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野良聖女~鎖が解かれたので自由に生きようと思います~  作者: 三川士ぱりぃ
ミルトランド王国編
23/45

トップ会談1

これから暫く、投稿時間が不定になりそうです。一応毎日投稿を目指します。



 勢いで行動したものの、今後を決めかねていた。

 国王と一度話すべきだと思うものの、中々決意できない。

 貴族と平民には越えられない壁がある。まして、()()殿下の御父上なのだ。話なんてできないんじゃないか、捕まえられて()()鎖を付けられるんじゃないか。そんな後ろ向きな思いに占められてしまう。


 どちらにしろ、ここに連れてきてしまった人々への対応が先だよね。やるべき事をやろう。

 そう思って、話を聞きに行くことにした。


 転移の時に4つ作った部屋を、ひとつに纏めた。

 騎士さん、魔術師さん、お勤めの方々と車座になって、色々と話をした。

 まずこれからどうするか、という話では、半数以上の人が家族が心配だから帰りたい、と言った。

 そうですよね・・・本当に申し訳ございません。


 残りの多くの人が、暫くこちらに滞在しながら様子を見たいと言った。

 住み込みで貴族邸や王城にお勤めの方たちで、今戻るには不安が過ぎると。おっしゃる通りです。重ね重ねすみません。

 この方たちは、今まで通り滞在して頂くことにした。

 ただ、向こうの様子を知る方法が欲しいそうだ。こっちに籠っていては判断つかないもんね。どうするか考えないと。


 そして少数の・・・というか一部の魔術師の方たちが、この館に残りたいと熱く語ってくれた。

 この不思議な館をもっと知りたいとのことで・・・研究熱心な方が多いですからね。魔術師の皆様は。

 これも師匠に相談するとして、当面滞在するという話になった。


 しかし、反省しきりです。

 皆さんとっても優しくて、誰も私を責めませんでした。

 それどころか同情してくれ、追放されてこれから先どうするのか心配までしてくれました。

 もし隣国に行くなら一緒に行くと言ってくれる人もいて・・・本当に皆、優しすぎです。

 先のことは何も考えていないこと、これからの王国次第でどうするか考えるつもりのこと、王国が落ち着くまで心配だから様子を見るつもりでいること。

 自分で騒ぎを起こしておいて落ち着くまでなんて、何を言っているんだろうと自分でも思ったけど、皆、何故か感謝してくれて、私の幸せを願ってくれました。・・・泣きそうになりました。

 王国の人たちは、良い人ばかりです。だから守りたいって思うんです。

 皆が安全に、幸せに暮らしていける方法を見つけないと・・・

 

 遅くまで皆と話し、一晩眠って考えた結果。


 やっぱり王様と話そう。

 そう決意した。


 決意を師匠に告げた。

 一人で行くつもりだったけど、師匠もついてくるというので驚いた。

 心配だからと師匠はいうけど、心配の内容が”その場の勢いで何をやらかすか想定できないのが恐ろしい”というのが微妙です。

 私が何か言える立場じゃないって分かってますけど!!

 後、「国王次第だが、何か力を貸せるかもしれない」なんて言ってくれて・・・口は悪いけど師匠はやっぱり優しいんですよね。


 ちょっと行って国王に会って、お昼前に帰れたらいいな。そんなことを思いつつ、日がそこそこ昇った頃合で、スグナン公国の聖女ロザリー様にネットワークを繋いだ。

 国王が滞在中の隣国です。

 ───ちなみに、この館から聖石を撤去してません。だから私、まだ国内にいるんですよね。たぶん誰も気づいてないけど。

 

「アリア!?」


 ロザリー様はすぐに応じてくれた。昨日あんなに派手にお別れしたばかりなので、ちょっと恥ずかしい・・・。


「あぁ、良かった!アリアが繋げてくれて・・・。どうやってアリアと連絡を取ろうか困っていたのよ」

「何かあったんですか?」

「あるに決まってるでしょう!むしろ何もないって思うのがどうかしてるわよ!」


 勢いよく返され、いつものロザリー様だと笑ってしまう。


「笑ってる場合じゃないのよ。本当に。あなたの所の国王様、酷い状態なんだから」

「どういうことですか?」

「魔力枯渇と精神疲労でボロボロよ。あなたと話をしたがっているわ。分かるでしょ」

「ええぇ・・・私も国王様と話した方がいいかな、と思ったから連絡したんだけど・・・でも、国王様と会ったこと無いし興味も無さそうだったから、そんな風になるなんて思わなかったよ・・・」

「そうね!名前も知らなかったものね!!それも後悔していたわよ!」


 あはは。私、名前も覚えてもらってなかったんだ。


「そんな状態ならお話できませんね。回復したら連絡貰えますか?繋がるようにしておきますから」

「駄目よ!連絡付き次第、一刻も早くって話なんだから。私の国も、あなたのことが最優先なの。アリア、今すぐ来なさい。転移陣使えるんでしょ?」


 ロザリー様の圧に腰が引ける。これは思ったよりも大事になってる?


「でも行ったことのない場所に転移陣は使えないよ?」

「スグナンとミルトランドを繋ぐスグミル街道の国境まで来なさい。私が迎えにいくわ」

「ロザリー様が?」

「誰が行くよりも安心安全最速でしょ。私が転移陣で連れていくわ」


 有無を言わせず言い切ったロザリーは、ふふっと笑みを零した。


「アリアに会えるのが楽しみだわ」

「っ!ロザリー様!私もです!!」


 早速あの時の約束を果たせる。

 ”昨日の今日”の約束だけれども。それでも嬉しいことに変わりはない。

 

「あ、言うのを忘れていたけど、同行者がいるの。いいですか?」

「大丈夫よ。あなたが最優先だもの。文句は言わせなくてよ。誰かしら?」

「私の師匠です。今、お家に滞在させて貰っているの」

「もしかして、国民全員を収容できるお屋敷の方?」

「そうです」

「・・・さぞかし高名な魔導士様よね。ぜひお会いしたいわ」


 スグナン公国は大公を元首、聖女を信仰の宗主とする二頭制を敷いている。

 聖女ロザリー様から了承を得たので問題ないでしょう。

 ということで、師匠と早速スグナン公国に向かうことにする。

 

 国王様との初の謁見は隣国で。

 昨日までの私に言ったら、有り得ないと爆笑しただろう。


 ノープランだけど、少しでも良い方向に進めたい。

 ロザリー様がいる。師匠もいてくれる。なんて心強い。きっと何とかなる!

 心を前向きに、強く持って、私は転移陣を展開した。

 

 

 

これから、アリアサイドと王国サイドの話が入り乱れるかもです。

まだ何も書いていないので全て未定ですが、頭の中の登場[予定]たちが色々とやかましく、構成しなおしているため投稿遅れが出そうです。。。

今後も楽しんで書いていくつもりなので、引き続き読んで頂けると嬉しいです。

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