにもならないのだから。さて、そろそろ始めようか。どうでも良くて、どうにもならない、この物語を。
第Ⅰ話 静寂の始まり
そこには暗い、ただ暗い空間をフラフラと歩く、一人の少女の姿があった。
というか、それは私だった。短髪チビで、長いマフラーを首に巻いた、私。
ちなみに幸い、というべきなのかアホ毛は生えていないので、某有名錬金術マンガの主人公のようなマイクロミジンコチビではない(嘘ですハガレン最高!)。
まあ、それでも身長は145㎝なのだが。というか、
そう考えたらアホ毛が欲しくなってきたのだが、うーん、誰かがキャラデザ変更してくれないかなあ。そう思った時、後ろから女性の声がした。
「かーごめかごめ かーごのなーかのとーりは いーつーいーつー出ーやーる
夜ー明ーけーのやーみーに つーみとかーもが滑った」
私は後ろを振り返ろうとした…が、体は動かなかった。
「あ、ダメダメ。抵抗しちゃダメだよ。ってできないか。キャハハハハ…。」
なんかツボったみたいだった(緊張感が台無しじゃないか)。まあ 彼女(?)が
そう言うと私の目の前には下がる方の階段が造られた。それも一瞬でだ。
そして、ようやく笑い終わった彼女は言った。
「んじゃ、歌詞通りに罪とカモは滑んなきゃね。」
これからよろしく、………ちゃん。
彼女はそう付け足し、私の背中をゆっくりと押した。
少し、気を失っていた様だった。そして 目を開けた私が見た物とは、
大量の骨。頭蓋骨や下顎骨、
膝の皿で有名な膝蓋骨もあった。
時間があれば全て解説したかったが、どうやらそんな場合じゃないようだ。
私がそう思った理由は、今 私に近づいてきている人が居るからだ。
黒髪長髪で糸目の女性。その女性はにっ、と笑い、
「何でそんなに目を輝かせているんだい?暗……葉ちゃん。」
と言った。後半は聞こえにくかったが、この声は私を突き落とした人だ。
「輝かせてないですよ。あの、ここはどこで私は誰であなたは何ですか。」
まあ、だからと言って即攻撃!みたいな性格を私は持っていないので、
とりあえず下手に出るしかない。
「うんうん、まあそうなるよね。
でもその質問の答えはすごく抽象的になるけどいいのかな?
ていうかまず何ですかって言うのがヤバくない?」
彼女はそう言い放った。まあ『ヤバくない』発言は置いといて、
抽象的になるってなんだ?テキトーに自己紹介でいいだろ。
「ちょっとだけ口調が怖いのだけど。
『だろ』って女の子の口調じゃないでしょ。
ていうかいいのね。なら言うけど…驚かないでね。じゃあ改めて、
オルクス・ルミナスです。役職は閻魔やってます。好きなことは拷問で
得意な事は神々の処刑です。これからよろしくね。」
ってワケで彼女、いやオルクスさんは軽ーく自己紹介を済ませた。
まあ普通の内容だろう。そう思っているとオルクスさんはいきなり私を殴りに来た。
一応オルクスさんの拳は音速程度だったので避ける必要は無かったのだが、
ここは避けるのが礼儀だろうと思いテキトウに避けておいた。
相手の攻撃を避けるのは久しぶりだったので、0,001mmで避けられなかった事が
一億円がトイレに流れたぐらい残念だったが、すぐに忘れた。
「やっぱり暗違ちゃんは常識外れだねえ。期待通りだけど。」
私が記憶の消却を行っている時にオルクスさんはそんなことを言った。
そしてその発言の中に少し気になる事があった。
「暗違って誰ですか?常識外れって事は上空30000m以上を秒速92536㎞以上で
移動する、みたいな事ですか?」
ので訊いてみた。ちなみに私程度ではせいぜい上空27591m以下を秒速91749㎞以下で移動する程度の事しかできない。私がそんな『ちなみに』情報を打ち明けた所で、
オルクスさんは先ほどの問いに答えた。
「常識外れっていうのは音速の後に程度とか付けたり、人なのに空を飛んだり、
私の自己紹介を驚かずに聞いたりする様な人のことを言ったんだよ。」
「なるほど、で暗違ってだれですか?」
「ここまで言っても気づかないとは…君ヤバいね(知ってたけど)。
短刀直入に言おう、暗違 月葉は君だよ。」
「え?いやいや、いやいやいや、いやいやいやいや、私なんか常識の範囲内でしょ。っていうか私の名前は…名前は…。なんでしたっけ?」
「だから君の名前は暗違月葉だって言っているだろう?
それともこう言わなきゃわからないか?君は異常だ。」
「そう言われても全く分かりませんよ。私が異常?以上の変換ミスじゃないんですか?なんだ、それならそうと言ってくださいよ。」
「仮に変換ミスだったとして『お前は以上だ』ってどういう意味だよ?
というかもう黙読神ドークシャーだって分かってるんだよ。」
「そうですけど、そうかもしれないですけど、私はこれが普通なんです。私の常識は、こうなんですよ。」
私は言った。するとオルクスさんは少し笑って
「うん、試験合格!」
っと言った。試験合格?どういうことだ?私は試されてたって事?
「試験に合格した君は今からあるところに行ってもらう。僕についてきて。」
いろいろと困惑している私にオルクスさんは言った。
つかアンタ僕っ娘だったのか。
どこに行くのかは知らないけど質問とかは行く途中にした方が
良さそうだった。