魔王なんて辞めてやるッ!!
後書きに書いてある事が書きたいだけの人生だった( ˘ω˘ )
※内容にやや無理がある。(海向こうの国にSNS普及させるとか言う暴挙を仕出かす転生者とかな!ホントお前のせいでファンタジー世界観ぶち壊しだわ!←おま言う)
脳内設定で右腕君は(魔王に対し)天邪鬼系ツンデレさんです。魔王さんは分かりづらい?けど精神人外です。
このタグつけるべきとかあったら教えてね。
────魔王よ……。
群青の夜に深山の緑、中々良い景色だナ。
────使命を果たすのだ……。
ポジションはどの辺が良いかな……そうだな、イイ感じに空多めでー。
────自らの眷属を用い、世界を混沌と破滅n……。
んー、こことか良んじゃね? ここにしようぜ。
────あの、ちょっと、ガチめに働いて頂けません?
機体設置よーし。ほら並べ並べー。
え、カメラからはみ出てる?
こっち? えぇ逆の方?
最初っからハッキリ言えよ──
────もしもーし?
全員入った? OK? 良いな、良し、OK.
ほらほら、魔王サマもこっちこっちー。
3,2,1……いえーい!
────あ、あれ? まさか最初から聞こえてない?
────
[アップロードが完了しました]
ツブヤイター:社員旅行なう in宵闇森の畔
今日もまたひとつのツブヤキがアップロードされた。
楽しそうな右腕と魔王、眷属たちが夜の森と共に写っている。
────呑気に旅行してんじゃねぇぇぇぇぇ!!!! オレだって行きてぇわ! 旅行とか!!
そのツブヤキを見た邪神は地団駄を踏んで悔しがったとか。
◇ ◇ ◇
魔王が意思を手に入れた時、そこは薄暗い部屋の中だった。
【世界に混沌と破滅を齎し、いずれ来たる冒険者や勇者と戦うのが魔王たる我が使命である】
持っていたのはコレだけだった。
他は無かった。
アテなどなかった。
故に、実行を躊躇う理由も無かった。
“混沌と破滅”なるモノの為に眷属たる魔物達が数多生み出され、世に放たれた。
しかし、誰も来なかった。
来る日も来る日も、“いずれ”をただ待ち続け、次の日に変わり、その全てに意味は無かった。そう思える程時が過ぎても。
“魔力溜りより生れ落ち、ニンゲンを襲うのが魔物である”
魔物が何時から現れるようになったかの起源はとうに忘れ去られ、自然災害、現象としてヒト属に扱われている事など、魔王には知る由もない事だった。
己が使命に意味など無かった。
その疑念が過ぎった時、魔王は意思を得た。
かわり、魔王は意義を失った。
己の魔王でなければならない意義を。
意思を持ち、意義を失った魔王にとり、それはただの“場”、カラッポの箱でしか無かった。
自らが世界の歯車で終わる事に対する情動は拒絶だった。
ひとつきりだっただけの“使命”などガラクタだった。
魔王は部屋を出た。
かつりかつりと歩き、城内には目もくれなかった。
壁に彫られたレリーフがそれを見送った。
魔王は城を出た。
さくりさくりと門に着き、外に出て森を抜け────ニンゲンを拾った。
ところどころ変色した肌、しかし森をさ迷ったにしては傷のない、不自然な幼体のニンゲンだった。
骨が浮く程痩せぎすな体には継ぎだらけのボロが被せられ、今にも死にそうな息をしていた。
このニンゲンの幼体に死なないギリギリまで魔力を込めたらどうなるか? と言う興味本位が魔王を唆した。
命が助かったのは偶然のようなモノだった。
ニンゲンは魔王の眷属──今まで生み出した魔物とは異なる──になった。
ヒト型だった。
そして1番異なる点として、知性があった。
幼体は魔王を慕い、後ろについてまわった。
「あぁ、しんだかとおもった……」
幼体を連れた魔王は旅を始めた。
向かう先は森やら山やら、自然の中ばかりだった。最初の頃の幼体は魔力を上手く取り込めず、そんな時魔王はその場で成長させた果物などを与えた。
雨に騒めく森。
雪に寂する湖。
風に謡う山。
花に色づく川。
旅をする途中で、沢山の景色を眺めた。
旅の途中で、眷属もまた増えていった。物怖じしなくなった幼体が時々拾ってきたのだ。
「たっくさん居た方が楽しいよ!」
そう言って1人増え2人増え……いつの間にやら12人。
ヒト型だけでは無かった──幼体は時々魔獣も拾ってきていた──が、ある程度の知性は全員備えていた。
宛てどなく旅を続けるのに皆が飽き始めた頃、転機が訪れた。
SNSの伝来である。
それは海向こうから伝わってきた、新たな──異端的とも言える程新し過ぎる──文化であった。
大陸の人々は新たな娯楽に熱狂した。簡単に言えばどハマりした。
SNSは文化人の代名詞、ステータスになった。
「コレとかさー、やってみたいんだけど」
魔王達は新たな目的を得た。
これが後にSNSで超人気を博す、魔族遠征軍☆秘境キャンプ紀行の始まりである。
◇ ◇ ◇
なあなぁ、せっかくだしジャンプファイヤーってやつやってみようぜ!──
ナンダ、ソレハ?──
キャンプファイヤーだろ?──
木を組んで盛大に燃やすらしいな──
え、でもさぁ、火を燃やしたらその下の生物が死ぬって──
おいおい、その燃やす木をどっから持ってくる気だ?──
ちょちょいと森から貰ってくる(キリ──
キリじゃないだろ、キリじゃ──
『────ふふ、くくく』
おー、魔王様が笑ったー──
ほら見ろ、魔王サマにも呆れられてるじゃねぇか──
魔王様、楽しそう?──
タノシイコトハ、イイコトダ──
『木を燃やすのだろ? それなら──』
魔王様、頭良いー♪──
当たり前だろ? オレたち自慢の魔王サマだからな──
クク、オマエハイツモソレダナ──
■■はホンット、魔王様大好きだよナー──
うるせぇ、お前らも大好きだろ!──
いやいや、■■には負けるよー──
わいわい、ガヤガヤ。
夜が更けていく。
……踊りたいとォ、おっもいまぁーす!──
呑んでいた1人がおもむろに立ち上がって、千鳥足でめちゃくちゃに踊りはじめる。
いーよォっ、できあがってんなァ!──
ほら、音楽音楽ー♪──
ある同胞は囃し立て、他の同胞達は歌ったり楽器を演奏する。
『──今日は私も弾こう』
ぅおぉぉおおおおぉぉー!!──
そんなおりに魔王サマまで演奏しだすから、もう大盛り上がりだった。
◇ ◇ ◇
────ええぃ、仲良さげで羨ましいなコンチクショウ! 魔王仕事しろよォ!!
邪神が歯噛みする空の下。
魔王と眷属達は、今日も楽しく旅をする──。
『あの時の坊やが、随分大きくなったねぇ……』
「……なんです? 藪から棒に」
『……何でもないよ。立派になったと思っただけさ』
『はしゃぎすぎる皆を窘めて、纏めて。2人で旅をしていた時は君がはしゃぐ側だったのにね?』
「……昔の事は言わないでくださいよ。と言うか楽しくてはしゃいでたワケじゃ……」
『ふふ、いいこいいこ』
「ちょ、ちょっやめっ! もう頭を撫でられて喜ぶような歳じゃ……!」
『そうかい? それは残念だ』
「だあぁ! 微笑ましげに見るなぁぁぁあ!」